第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生はありません。また、当中間連結会計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」からの重要な変更があった事項は以下のとおりです。

なお、項目番号は前事業年度の有価証券報告書における「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に対応したものであり、当該変更及び追加箇所については下線を付して表示しております。文中における将来に関する事項は当中間連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものです。

 

<政治・社会情勢・環境に関するリスク>

12.国際情勢に関するリスク(顕在化の可能性:高、顕在化の時期:直近1~3年、影響度:中)

当社グループは世界的に事業展開を行っているため、当社グループの事業は国際情勢や地政学的リスク、例えばサプライチェーン分断による調達・物流・販売規制等の影響を受けます。予期していない地政学的リスクが発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

特にロシアによるウクライナ侵攻、中東での紛争、米中対立等の地政学的緊張が高まっており、これに伴い日本を含む各国で輸出規制が拡大しています。また、米国商務省産業安全保障局による規制の強化により特定の顧客への米国原産品の販売制限や半導体製品及び関連技術の輸出に対するライセンス要件が追加され、これらの規制は米国域外にも及んでいます。これらの各国における輸出規制の拡大は、半導体等の関連する産業とそのサプライチェーンに重大な混乱を引き起こすことに伴う影響等、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

そのほか、国際的な貿易摩擦により、関税や貿易障壁、その他の保護主義的措置が強化され、当社グループの製造コストの上昇、当社グループの製品の競争力の低下、国境を越えた当社グループの製品の移動の支障や遅延が生じる可能性もあります。特に2025年1月発足の米国新政権による政府歳出削減や日本を含む各国からの輸入品に対する関税の大幅な見直しは、当社グループの事業にも影響を及ぼしており、現時点ではかかる米国を含む各国の関税政策は不確定要素が多い状況です。ここまで当社グループでは輸出販売価格への転嫁や現地法人・販売代理店との調整等により影響の緩和を図っておりますが、これらの施策が奏功しない場合や、今後の政策動向によっては当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものです。

(1) 財政状態及び経営成績の状況

当中間連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末から108百万円減少し、177,438百万円となりました。主な要因は、売掛債権の回収等で営業債権及びその他の債権4,604百万円減少、山梨工場増設工事に伴う設備投資等で有形固定資産が2,301百万円増加、受注回復に備えての在庫の積み上げ等で棚卸資産が1,291百万円増加、現金及び現金同等物が967百万円増加したこと等によるものです。

当中間連結会計期間末の負債合計は、前連結会計年度末から1,847百万円減少し、93,929百万円となりました。主な要因は、売上収益の実現で流動負債の契約負債が1,028百万円減少賞与引当金の減少等で短期従業員給付が583百万円減少法人税の支払い等で未払法人所得税が485百万円減少、タームローン利息固定化に係る金利スワップ契約で非流動負債のその他の金融負債が392百万円増加したこと等によるものです。

当中間連結会計期間末の資本合計は前連結会計年度末から1,738百万円増加し、83,508百万円となりました。主な要因は、利益剰余金が3,103百万円増加、その他の資本の構成要素が2,420百万円減少、新株予約権の行使により資本金及び資本剰余金がそれぞれ528百万円増加したことによるものです。以上の結果、当中間連結会計期間末の自己資本比率は前連結会計年度末から1.0ポイント増加し、47.1%となりました。

 

当中間連結会計期間における我が国の経済状況は、企業収益の高水準維持を背景に、雇用や所得環境の改善により緩やかな回復基調で推移する一方で、エネルギーや原材料価格の高止まりにより、生活必需品を中心とした物価上昇が続き、個人消費の持ち直しには足踏みが見られました。海外においては、ロシア・ウクライナ問題の長期化、中東情勢の緊迫化、米国トランプ政権の通商政策等、地政学リスクや市場経済を停滞させる影響が依然として大きい水準にあります。また、日米金利差の縮小が進んだことで為替は円高ドル安傾向に動き、輸出企業に影響を与える可能性がある一方で、金融政策の変化や世界経済の動向がその影響を複雑にすると考えられ、我が国の経済を取り巻く情勢は依然として先行き不透明な状況が続いております。

このような状況下、世界の半導体市場はAIやクラウドインフラ、先端電子機器向けの需要が引き続き市場を牽引し、前年度に続き二桁の成長(2025年6月3日:世界半導体市場統計)が見込まれております。これは当社グループのソリューションに対し高い需要を生み出しており、半導体プロセス・コントロール機器事業は堅調に拡大しております。一方で、多目的分析機器事業は新製品サイクルと前年度における中国での補正予算案件による高い需要の反動、及び部品事業の停滞が要因となり、グループ全体の売上収益は前年同期比で4.7%の減収となりました。各事業の売上収益の業績に関しては以下のとおりです。

・ 多目的分析機器事業においては、中国及び日本の売上収益が減少したことで、事業全体で対前年同期比13.5%の減収となりました。中国では前年同期の売上収益に大きく貢献した補正予算案件の剥落があり、また日本では前年同期に電池・電子部品・アカデミア等の大型案件が集中した反動から売上収益が減少しました。一方で継続して注力しておりますグローバル戦略が奏功し、米州・アジア(中国を除く)・欧州では売上収益を対前年同期比で7.1%伸長しました。なお、当中間連結会計期間においては、米国通商政策による影響は限定的でした。

・ 半導体プロセス・コントロール機器事業においては、売上収益が前年同期より16.6%増加し堅調に成長しました。AI半導体の需要が拡大する日本・アジア(中国を除く)を中心にロジック/ファウンドリでの需要を取り込み販売を促進させ、また、量産投資の遅れはあるものの、DRAM(HBM)及び3D NAND(データセンター向け)の需要拡大により、アジアにおける半導体メモリ向けの販売も伸長しました。メモリ量産投資やWFE大型案件(半導体製造装置)での開発投資需要は一層高まっており、年間需要は引き続き堅調に推移しております。

・ 部品・サービス事業においては、EUV(極端紫外線)用多層膜ミラーの需要低下に伴う顧客在庫調整の長期化やその他分析機器・要素部品における売上の期ずれや進捗の遅延が生じていることから、売上収益は対前年同期比5.7%の減収となりました。しかしながらサービスに関する売上収益は、サービス価格の引き上げやグローバルで積極的に保守サービス契約の拡大販売を行ったことにより前年同期より伸長しました。

また、販売費及び一般管理費に関しては一部を抑制したものの、研究開発をはじめとして戦略的な投資を継続しております。

 

以上の結果、当中間連結会計期間の業績は、売上収益は40,756百万円(前年同期比4.7%減)、営業利益は5,717百万円(同34.1%減)、親会社の所有者に帰属する中間利益は3,779百万円(同41.9%減)となりました。

 

なお、2025年12月期第1四半期連結会計期間より、従来、販売費及び一般管理費で計上していた販売先での修理・納入等フィールドサービス関連費用(労務費・旅費等)を、売上原価で計上する方法に変更しております。この変更は、システム改修が完了したことを契機として、売上収益と売上原価の対応関係を明確にし、経営成績をより適切に表示するために行ったものです。前年同期における当該費用1,386百万円については販売費及び一般管理費に含まれております。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は28,959百万円となり、前連結会計年度末に比べ967百万円の増加となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当中間連結会計期間において営業活動による資金の増加は6,902百万円(前年同期は7,519百万円の資金の増加)となりました。これは主に、税引前中間利益5,446百万円(前年同期は8,445百万円)、営業債権及びその他の債権の減少4,293百万円(前年同期は956百万円)等があった一方で、法人所得税の支払額2,427百万円(前年同期は2,891百万円)があったこと等によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当中間連結会計期間において投資活動による資金の減少は4,053百万円(前年同期は2,556百万円の資金の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出3,778百万円(前年同期は2,504百万円)、無形資産の取得による支出315百万円(前年同期は339百万円)があったこと等によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当中間連結会計期間において財務活動による資金の減少は416百万円(前年同期は1,196百万円の資金の減少)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出2,000百万円(前年同期は2,000百万円)、配当金の支払額675百万円(前年同期は無し)があった一方で、長期借入による収入1,824百万円(前年同期は1,384百万円)があったこと等によるものです。

 

(3) 研究開発活動

当中間連結会計期間の研究開発費の総額は3,520百万円です。

 

3 【経営上の重要な契約等】

当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。