第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1)経営理念と方針

 当社は、経営理念である「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること」を実現するため、これまで積み上げてきたノウハウをベースに「コンサルティング事業」「CRMイノベーション事業」「通信ネットワークソリューション事業」を展開することで、顧客のニーズに応え業績向上に貢献し、すべてのステークホルダーに信頼される企業を目指しております。また、公益資本主義に基づいた経営を行うため、以下を経営方針としております。

  ①持続的成長を支えるため、研究開発などの中長期的な投資を行う。経営陣は、短期の利益を求めつつも、

中長期的な課題にバランス良く取り組む。

  ②事業で得た利益は、従業員、顧客、取引先、地域社会、株主に対して、公正に還元する。

  ③企業家精神による改良改善リスクをとって果敢に新しい事業に挑戦し、常に改善に努める経営を行う。

 さらに、会社名の由来となる、「ひとりひとりの輝きが明日の未来を開ける」を社是としております。目標に向かって誰にも負けない努力を積み重ねることにより光り輝く人材になることを目指してASUA QUALITY(全139ページの理念手帳)を作成し、全従業員に対して理念浸透と人間力向上を従業員教育方針としております。

 

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

 当社は、売上・利益の成長、顧客満足度の向上に向けて取り組みながら企業価値の最大化を目指すため、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標として、売上高営業利益率、TRYESサポート年間実施件数、TRYESレポート契約社数(期末時点)及びTRYESレポート登録人数(期末時点)をあげております。売上を継続的に増加させていく重要な要素となるストックビジネス(※)の利用社数を増加させ、また顧客満足度を向上させることで解約率の低減を図り、結果として売上高営業利益率の高い上昇を目指しております。

(※)ストックビジネス:利用者から解約の申し出がない限り継続的に毎月売上が計上されるサービスをストック型、年間で月額売上が固定されているものの、利用者の都合で一時的に変更可能なサービスを準ストック型と定義しております。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

 当社は、継続して成長するために、クラウドサービスを成長の柱としてストックビジネス収益を拡大することを基本戦略としており、以下の項目に重点を置いております。

 ①TRYESサポートの更なる拡大

 ②TRYESレポートの普及拡大

 ③CRMイノベーション事業におけるモビリティ領域の更なる拡大

 ④コンサルティングで培ったノウハウを異業種で展開

 

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 中長期戦略の最重要課題と考えているTRYESレポートやTRYESサポートの対象顧客である物流業界の市場は安定的に推移しております。一方で、物流業界の「2024年問題」(※1)や物流関連二法(※2)の改正などにより、ドライバー不足が深刻な課題となっております。

(※1)物流業界の「2024年問題」:働き方改革法案によりドライバーの労働時間に上限が課されることで生じる

問題の総称のこと

(※2)物流二法の改正:貨物自動車運送事業法と物資の流通の効率化に関する法律の一部を改正する法律のこと

 

 

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 また、物流事業者の99%は、車両保有台数100台以下の事業者であるため、法規制の変更などにより、管理者の業務が増加し、法定12項目(※)に基づくドライバー教育などが行き届いていないと言う問題が潜んでおります。

(※)法定12項目:事故防止を目的とした国土交通省が定める指導項目のこと

 

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 TRYESサポートは、東海地区の物流事業者のみに販売しておりましたが、今後、大手事業者への展開を行うとともに、全国に展開することで更なる拡大を図ってまいります

 

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 TRYESレポートは、当社が20年以上にわたり実施してきたコンサルティングを通じて培ったノウハウを活かしたサービスであり、コンテンツを更に充実させることで、差別化をはかってまいります。

 

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 TRYESサポート及びTRYESレポートが普及拡大することで、相互活用による循環型のビジネスモデルの構築も視野に入れ取り組んでまいります。

 

 また、CRMイノベーション事業では、コネクティッドカー(※)データを活用したメッセージングサービスによりモビリティ領域での拡大を推進してまいります。コネクティッドカーの販売台数は着実に増加しており、車両の走行データや運転行動のデータを利活用するサービスの市場は拡大が予測されております。これまで先行して分析メッセージングサービスを設計・運用してきた当社の強みとして、引き続き大手自動車メーカーと協力し、新たなサービスの開発に取り組んでおります。

 

(※)コネクティッドカー:ICT端末としてネットワークに接続され車両の状態や外部情報を送受信できる車両

 

 更には、20年以上にわたり、物流事業者の安全活動支援を行ってきたコンサルティング事業に、CRMイノベーション事業で開発したメッセージングサービス(A-KMS)を融合させた一般企業向けの交通安全に対する安全対策支援システムの開発を計画しております。

 

(4)経営環境並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社の主力事業であるコンサルティング事業の対象顧客である物流業界を取り巻く市場環境は急速に変化しております。そのような市場環境で継続的な成長を図るために、以下を優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題と認識し、それらの改善に努めながら、今後の事業運営を図っていく方針であります。

 

①新サービスの開発と品質の向上

 当社では、物流事業者向けのTRYESサポートやTRYESレポート及び走行データに基づく「自分ごと」と感じるOne to Oneメッセージ配信などのクラウドを活用したサービスの開発・販売を行っております。当社は、時代のニーズに合わせ新サービスや新システムを開発し展開することで、更なる成長を果たしていけるものと認識しております。また、各サービスのシステムは現在も定期的に改良開発を行っております。今後も積極的に新サービスの開発に取り組んでまいります。

 また、定期的なソフトウエアの更新に加え、バックアップ体制の強化を行い、サービスの品質向上に努めております。

 

②人材の確保と育成

 当社では、人と人との対話を通したコンサルティングや各種クラウドサービスを提供するための優秀な人材を、いかに採用し育成するかが、持続的に事業を拡大する上での重要な課題と考えております。採用費の増加、リファラル採用(※)の強化により今後も積極的な採用を進めるとともに、人材の定着率を高めるため、給与水準の向上や福利厚生の充実、評価制度の整備、労働時間の管理、社内勉強会の開催等によるスキルアップ支援等、働きがいのある・働きやすい企業づくりに取り組んでおります。

(※)リファラル採用:自社の社員から友人や知人などを紹介してもらう手法

 

③内部管理体制の構築

 当社は、今後も事業の拡大を図るにあたり、事業をより効果的かつ安定的に運営していくためには、内部管理体制の強化を通じた業務の標準化と効率化が重要であると認識しております。この課題に対処するため、適宜、業務プロセスや内部統制の実効性を高めるための環境を整備し、コーポレート・ガバナンスを充実していくことにより、内部管理体制及び業務運営の最適化に取り組んでまいります。

 

④財務体質の強化

 当社は、金融機関からの借入金を有するものの十分な手許流動性は確保されており、本書提出日現在において対処すべき財務上の重要課題はありません。ただし、今後の事業拡大に備えて、更なる内部留保資金の確保と営業キャッシュ・フローの改善等により、引き続き財務体質の強化を図ってまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社のサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものです。

 

(サステナビリティ全般)

当社は、持続可能な経営をおこなう上で、当社の企業活動が社会に与える影響を考慮し、長期的な視点を持ったサステナビリティ経営に取り組むことは重要と認識しております。地球環境や社会の問題におけるサステナビリティは重要なテーマであり、社会の一員としてサステナブルな社会に向け、「サステナビリティ基本方針」を掲げ、様々な取り組みを推進しております。

(サステナビリティ基本方針)

当社は、経営基本方針・企業ビジョンなどに基づき、お客様、取引先、株主・投資家、従業員、地域社会など全てのステークホルダーとの対話を尊重し、社会の持続的発展への貢献と中長期的な企業価値の向上を図るため、次の取り組みを続けていきます。

・環境・社会の課題解決に向けて、お客様・取引先・地域社会と連携し、最適な技術・サービスで貢献して

 いきます。

・従業員を最大の財産とし、多様性を認め、多様な働き方を構築し、安心して安全に働ける環境を整備して

 いきます。

・中長期的な企業価値の向上に向けて、コーポレート・ガバナンス体制を構築し、社会と共に持続可能な

 企業を目指します。

当社の主力事業であるコンサルティング事業において、事業活動を通じて、エコドライブ活動への取り組みを積極的に行ってまいりました。直近では、カーボンニュートラル社会の実現に向け、一般家庭用だけではなく、物流事業者の積載効率や走行距離、燃費を改善するため、輸送中に排出されるCO2排出量の可視化に取り組んでおります。

 

(1)ガバナンス

当社は、公正かつ透明な企業活動を目指し、経営の効率性の追求と健全性を確保することで、コーポレート・ガバナンス体制の継続的な向上に努めてまいります。取締役会は、事業に精通した取締役と客観的な視点を持つ独立社外取締役とで構成し、効率的かつ透明性の高いガバナンス体制を構築しております。詳細は、「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等(1)コーポレート・ガバナンスの概要」をご参照ください。

 

(2)戦略

当社における人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。

(人材の育成及び社内環境整備に関する方針)

当社は経営理念や行動指針をまとめた「ASUA QUALITY」に基づき、従業員の資質の向上と能力開発を行い、企業の発展、社会への貢献を推進しております。

その実現のため、人事評価制度を導入し、従業員ひとりひとりが継続的にキャリアアップできる人材育成に取り組んでおります。また、従業員のトラブルや不安に対応する相談窓口の設置や、長時間労働や休日労働などを抑制するなどの仕組みを設け、従業員が心身ともに、健康な状態で活動できることに注力し、従業員が働きやすい労働環境の確保に努めております。

 

(3)リスク管理

当社は、リスクマネジメントに関する基本的事項を定め、事業を取り巻く様々なリスクに対して的確な管理・実践が可能となるようにすることを目的として、リスクコンプライアンス委員会を2ヶ月に1回の頻度で開催しております。同委員会では全社のリスク管理全般の統制及び管理を行っております。当社が認識する事業上のリスクに関する詳細は、「3 事業等のリスク」をご参照ください。

また、安定的な成長を実現するために長期的な社会・環境の変化に伴うサステナビリティに関する取り組みの議論の場としてサステナビリティ委員会を発足させ、年2回開催することと致しました。

 

(4)指標及び目標

多様な人材の確保を含む人材育成及び社内環境整備に関する指標、当該指標を用いた目標及び実績については、現時点において指標を定めていないため、記載しておりませんが、今後、指標を定めて取り組んでいく予定であります。

 

3【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。当社は、これらのリスクの発生可能性を認識した上で、発生の回避及び万が一発生した場合には適切な対応に努め、事業活動に支障をきたさないよう努力してまいります。

なお、以下の記載事項は、本書提出日現在の事項であり、将来に関する事項は本書提出日現在において当社が判断したものであります。また、以下のリスクは、全ての事業活動上又は投資判断上のリスクを網羅しているものではありません。

 

(1)事業環境に関するリスク

①市場の動向について

(発生可能性:高、発生時期:特定時期なし、影響度:高)

当社のメイン事業であるコンサルティング事業が展開する物流業界は市場規模約24兆円(財務総合政策研究所「年次別法人企業統計調査(令和2年度)」)、就労者数約226万人(総務省「2020年労働力調査」)といった一大産業となっており、昨今のEC市場拡大や、スマートフォンを用いたネットショッピングの増加も含め、継続的な需要が見込まれております。しかしながら、物流業界は99%がトラック保有台数100台以下の事業者のため(国土交通省「貨物自動車運送事業者数(規模別)2023年3月31日」より)、物流業界における2024年問題の影響や景気低迷による経営へのダメージは深刻な問題に発展する可能性があります。その場合は、新規営業の低迷や既存顧客のサービスの解約等により、当社の業績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。

 

②競合について

(発生可能性:中 発生時期:特定なし 影響度:高)

当社の事業においては、いずれのソリューションにおいても、競合企業が複数存在しており、一定の競争環境があるものと認識しております。当社においては、他社にない商品機能や品質、またスピーディーな機能追加やクラウド化対応、導入しやすい価格設定などにより競合他社との差別化を図り優位性を有していると考えております。しかしながら、特出した機能的優位性をもった新商品の販売や極端に安価な価格設定により競争が激化した場合、当社の業績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。

 

③技術革新による影響について

(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社が提供するサービスについては、技術革新に伴いChatGPTなど生成AIの新技術が次々と生み出されております。当社においては、当該技術革新の動向をいち早くとらえ、研修や優秀な人材の確保等を常に講じておりますが、当社の想定を超える技術革新による著しい環境変化等が生じた場合、当該変化に当社が対応することができず、当社の業績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。

 

(2)法規制に関するリスク

①事業の許認可について

(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:高)

当社の通信ネットワークソリューション事業において、許認可の法規制を受けております。当社が取得している許認可は以下のとおりであり、現状において当該許認可が取り消しとなる事由は発生しておりません。また、これまで法的規制によって事業展開に制約を受けたことはなく、現時点において何らかの法的規制への抵触は認識しておらず、コンプライアンス体制も整備しております。しかしながら、今後新たな法的規制等の導入や既存の法的規制の改廃や解釈の変更等が生じた場合、または重大な法令違反が起こった場合には、当社の業績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。

取得年月

2022年9月

2018年10月

許認可等の名称

建設業の許可

古物商の許可

所管官庁等

愛知県知事

愛知県公安委員会

許認可等の内容

愛知県知事許可(般-4)第104530号

第541051802900号

有効期限

2027年9月18日(5年ごとの更新)

なし

法令違反の要件

及び主な許認可取消事由

建設業法の諸規定及びその業務に関する他の法令に違反したときは、建設業法に基づき、指導、助言、勧告又は指示、営業の停止、許可の取消の処分が行われる場合があります。

古物商、古物市場主の許可基準(法第4

条)に掲げる者に該当した場合、許可取消

の可能性があります。

 

 

②訴訟等について

(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:高)

当社の事業に関連して、第三者との間で重要な訴訟やクレームといった問題が発生したという事実はありません。

当社は、法令及び契約等の遵守のため、コンプライアンス管理規程を定めて社内教育やコンプライアンス体制の充実に努めております。しかしながら、当社が事業活動を行うなかで、顧客、取引先又はその他第三者から当社が提供するサービス及び品質等の不備等に関するクレームのほか、顧客等との間で予期せぬトラブルが発生し、訴訟に発展する可能性があります。かかるクレーム及び訴訟の内容及び結果によっては、当社の業績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。また、多大な訴訟対応費用の発生や当社の社会的信用の毀損によって、当社の業績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。

 

③知的財産権について

(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社は、当社が運営する事業に関する知的財産権を確保するとともに、定期的に知的財産権に関する周辺調査を実施することで、第三者の知的財産権を侵害しない体制の構築に努めております。しかしながら、当社の認識していない知的財産権が既に成立していることにより当社の事業運営が制約を受ける場合や、第三者の知的財産権侵害が発覚した場合等においては、当社の業績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。

 

(3)事業に関するリスク

①システム受注開発について

(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社の受託開発案件は、財務諸表「注記事項(重要な会計方針)5.収益及び費用の計上基準」に記載のとおり、見積総原価を用いたインプット法を適用しております。当社は、見積総原価の見積精度及び開発進捗管理の精度を高めるよう取り組んでおります。しかしながら、契約ごとに個別性が高く、顧客と合意した要求仕様に対応する工数・外注費等に基づき算定しているため、仕様の追加または変更等により、見積総原価の見直しが必要となった場合、あるいは開発遅延等が発生した場合には、当社の業績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。

 

②減損損失について

(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:高)

当社は、減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化によりその見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。当社の固定資産の時価が著しく下落した場合や、事業の収益性が悪化した場合には、減損会計の適用により資産について減損損失が発生し、当社の業績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。

 

③システムトラブルについて

(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:高)

当社事業の多くは、インターネットを介して行われており、その基盤はインターネットに接続するための通信ネットワークに依存しております。その適切な整備及び運用については万全を期しておりますが、万一、第三者による意図的な攻撃や自然災害、ネットワークの障害等不測の事態が発生し、これらITシステムが正常に機能しないことにより、業務活動に著しい影響が生じた場合、当社の業績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。

 

④情報セキュリティについて

(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:高)

当社は、厳重な情報セキュリティ管理体制において自社内の機密情報を管理するとともに、事業の一環として得意先から預託された機密情報などの収集・保管・運用を行っております。プライバシーマークを取得し、社内で運用する他、従業員研修を繰り返し実施する等、これらの情報管理には万全な方策を講じておりますが、万一当社の従業員や業務の委託会社等が情報を漏洩又は誤用した場合には、当社が企業としての社会的信用を喪失し、当社の業績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。

 

⑤オペレーショナルリスクについて

(発生可能性:高、発生時期:特定時期なし、影響度:高)

当社のコンサルティング事業においては、一定基準を満たしたコンサルタントが、現場でコンサルティング活動を行いますが、その運用状況によっては一定の品質が担保されない可能性があります。また、日々膨大な事務処理が発生しており、各プロセスに沿った運用を行っているものの、事務管理上または事務処理上のミスが生じた場合には、当社の業績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。

 

⑥コンサルティング事業部門への依存について

(発生可能性:高、発生時期:特定時期なし、影響度:高)

当社の売上高に占めるコンサルティング事業のセグメント売上高の割合は約53.5%(2023.6月期)となっております。そのため、事業間のクロスセル戦略でCRMイノベーション事業、通信ネットワークソリューション事業の育成に注力しております。引き続きコンサルティング事業へ依存する割合は高く、コンサルティング事業の売上動向が、当社の業績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。

 

⑦特定顧客への依存について

(発生可能性:高、発生時期:特定時期なし、影響度:高)

一般社団法人東京都トラック協会に対する売上高は、全売上高の約14.4%(2023.6月期)となっており売上の依存度が高い状況にあるため、同協会の助成金制度の変更や、東京都の財源の状況・方針等によっては影響を受ける可能性があります。そのため、新たな自社商品の販売拡大や他事業の育成などに注力してまいりますが、引き続き依存する割合は高く、同協会向けの売上高が減少した場合、当社の業績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。

 

⑧特定取引先からの仕入・外注について

(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:高)

 当社は、通信ネットワークソリューション事業における商品の一部及びCRMイノベーション事業における委託開発業務について、特定の取引先に依存する場合があります。当社はこうした特定取引先との関係を密接に保ちながら、安定的な調達に努めております。需要の急増による商品や人材不足、天災地変、品質問題、特定取引先の政策変更や倒産・経営破綻・合併等により調達に重大な支障をきたした場合には、当社の業績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。

 

⑨業績の季節変動について

(発生可能性:高、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

 当社は、一般社団法人東京都トラック協会などが年度末となる3月末に納品する契約が多くあります。また、顧客の投資予算並びに新製品開発予算の対象となる他、顧客企業の予算執行のタイミング、開発するシステムの工期や受託契約案件の工事検収のタイミングとの兼ね合いから、第3四半期に利益が偏重する傾向があります。タスク管理を可視化することで納期管理を徹底しておりますが、契約締結時期の遅れによる作業開始時期の遅延や、顧客都合による検収時期の遅延により、計画通りに売上計上ができない可能性があります。特に期末月の6月に予定されていた検収が翌期以降に遅れる場合には、当該期間の業績に影響を与える可能性があります。

 

 (4)組織体制に関するリスク

①代表者依存度について

(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:高)

 創業以来、代表取締役社長を務めている間地寛は、当社の経営方針や事業戦略構築等において重要な役割を果たしております。当社は、事業拡大に伴い代表者に依存しない経営体制の構築を進めておりますが、現状においては何らかの理由により代表者が退任するような事態が生じた場合には、当社の業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。なお、過去の事業等の関係から代表取締役社長の資産管理会社に対する債務保証を行っておりました。現在、債務保証は解消しておりますが、今後については、この様な取引については行わない方針です。

 

②役員、幹部社員等への依存について

(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:高)

 当社の役員、幹部社員等の専門的な知識、技術、経験を有している役職員が、当社の経営、業務執行について重要な役割を果たしており、当該役職員の継続勤務による経験値は、当社における重要なノウハウと考えられます。しかし、当該役職員が何らかの理由によって業務執行できなくなった場合、退任、退職し、後任者の採用が困難となった場合、当社の業績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。

 

③人材の確保、育成及び人件費の高騰について

(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

 当社において、今後の事業拡大や企業運営を円滑に遂行していく上で、優秀な人材を確保すること及び人材育成が極めて重要であります。そのため、当社は採用活動に注力し、人材の確保に努めるとともに理念浸透教育・実務研修・評価制度等の充実を図ることで、実務スキルに加えて、当社社員として遵守すべき行動規範を理解した責任ある社員の育成に力を注いでおります。しかしながら、必要な人材を適切な時期に確保できない若しくは社内の有能な人材が流出した場合、また、人件費の高騰が長期化した場合には、経常的な業務運営や事業展開に支障が生じ、当社の業績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。

 

④内部管理体制について

(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

 当社の継続的な成長のためには、コーポレート・ガバナンスが適切に機能することが必要不可欠であると認識しております。業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保、各社内規程及び法令の遵守を徹底してまいりますが、事業が急速に拡大することにより、コーポレート・ガバナンスが有効に機能しなかった場合には、適切な業務運営を行うことができず、当社の業績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。

 

(5)その他

①大株主について

(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:低)

 当社の主要株主であり当社の代表取締役社長である間地寛は、同氏の資産管理会社である株式会社間地と合わせて、本書提出日現在、当社発行済株式総数の95.4%を所有する大株主であります。同氏は、安定株主として引き続き一定の議決権を保有し、その議決権行使にあたっては、株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。また、当社と致しましても同氏は安定株主と認識しておりますが、将来的に何らかの事情により、大株主である同氏の保有する株式の多くが減少した場合には、当社株式の市場価格及び議決権行使の状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

②配当政策について

(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:低)

 当社は、既存事業及び新規成長分野への積極的な投資により企業価値を継続的に拡大し、株主へ利益還元を行うことを重視しております。株主への安定的な利益還元と会社の持続的な成長を実現するため、株主還元は業績、財政状態及び将来の事業展開等を総合的に勘案し、適宜見直しを行っていくことを基本方針としております。当社の剰余金の配当は、期末配当の年1回を基本方針としております。配当性向は10%を基準とし、資本効率向上に向け成長領域への集中投資を行うとともに、既存事業の生産性向上による収益性の改善と向上に努めてまいります。しかしながら、配当政策は業績に連動しているため、今後業績が悪化した場合、配当金額を減少する若しくは配当を実施しない可能性があります。

 

③新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社は、当社の取締役及び従業員に対して、業績向上に対する意欲を高めることを目的としたストック・オプションとして新株予約権を発行しております。ストック・オプションが権利行使された場合には、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。なお、本書提出日現在、新株予約権による潜在株式数は170,300株であり、発行済株式総数2,075,000株の8.2%(株式総数2,245,300株(潜在株式を含む)の7.6%)に相当しております。

 

④株式の流動性について

(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:低)

当社は、株式会社東京証券取引所グロース市場及び株式会社名古屋証券取引所ネクスト市場への上場を予定しており、上場に際しては、公募増資及び売出しによって当社株式の流動性の確保に努めることとしておりますが、株式会社東京証券取引所及び株式会社名古屋証券取引所の定める流通株式比率は新規上場時において40.0%となる見込みです。今後は、公募増資による当社の事業計画に沿った成長資金の調達、ストック・オプションの行使による流通株式数の増加分を勘案し、これらの組み合わせにより、流動性の向上を図っていく方針ではありますが、何らかの事情により上場時よりも流動性が低下する場合には、当社株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当社株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤有利子負債への依存について

(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:低)

当社は、2024年6月期第3四半期末時点における有利子負債残高は2億40百万円、有利子負債依存度は21.0%となっております。当社の資金需要の主な内容は運転資金であり、有利子負債の比率は低い水準にあります。引き続き財務体質の改善に努めてまいりますが、現行の金利水準が大幅に上昇した場合には金利負担が増加し、当社の業績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。

 

⑥調達資金の使途について

(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:低)

当社が予定している公募増資による調達資金は、新規人材の採用費及び人件費、クラウドサービスのシステム開発投資、TRYESレポートの認知を広げ販売機会を拡大するための広告宣伝活動等に充当する予定であります。しかしながら、当初の計画に沿って調達資金を使用した場合でも、想定した投資効果が得られない可能性があります。また、当社の属する業界の環境変化や、これに伴う今後の事業計画の見直し等により、調達資金の使途が変更になった場合には、速やかに開示する方針でありますが、このような場合、当社の業績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。

 

⑦取引先に対する信用リスクについて

(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社は、取引先の信用リスクについては細心の注意を払い、与信設定等を通じてリスク管理を行っておりますが、取引先の業績悪化等により取引額の大きい得意先や仕入先の信用状況が低下した場合、当社の業績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。

 

⑧自然災害や大規模災害等について

(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:高)

 当社は、地震、台風、洪水等の自然災害、火災等の事故により、当社の本社・支店及び取引先の建物・設備等が深刻な被害を受けた場合、当社が提供するサービスの継続に支障をきたす場合があります。そのためBCPプランの作成、外部サーバーへのバックアップ等の対策を図っておりますが、事象の規模によっては、当社の業績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。

 

⑨疫病や感染症による影響について

(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:高)

 当社は、新型コロナウイルス感染症など新たな感染症が世界的に蔓延した場合、当社の販売活動に大きな制約がかかる可能性があります。そのため、WEBを活用したコンサルティングの確立や在宅勤務に対応したプロセスの構築などの対策を図っておりますが、事象の規模によっては、当社の業績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。

 

⑩インターネット等による風評被害について

(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社は、ソーシャルメディアの急激な普及に伴い、インターネット上の書き込みや、それに起因するマスコミ報道等による風評被害が発生・拡散した場合、当社の業績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当社の経営成績、財政状態及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態の状況

第29期事業年度(自 2022年7月1日 至 2023年6月30日)

(資産)

 当事業年度末の資産につきましては1,135,396千円となり、前事業年度末に比べ68,029千円減少いたしました。この主たる要因は、現金及び預金が30,641千円、無形固定資産が41,730千円、それぞれ減少したこと等によります。

 

(負債)

 当事業年度末の負債につきましては670,873千円となり、前事業年度末に比べ129,542千円減少いたしました。この主たる要因は、未払法人税等が18,322千円、契約負債が26,116千円、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)が83,700千円、それぞれ減少したこと等によります。

 

(純資産)

 当事業年度末の純資産につきましては464,522千円となり、前事業年度末に比べ61,513千円増加いたしました。この主たる要因は、当期純利益の計上等により、利益剰余金が58,953千円増加したこと等によります。

 

第30期第3四半期累計期間(自 2023年7月1日 至 2024年3月31日)

(資産)

 当第3四半期会計期間末の総資産につきましては1,141,478千円となり、前事業年度末に比べ6,082千円増加いたしました。この主たる要因は、投資その他の資産が10,708千円減少したものの、現金及び預金が5,307千円、受取手形、売掛金及び契約資産が3,213千円、商品及び製品が8,533千円、それぞれ増加したこと等によります。

 

(負債)

 当第3四半期会計期間末の負債につきましては620,878千円となり、前事業年度末に比べ49,995千円減少いたしました。この主たる要因は、流動負債その他に含まれる未払金が22,261千円増加したものの、契約負債が15,537千円、賞与引当金8,992千円、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)が40,725千円、それぞれ減少したこと等によります。

 

(純資産)

 当第3四半期会計期間末の純資産につきましては520,600千円となり、前事業年度末に比べ56,077千円増加いたしました。この主たる要因は、四半期純利益の計上等により、利益剰余金が55,771千円増加したこと等によります。

 

 

②経営成績の状況

第29期事業年度(自 2022年7月1日 至 2023年6月30日)

 当事業年度における我が国の経済は、世界的な半導体不足やロシアによるウクライナ侵攻に伴う資源価格の高騰の影響など、経済環境は厳しい状況で推移いたしました。

 このような状況のなか、当社は、この急速に変化する外部環境に迅速かつ柔軟に対応し、持続的な成長を実現するための取り組みを行うとともに、中長期的な企業価値向上の実現に向けて、全社一丸となって諸施策を推進いたしました。コンサルティング事業では、非対面のWEBコンサルティングの実施や安全支援活動の定額クラウドサービス「TRYESレポート」の推進など新しい取り組みにチャレンジしてまいりました。また、CRMイノベーション事業では、企業資産データの活用ソリューションとして「ACE(現:A-KMS(ASUA Knowledge Messaging System))」を通じたコミュニケーションサービスを推進し、事業規模及び収益拡大に努めてまいりました。

 当事業年度における売上高は、主力のコンサルティング事業における「TRYESレポート」の販売が拡大したことにより増収となりました。利益につきましては、売上高の増加及び販売費及び一般管理費の減少により営業利益、経常利益は増益となりましたが、前事業年度に申請していた事業再構築補助金の交付がされたものの、固定資産圧縮損及び減損損失の計上により、当期純利益は前事業年度に比べ減益となりました。

 その結果、当事業年度における売上高は1,238,686千円(前事業年度比0.9%増)、営業利益は114,658千円(同6.1%増)、経常利益は114,899千円(同6.0%増)、当期純利益は69,328千円(同2.7%減)となりました。

 

セグメント別の業績は、次のとおりであります。

 

(イ)コンサルティング事業

 新型コロナウイルス感染症の影響や原油価格高騰の懸念から一部の物流事業者よりコンサルティングの延期要請があったものの、WEBを利用したコンサルティングの実施などコンテンツの充実に注力したこと、また、これまで当事業の顧客対象として認識していなかったトラック保有台数30台以下の小規模物流事業者にも対応可能なWEBを活用した「TRYESレポート」の販売が拡大したこともあり、売上高は好調に推移しました。

 以上の結果、コンサルティング事業の売上高は663,237千円(前事業年度比2.3%増)、セグメント利益は287,564千円(同10.7%増)となりました。

 

(ロ)CRMイノベーション事業

 企業におけるDX化の促進により、システム開発の需要が増大する中、「ACE(現:A-KMS(ASUA Knowledge Messaging System))」によるデータ活用及びコミュニケーションに関わるソリューションが様々な分野の企業に評価され、サービスは順調に拡大しておりますが、前期に発生した大型システム開発案件の売上が当期はなかったこともあり、売上高は減少いたしました。

 以上の結果、CRMイノベーション事業の売上高は253,178千円(前事業年度比0.9%減)、セグメント利益は29,065千円(同11.8%減)となりました。

 

(ハ)通信ネットワークソリューション事業

 前事業年度の課題であった世界的な半導体不足の影響が軽減された結果、顧客事業所内で使用されるビジネスフォンの販売が好調に推移いたしました。

 以上の結果、通信ネットワークソリューション事業の売上高は331,769千円(前事業年度比2.5%増)、セグメント利益は52,127千円(同0.3%増)となりました。

 

(注)上記に記載しているセグメント別の売上高は、外部顧客への売上高とセグメント間の内部売上高の合計であります。

 

第30期第3四半期累計期間(自 2023年7月1日 至 2024年3月31日)

 当第3四半期累計期間における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が弱まり回復基調で推移する中、ウクライナ問題や円安の為替相場によるエネルギー価格の高騰の影響など、先行き不透明な状況が継続しております。

 このような状況のなか、当社は、この急速に変化する外部環境に迅速かつ柔軟に対応し、持続的な成長を実現するための取り組みを行うとともに、中長期的な企業価値向上の実現に向けて、全社一丸となって諸施策を推進しております。コンサルティング事業では、安全支援活動の定額クラウドサービス「TRYESレポート」の推進など新しい取り組みにチャレンジしてまいりました。また、CRMイノベーション事業では、主にカスタマーリテンションを高めるデータ解析及び活性化を目的としたコミュニケーションなどの利活用を多様な業種に展開し、事業規模及び収益拡大に努めてまいりました。

 当第3四半期累計期間における売上高は、新型コロナウイルス感染症の影響が弱まり回復基調にあることから、主力事業であるコンサルティング事業を中心に売上が好調に推移しました。利益につきましては、売上高の増加に伴い好調に推移いたしました。

 以上の結果、当第3四半期累計期間における売上高は986,005千円、営業利益は96,043千円、経常利益は97,964千円、四半期純利益は66,146千円となりました。

 

セグメント別の業績は、次のとおりであります。

 

(イ)コンサルティング事業

 新型コロナウイルス感染症の影響が弱まり回復基調であることから、コンサルティングサービスが順調に推移したこと、また、これまで当事業の顧客対象として認識していなかったトラック保有台数30台以下の小規模物流事業者にも対応可能なWEBを活用した「TRYESレポート」の販売が拡大しました。

 以上の結果、コンサルティング事業の売上高は511,501千円、セグメント利益は194,495千円となりました。

 

(ロ)CRMイノベーション事業

 企業におけるDX化の促進により、システム開発の需要が増大する中、メインであるモビリティ領域が順調に推移したこと、また、研究・修練の場として取り組んでいるヘルスケア領域での新規案件を獲得いたしました。

 以上の結果、CRMイノベーション事業の売上高は231,146千円、セグメント利益は58,224千円となりました。

 

(ハ)通信ネットワークソリューション事業

 世界的な半導体不足の影響が軽減された結果、顧客事業所内で使用される当事業主力商品ビジネスフォンの販売は好調に推移いたしました。

 以上の結果、通信ネットワークソリューション事業の売上高は243,357千円、セグメント利益は41,541千円となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

第29期事業年度(自 2022年7月1日 至 2023年6月30日)

 当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は前事業年度末に比べ30,641千円減少し、516,055千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは102,186千円の収入(前事業年度は23,382千円の収入)となりました。これは主に法人税等の支払額45,046千円及び契約負債の減少額26,085千円があったものの、税引前当期純利益101,281千円、減損損失50,010千円、固定資産圧縮損25,844千円があったことによります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは38,748千円の支出(前事業年度は79,894千円の支出)となりました。これは主に無形固定資産の取得による支出39,073千円によります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは94,075千円の支出(前事業年度は95,844千円の支出)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出83,700千円によります。

 

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社が営む事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

b.受注実績

当社が営む事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

 

c.販売実績

第29期事業年度及び第30期第3四半期累計期間の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

第29期事業年度

(自 2022年7月1日

  至 2023年6月30日)

第30期

第3四半期累計期間

(自 2023年7月1日

 至 2024年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

金額(千円)

コンサルティング事業

663,237

102.3

511,501

CRMイノベーション事業

243,678

95.4

231,146

通信ネットワークソリューション事業

331,769

102.5

243,357

合計

1,238,686

100.9

986,005

(注)最近2事業年度及び第30期第3四半期累計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

第28期事業年度

(自 2021年7月1日

 至 2022年6月30日)

第29期事業年度

(自 2022年7月1日

 至 2023年6月30日)

第30期

第3四半期累計期間

(自 2023年7月1日

  至 2024年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

一般社団法人東京都トラック協会

178,511

14.5

178,161

14.4

120,572

12.2

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。財務諸表の作成に当たり、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。

当社の財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。

なお、財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりです。

 

(固定資産の減損)

当社は、固定資産のうち減損の兆候がある資産グループについて、当該資産から得られる将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定は慎重に検討しておりますが、将来の事業計画や市場環境の変化により、その見積りの前提とした条件や仮定の変更により、回収可能価額が減少した場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。

 

(繰延税金資産の回収可能性)

当社は、繰延税金資産について、将来の事業計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定の変更により、将来の課税所得が減少した場合、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。

 

②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

第29期事業年度(自 2022年7月1日 至 2023年6月30日)

当事業年度における売上高は、主力のコンサルティング事業における「TRYESレポート」の販売が拡大したことにより1,238,686千円(前事業年度比0.9%増)となりました。利益につきましては、売上高の増加及び販売費及び一般管理費が減少したことにより営業利益は114,658千円(同6.1%増)、経常利益は114,899千円(同6.0%増)となりましたが、前事業年度に申請していた事業再構築補助金の交付がされたものの、固定資産圧縮損及び減損損失の計上により、当期純利益は69,328千円(同2.7%減)となりました。

セグメントごとの経営成績等に関する分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②経営成績の状況」に記載しております。

 

第30期第3四半期累計期間(自 2023年7月1日 至 2024年3月31日)

 当第3四半期累計期間における売上高は、新型コロナウイルス感染症の影響が弱まり回復基調にあることから、主力事業であるコンサルティング事業を中心に売上が好調に推移しました。利益につきましては、売上高の増加に伴い好調に推移いたしました。

 以上の結果、当第3四半期累計期間における売上高は986,005千円、営業利益は96,043千円、経常利益は97,964千円、四半期純利益は66,146千円となりました。

セグメントごとの経営成績等に関する分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②経営成績の状況」に記載しております。

 

③キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

④資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社における資金需要の主なものは、商品の仕入及び外注費、従業員に支払う給与といった事業成長に伴う運転資金、並びに新規のシステム投資であります。事業拡大のための資金については、これまで自己資金及び金融機関からの借入金により対応しております。

 

⑤経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

⑥経営者の問題意識と今後の方針について

経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

⑦経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標」に記載の通り、当社は、売上・利益の成長、顧客満足度の向上に向けて取り組みながら企業価値の最大化を目指すため、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、売上高営業利益率、TRYESサポート年間実施件数、TRYESレポート契約社数(期末時点)及びTRYESレポート登録人数(期末時点)を重要な経営指標として位置付けております。

 

 

第28期事業年度

(自 2021年7月1日

至 2022年6月30日)

第29期事業年度

(自 2022年7月1日

至 2023年6月30日)

第30期

第3四半期累計期間

(自 2023年7月1日

至 2024年3月31日)

売上高営業利益率

8.8%

9.3%

9.7%

TRYESサポート年間実施件数

2,350回

2,473回

1,966回

TRYESレポート契約社数(期末時点)

149社

281社

444社

TRYESレポート登録人数(期末時点)

2,240人

6,170人

13,605人

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

当社は、コンサルティング事業で培ったコミュニケーションノウハウを活かし、蓄積された企業資産データを活用し、人に寄り添ったメッセージを生成することにより、行動変容を促す仕組みを提供しております。新しいスタイルで広範囲かつ高い市場訴求力を備える製品・サービス等を開発することを目的とした研究開発活動を行っております。

 

第29期事業年度(自 2022年7月1日 至 2023年6月30日)

 当事業年度においては、京都大学と在宅患者データおよび電子カルテデータ等を解析することによって、患者の行動変容を促すアルゴリズムシステムの開発を実施しております。また、米国The McGuire Institute(代表:Dr. Michael K. McGuire、以下iMc)と共同研究及び治験を実施した歯周病メインテナンス患者のコンプライアンス向上のための人工知能プラットフォーム『Digital Dental Hygienist』の開発を実施しております。

 当事業年度における研究開発費の総額は3,729千円であります。

 

セグメントの名称

研究開発の主な内容

研究開発費

CRMイノベーション事業

京都大学との共同研究

389千円

CRMイノベーション事業

新規事業開発

3,339千円

 

第30期第3四半期累計期間(自 2023年7月1日 至 2024年3月31日)

 当第3四半期累計期間においては、iMcと共同研究及び治験を実施した歯周病メインテナンス患者のコンプライアンス向上のための人工知能プラットフォーム『Digital Dental Hygienist』の開発を実施しております。

 当第3四半期累計期間における研究開発費の総額は1,766千円であります。

 

セグメントの名称

研究開発の主な内容

研究開発費

CRMイノベーション事業

新規事業開発

1,766千円