第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当社が本書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。

 

(1)経営方針

当社は「ひとを科学し、寄り添いをつくる」をミッションとして掲げ、「人の身体性・精神性・行動をデータとロジックに基づき分析/可視化する。また、その技術を簡単に利用できるように、仕組みを開発し続ける。その仕組みによって、人と社会がより最適な状態で触れ合い、人のポテンシャルを解放したり、生活の質を高めたり、と心身豊かになれる世界をつくります。」を実現すべく、様々な事業に取り組んでおります。

また、ミッションの達成のために、短期・中期においては「デスクレスワーカーのエンパワーメント」「ウェルネスデータの分析・可視化による」に取り組んでまいります。

① デスクレスワーカーのエンパワーメント

国内就業者のうち、いわゆるデスクレスワーカーは約60%を占めていますが、現場ではまだまだ紙ベースの作業が多くDX化が進んでいない状況があります。

書類作成やPCへの転記作業などに時間をとられることや、情報共有のタイムラグや記入漏れ・紛失などのリスクがあり、こういった状況下では、当然データ管理も難しく、企業にとって重要な資産であるデータも活用することができません。

業種柄デジタル人材が不足することが多く自社でのシステム構築等も難しいことから、当社では社内のデジタル人材への不足に対してAIを用いた解決策を提示し、業務の効率化やデータの利活用等(アナログからデジタル)によるデスクレスワーカーのエンパワーメントを進めてまいります。

 


※『2023年度総務省統計局「労働力調査(基本集計)」』 オフィスワーカー(管理的職業/専門的・技術的職業/事務従業者)、

  その他デスクレスワーカーを保安職業/農 林漁業/生産工程/建設・採掘/運搬清掃等/分類不能 従業者と定義

 

 

② ウェルネスデータの分析・可視化による健康寿命の延伸 

「健康寿命の延伸」について、厚生労働省が2019年5月に「健康寿命延伸プラン」という「2040年までに健康寿命を約5歳伸ばす」といった計画を打ち出されているように、医療費の増大の一要因ともなっており社会的な課題となっております。

 


   ※ 内閣府「令和4年版高齢社会白書(全体版)健康寿命と平均寿命の推移」

 

当社は、AIプロダクトである「シセイカルテ」を通じて100万回以上の姿勢分析を実施し、そのデータを蓄積しております。姿勢は様々な不調と相関関係があると言われており、今後更なるウェルネスデータの取得により様々な課題解決に取組み、健康寿命の延伸への寄与を目指しております。
  また、WHOの2019年の調査(Life expectancy and Healthy life expectancy Data by country(World Health Organization))によれば、平均寿命と健康寿命の差の順位において日本は33位であり当該領域の課題は国内に限った話ではないことから、まずはAIプロダクトにおいて海外展開も視野に入れて事業を進めております。

 

(2)経営戦略

当社のExpert AI事業は、AIソリューション及びAIプロダクトで構成されており、いずれもそれぞれ単体でのサービス提供が可能となっております。競争力の源泉として、共通する開発基盤を持ち、技術やインフラの共通化や、ノウハウやリソースの共有等を行い、売上の最大化と開発コストの低減が行えるといった特徴を有しております。共通する開発基盤においては、コンサルタント、デザイナー、エンジニア/アルゴリズムエンジニア、プロダクトマネージャー/プロジェクトマネージャー、専門家(理学療法士、整体師等)及び外部パートナーといった人的リソースを有しております。

 


 

AIソリューション及びAIプロダクトのいずれもフロー型の売上高及びストック型の売上高で構成されております。AIプロダクトはSaaSであるため売上に先行して開発やマーケティングが必要となりコストが先行するビジネスモデルでありますが、AIソリューションは主に準委任契約によりサービスを提供しており、AIプロダクトと比較して早期に収益が確保できるビジネスモデルであります。各サービスの売上高のボリュームやタイミングにより、一定の開発資金を確保しつつ安定したストック売上高を計上できるような体制としております。

 

当社の事業拡大はAIソリューションから始まり、AIプロダクトの順に進んでおり、今後もその好循環により拡大を見込んでおります。今後も様々なExpert AIを用いたAIソリューション及びAIプロダクトの提供や、そこから生み出されるアセット(技術・データ等)を活用したプラットフォームビジネス等の創出を見込んでおります。同時にAIソリューション及びAIプロダクトにおいてストック売上が積み上がることにより、収益基盤及び財務基盤の安定化に寄与するものと考えております。

収益基盤及び財務基盤の安定化により、新規事業等の投資資金を確保し、非連続な成長が実現できるよう努めてまいります。

 


 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社はより高い成長性と、安定的な収益基盤を両立させることを目指しており、売上高成長率、ARR(*)、ストック売上比率及び取引社数を重要な経営指標と捉えております。

売上高成長率については当社として高い成長性のターゲットとしている40%以上を最近3期間において維持し、ストック売上比率については安定的な収益基盤という観点からターゲットとしている50%程度の水準を同期間において概ね維持しております。ストック売上とは、顧客又はプロジェクトから契約等に基づき概ね1年以上の期間において売上が見込めるものと定義しており、例えばAIプロダクトにおける月額利用料、ソリューションサービスにおけるライセンス利用料及び保守運用費用等がこれに当たり、AIプロダクトにおいて多くが計上されます。安定的な収益基盤だけを言えば、よりストック売上比率が高い方が望ましいですが、上記経営戦略における資金繰りの観点や、AIソリューション及びAIプロダクトをともに成長させていく観点から上記の指標をターゲットとしております。また、取引社数については、Expert AI事業全体での拡大の指標として重要視しております。

(*)Annual Recurring Revenueの略称であり、SaaSのストック性のある既存契約から今後12ヶ月で想定される売上高を表す指標をいう。

 

 

各指標の推移等については、以下のとおりであります。

 


 

 ※1 期末月におけるMRR(AIプロダクトとAIソリューションのストック売上高の合計)×12カ月で算出※

 ※2 「ストック売上高=AIプロダクト 月額費用+AIソリューション ライセンス費用・保守運用費用等」定義し算

 

(4)経営環境

当社はAIソリューション及びAIプロダクトを通じて、当社のターゲット顧客であるウェルネス業界のAI技術の浸透やデジタルトランスフォーメーションを支援しております。

デジタルトランスフォーメーションは企業の重要な課題として位置付けが高まっており、企業価値の向上につながる取り組みとして投資が行われています。新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響から、リモート化や自動化などのオペレーション改善を目的とする投資や、Web・スマートフォンを軸とした顧客接点改革への投資が積極的であります。

変化の迅速かつ柔軟な対応を目的として、システムの内製化(ある業務において外部委託をやめて、自社内でその業務を行うよう変更すること)が本格化しており、2030年度には投資金額が5兆1,957億円となることが予測されており、当社がターゲットにしているウェルネス業界だけを見ても、2020年度 731億円から、2030年度予想では2,115億円に拡大することが見込まれております。(『2022 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望 市場編、ベンター戦略編』(富士キメラ総研))。当社は事業領域拡大により、ウェルネス業界だけではなく、より広い市場にアクセスしてまいります。

 


 

しかしながら、自社内でシステムの内製化を完結できない会社においては、当社のような専門技術やノウハウがある会社と共同して進める、あるいは容易にDXが実現できるツール等を利用することになります。当社としてはそこにビジネスチャンスがあると認識しており、自社仕様・個別対応が必要なお客様にはソリューションサービスを、汎用的なツールで解決できるお客様にはSaaS型のAIプロダクトを提供することが可能であることから、当社の活躍の場が広がっているものと認識しております。

例えばAIプロダクトにおいて提供している「シセイカルテ」や「マルチカルテ」の顧客企業は、小規模~中規模の企業が多いことから余剰資金に乏しく、デジタルトランスフォーメーションに対して多額の投資を行えない状況が多く見受けられます。また、実際にデジタルトランスフォーメーションと言っても、何をどのように行えばよいか、といったことからサポートが必要なケースも多く見受けられます。そのため、当社では各企業の初期投資を抑えられ、かつ自社での保守運用が不要なSaaSでのサービス提供を行っております。

 

世界のデジタルトランスフォーメーションの市場規模は、株式会社グローバルインフォメーションの調査により、2026年に総額1兆2,475億ドルに達すると報告されております(デジタルトランスフォーメーションの市場規模、2026年に1兆2,475億米ドル到達予測(株式会社グローバルインフォメーション))。海外展開についてはAIプロダクトから進める方針であるため、「シセイカルテ」及び「マルチカルテ」の多言語対応を行っており、具体的な販売・提供体制については検討してまいります。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 開発体制の強化

当社の持続的な成長のためには、AIソリューション案件の継続的な獲得・開発や、自社AIプロダクト継続的な創出を続けることができる体制の維持及び拡大が必要となります。また、当社が開発したプロダクトを安心してお使いいただけるよう、安定的な保守・運用体制の維持・向上も不可欠となります。そのためには、優秀な人材の確保や、技術的な知見・ノウハウ獲得、これらを社内で活用していく仕組みを構築することにより、より強固な開発・運用体制の構築に努めてまいります。

 

② 営業体制の強化

AIソリューションについては、顧客ニーズに応じた提案力のみならず、案件の遂行までを担当するため実行力も兼ね備えた人材が必要となります。

AIプロダクトについては、2020年1月の「シセイカルテ」リリース後から、当該プロダクトの営業活動を積極的に行っております。「シセイカルテ」はいわゆるSaaSプロダクトであり、顧客数が多くなればなるほど固定費を吸収して利益率が高まるビジネスモデルであるため、先行的に営業体制の強化・拡大が必要となります。

このように、当社の成長のためには営業体制の強化が必要であるため、優秀な営業人材の積極的な採用を行ってまいりますが、同時に営業管理体制の運用・改善などによる効率化により、より収益が安定的に獲得できるような体制構築に努めてまいります。

 

③ 内部管理体制の強化

当社は当事業年度において事業規模拡大の途上であり、事業規模拡大を支え、事業上のリスクを低減させるための内部管理体制の強化を重要な課題であると考えております。このため、将来の事業規模拡大を想定したうえで、適切かつ必要な内部管理体制の整備に努めてまいります。

 

④ 情報管理体制の強化

当社はAIソリューション及びAIプロダクトにおいて、個人情報や顧客の機密情報を取扱っております。また、新たな案件についても同様の情報を取扱う可能性があり、これらの情報管理体制を強化していくことが重要であると考えております。現在は個人情報保護管理規程等に基づき管理を行っておりますが、今後も社内教育・研修の実施やインフラを含めたシステムの整備などを継続して行ってまいります。

 

⑤ システムの安定性・効率性の確保

当社の提供するAIソリューションの一部やAIプロダクトは、インターネット上でサービス提供を行っており、顧客の維持・獲得のためにはシステムの安定稼働の確保は必要不可欠となっております。また、効率的なシステム設計によりインフラコスト低減も見込まれることから、今後も引き続きシステムの安定性確保及び効率化に取り組んでまいります。

 

 

⑥ 黒字化と事業資金の確保

当社は前事業年度及び当事業年度において先行投資的な研究開発、人材投資、マーケティング活動等により当期純損失を計上しており、本書提出時点において通期で安定的に利益を計上できるような収支構造には至っておりません。そのため、事業資金の確保は資金調達コストを勘案して行っており、これまでその資金は借入れ及び第三者割当増資により調達しております。当社のAIプロダクトは研究開発やマーケティング活動が先行的に発生するビジネスモデルであり、現在は先行投資フェーズから回収フェーズに移行する端境期に当たります。当社としては顧客数やアカウント数の増加に伴うストック収益の獲得により、損益分岐点を超えて安定的な黒字化の実現を企図しており、それに向けた営業活動や開発活動を行ってまいります。

 

⑦ 蓄積したデータの利活用

当社はAIソリューションやAIプロダクトを通じて、利用者等と合意した範囲内で様々なデータを蓄積しております。これらのデータは各サービスの精度向上等には活用されているものの、他のサービスや新たなビジネス等への利活用は進んでおりません。当社の事業拡大のためには、当社の有形・無形の資産を利活用し、Expert AIを強化、また当該AIを用いた更なるビジネス展開を行うことが不可欠であると考えておりますが、同時に個人情報や顧客の機密情報等の慎重な取扱いも不可欠であると考えております。そのため、取扱う情報の内容等に応じて慎重に配慮したうえで、新たな事業・サービス拡大に努めてまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社のサステナビリティに関する考え方及び取り組みは次のとおりであります。

なお、本文の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1)サステナビリティに関する考え方

当社は「ひとを科学し、寄り添いをつくる」をミッションとして掲げ、「人の身体性・精神性・行動をデータとロジックに基づき分析/可視化する」「その技術を簡単に利用できるように、仕組みを開発し続ける」「その仕組みによって、人と社会がより最適な状態で触れ合い、人のポテンシャルを解放したり、生活の質を高めたり、と心身豊かになれる世界をつくる。」ことの実現を目指しており、これらが実現された社会においてはサステナビリティも実現できるものと考えております。

そのひとつとして、足元では、まだまだデジタル化が進んでいないデスクレスワーカーに対して、様々なペインが解消されるようなツールを、安価に、手軽に、継続して利用できることで、長期的かつ持続的な社会価値と経済価値が当社・顧客双方に創出できるよう取り組んでおります。

その実現には、当社の持続的な成長が欠かせないものと考えており、そのためには以下の「コーポレート・ガバナンスとリスクマネジメント」及び「人材の獲得と育成」が重要であると考えております。

 

(2)コーポレート・ガバナンスとリスクマネジメント

当社取締役会においては変化の激しい事業環境に対して経営の迅速性と機動性の確保に努めており、持続的な成長に関する課題・取り組み等についても適宜議論できる体制となっております。また取締役間における相互監視、監査等委員会における監査により、業務の適法性や適正性を担保する仕組みを構築することにより、その有効性を担保してまいります。

また、リスク管理委員会は、サステナビリティに関連するような各リスクの顕在化の防止する機能を有しており、原則として四半期に1回、又は臨時に開催することとしております。その内容は、取締役会に報告することとしております。定期に開催される委員会については、経営管理本部長を委員長として、そのテーマ等に応じて経営管理本部長が指定する者が参加し、常勤監査等委員をオブザーバーとして実施しております。また重大なインシデント等のサステナビリティに影響を及ぼす事案発生により臨時に開催される委員会については、代表取締役を委員長として開催することとしております。

  なお、当社のコーポレート・ガバナンス体制は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況

 等」に記載のとおりであります。

(3)人材の獲得と育成

当社の持続的な成長のために、優秀な人材獲得及び人材育成は欠かせないものと考えております。そのため、当社では様々な施策を通じて、当社へのエンゲージメントを高め、より成長できるような仕組み作りを推進しております。

当社はミッションを達成するための行動指針を、以下のように設定しております。当社の役職員のあるべき姿を体現するための具体的な行動規範であり、行動指針をもとにした企業文化の醸成に取り組んでおります。

 


 

当社へのエンゲージメントを高める施策として、定期的にエンゲージメントを計る仕組みの導入や、信頼関係の構築・成長支援・諸問題の早期把握等を目的として1on1を実施しております。

社内の目標管理方法として、OKR(*)を活用しております。当社では個人単位及びチーム単位でOKRを設定して業務に取り組んでおり、より高い目標の達成を目指して業務を行っております。また、個人・チームのOKRの進捗や取り組みを社内に共有することで、それぞれの活動を知ることができ、社内の一体感の醸成にも寄与しております。

(*)Objectives and Key Resultsの略称であり、「達成目標(Objectives)」と、目標の達成度を測る「主要な成果(Key Results)」を設定することにより、目標管理する手法をいう。

 

(4) 指標及び目標

当社は小規模な組織体制であるため、会社全体としてはその重要性も勘案したうえで、年齢、国籍、性別等の区分で管理職の構成割合や人数の目標値等を定めておりません。

事業面においては、Expert AI事業の単一セグメントでありますが、AIソリューションとAIプロダクトの2つの柱を持ち、それぞれを成長させていく方針であります。そのため、これらのサービスの基盤を作るソフトウェアエンジニアやアルゴリズムエンジニアの採用・育成を特に重要視しておりますが、当社は組織や事業を柔軟に変化できることが強みでもあるため、その目標値等を定めておりません。

今後、具体的な目標設定ができるような体制構築を経営課題として検討してまいります。

 

 

3 【事業等のリスク】

当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性がある主要なリスクは以下のとおりであります。

当社はこれらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合における影響の最小化のため「リスク管理委員会」の開催等も含めて、最大限の努力をしてまいります。「リスク管理委員会」につきましては、「第4 提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ② 企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由」に記載のとおりであります。

また、当社として必ずしも重要な事業上のリスクに該当しないと考える事項につきましても、投資者の判断上、あるいは当社の事業活動を理解するうえで重要であると考えられるものについては、投資者に対する積極開示の観点から記載しております。当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討したうえで行っていただく必要があると考えております。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

(1)事業環境に関するリスク

① ターゲットとなる業界について

 発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:低

 当社がターゲットとしているウェルネス市場(医療/介護市場)のデジタルトランスフォーメーション市場の規模は、2020年度731億円から、2030年度予想では2,115億円に拡大することが見込まれております(『2022 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望 市場編、ベンター戦略編』(富士キメラ総研))。市場拡大ペースの急速な鈍化や、当社サービスの競争優位性が発揮されないような局面においては、市場が拡大した場合においても当社の成長ペースが市場拡大と相関しない可能性があります。当該リスクへの対応として、サービスの横展開により市場を横断的に獲得する、サービスラインナップを拡充する等を行っておりますが、当該リスクが顕在化した場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② マクロ経済について

 発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:低

 当社AIプロダクトは個人事業主や中小事業者に多数利用されており、国内の景気後退時には顧客のサービス利用者が減少し財務体制が脆弱な顧客の経営状態に影響を及ぼす可能性はありますが、顧客の属する業界・規模・地域は様々であり、AIソリューションにおいてはAIプロダクトと比較して顧客規模が大きい企業をターゲットとしていることからそのリスクは分散されているものと認識しております。しかしながら、当該リスクが顕在化した場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 競合他社について

発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:低

 当社は、本書提出時点においてAI/ウェルネス関連領域において事業展開をしておりますが、当該分野はその成長性から注目されており、多くの企業が参入しており、当社の競争力が低下する可能性があります。AIソリューションについては、これまでのプロジェクトで蓄積された知見やデータで学習・強化されたAIアルゴリズムを活用することで、事業の拡大及び競争力の維持に努めてまいります。また、AIプロダクトにおいては顧客の利用促進のため導入時のオンボーディングプログラムにおいて顧客業務フローに組み込むようなアドバイスの実施や、定期的なサポート等によりAIプロダクトの解約率(「シセイカルテ」「マルチカルテ」「カルティセールス」におけるMonthly Gross Revenue Churn Rateの平均値)は、2023年10月から2024年8月までの平均で0.63%と低くなっております。しかしながら、当該リスクが顕在化した場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 技術革新について

発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:低

 当社は「ひとを科学し、寄り添いをつくる」をミッションとして掲げ、「人の身体性・精神性・行動をデータとロジックに基づき分析/可視化する。また、その技術を簡単に利用できるように、仕組みを開発し続ける。その仕組みによって、人と社会がより最適な状態で触れ合い、人のポテンシャルを解放したり、生活の質を高めたり、と心身豊かになれる世界をつくります。」の実現を目指しております。そのため、これらの技術やその周辺技術、またその技術を活用したAIソリューション及びAIプロダクトが競争力の源泉となっており、急速な技術革新があった場合において、変化に対応する開発費や開発工数等が大幅に増加する可能性があります。当該リスクへの対応や更なる競争力の向上のため、継続的な情報収集、優秀なエンジニアやアルゴリズムエンジニアの採用や教育にも注力しております。しかしながら、当該リスクが顕在化した場合には、当社の事業進捗や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)事業内容に関するリスク

① 特定の取引先・サービスに対する売上比率について

発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:低

 当社はAIソリューション及びAIプロダクトにおいて、新規開発からその後のライセンス提供や運用保守、さらに追加の開発が発生するなど継続的に売上高が計上される顧客が多くを占めております。その結果、当事業年度における売上比率は、上位取引先3社で全体の31.2%を占めております。新規顧客開拓を含めた積極的な営業活動により、特定の取引先への売上比率は低下することが見込まれ、それに伴い当該リスクの顕在化の可能性も低下すると想定しております。なお、AIソリューションにおいてそのプロジェクトの規模や期間により、一時的に特定の取引先に対する売上比率が上昇することが想定されその場合におけるリスクは限定的であると考えておりますが、当該リスクが顕在化した場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、AIプロダクトのうち「シセイカルテ」の売上高が占める割合は、2023年9月期において8割程度となっております。「シセイカルテ」は2021年1月にリリースされ、当社AIプロダクトでは最初にサービス提供を開始しており、提供期間に応じてストック収益が積み上がるビジネスモデルであることが要因でありますが、「マルチカルテ」等のサービス提供開始によりその割合は低下しております。これまで「シセイカルテ」において、当社収益に影響を及ぼすトラブル等は発生しておりませんが、今後の様々なAIプロダクトの拡販・創出により同サービスの売上割合が低下することが見込まれ、それに伴いに何らかのトラブル等があった場合の影響も低下すると想定しております。

 

② 研究開発やプロジェクトの進捗等について

発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

 当社では、主に自社で研究開発を実施するAIプロダクト、当社の保有する知見やデータで学習・強化されたAIアルゴリズムを活用するAIソリューションを提供しており、各開発フェーズにおいて想定以上に工数がかかる可能性はあります。当社ではAIソリューション及びAIプロダクトの開発体制について様々な共通化(インフラ、アルゴリズムモジュール、開発人員)により柔軟な開発体制を構築することや、プロジェクト管理の徹底により当該リスクを低減しておりますが、当該リスクが顕在化した場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 新規サービス・新規機能の開発について

発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:低

 当社では継続的に新規サービスや新規機能の開発を進めており、各サービスの事業拡大や顧客維持の源泉となっております。しかしながら、開発が想定どおりに進まない場合や、開発工数が想定以上となる可能性があります。そのため当社ではスケジュール管理の徹底や、複数パイプラインを持つことで当該リスクを低減しておりますが、当該リスクが顕在化した場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

④ システム障害について

発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大

 当社のAIソリューション及びAIプロダクトにおいて提供しているサービスの大半は、インターネット通信網により提供しております。そのため、自然災害や事故によりインターネット通信網が切断された場合には、サービスの提供が困難となります。サイバー攻撃等により当社サービス基盤への攻撃を受けた場合には、システム障害により事業遂行が困難になることや、事業上の重要機密が漏洩する可能性があります。また、予想外の急激なアクセス増加等による一時的な過負荷やその他予期せぬ事象等により、当社のサービスが停止する可能性があります。当社はセキュリティの強化や冗長化等の対策を講じており、これまでそのような大規模なシステム障害は発生しておりませんが、サービスの安定的な提供が行えないような事態が発生する可能性があり、当該リスクが顕在化した場合には、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ ソフトウェアの資産計上について

発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大

 当社は、第9期の期初より主にAIプロダクトに係るソフトウェアについて、将来の収益獲得が確実と認められるものに限り無形固定資産として資産計上しており、一定期間で減価償却を行っております。ソフトウェアの開発に際しては、市場環境等を慎重に見極めておりますが、市場や競合状況の急激な変化などにより、今後利用が見込めなくなった場合や、収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった場合には、除却あるいは減損の対象となる可能性があり、当該リスクが顕在化した場合には、当社の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

⑥ 減価償却費の増加について

発生可能性:高、発生可能性のある時期:今後数期間、影響度:中

 上記「⑤ ソフトウェアの資産計上について」に記載のとおり、当社は第9期の期初よりソフトウェアの資産計上を開始しており、今後数期間にわたり徐々に減価償却費が増加することが見込まれております。当社としては固定的な減価償却費を上回る収益の獲得に努めてまいりますが、想定どおりに進捗しない場合には売上総利益率が低下する可能性があり、当該リスクが顕在化した場合には、当社の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

⑦ 先行投資から得られる効果が期待どおりに実現しないリスクについて

発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

 AIプロダクトは、先行的なソフトウェア投資や研究開発費及び広告宣伝費を投下し、サービス開発とユーザー獲得のためのマーケティング活動を進めることが必要であり、その結果、全社業績においても赤字を継続しております。今後についても、収益性の向上に努めながら、先行的な投資を継続する方針です。サービス開発においては顧客のニーズを見極めながらより成果につながるよう努めており、また提供するサービスについては効果的・効率的なマーケティング活動に努めておりますが、経営環境の急激な変化、その他本「事業等のリスク」に記載のリスクの顕在化等により、これらの先行投資が想定どおりの成果につながらない可能性があります。当該リスクが顕在化した場合には、当社の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

⑧ 情報セキュリティ体制について

発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大

 当社は、AIプロダクトにおいては個人情報を取扱っており、またAIソリューションにおいては顧客の機密情報及び顧客が保有する個人情報が含まれるデータを取扱う場合があります。そのため、情報セキュリティ体制や情報管理体制を構築や継続的な強化を行うとともに、より高度な情報管理体制の構築のため2022年5月にJIS Q 27001:2014(ISO/IEC 27001:2013)の認証を取得しております。しかしながら、人為的なミスや不正アクセス等による情報漏洩が発生する可能性は完全に否定できず、当該リスクが顕在化した場合には、顧客への損害賠償や当社の社会的信用の失墜等により、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑨ 法的規制等について

発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

 当社は、「カルティチャット」を提供するにあたり、電気通信事業法に基づき「電気通信事業者」として届出を行っており、通信の秘密の保護が課せられております。本法令のほか、当社の事業上運営に関連する法令に違反した場合には、業務改善命令等の処分を受ける可能性があります。当該リスクを低減させるため、リスク管理委員会の設置や適時に担当者が顧問弁護士に直接相談できる体制を整備しておりますが、当該リスクが顕在化した場合には当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩ 知的財産管理について

発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

 当社は知的財産権を重要な資産と捉えて、弁理士と連携し必要に応じて事業に関する知的財産権の保護に努めております。また、当社による第三者の知的財産権侵害の可能性についても、調査可能な範囲で対応を行っており、こちらも必要に応じて弁理士と連携することが可能となっております。当社が認識せずに他社の特許を侵害した場合には、損害賠償請求、使用差止請求又はロイヤリティの支払要求が発生する可能性がありますが、その時期は想定されるものではなく短期的に顕在化する可能性は低いと想定しております。しかしながら、当社の事業領域に関する第三者の知的財産権の完全な把握は困難であり、当該リスクが顕在化した場合には当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)事業運営に関するリスク

① 特定の人物への依存について

発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:低

 当社代表取締役社長である築山英治は、当社の創業者であるとともに、大株主であり、経営方針や事業戦略の決定において重要な役割を果たしております。現状において、何らかの理由により築山英治が当社の業務を継続することが困難になった場合には次の代表取締役社長が就任するまでの期間やその後の定着までの期間において業務執行に支障をきたす可能性はあります。当該リスクに対応するため、当社は特定の人物に過度に依存しない体制を構築するべく、幹部人材の採用・育成や積極的な情報共有等により経営組織の強化を図っております。しかしながら、当該リスクが顕在化した場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 人材の確保及び育成について

発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

 当社が今後も持続的な高成長を続けるためには、優秀な人材の確保・育成が必要不可欠であります。当社の求める水準に合致する人材の確保及び育成が計画どおりに進まない可能性があります。当該リスクに対応するため、積極的な採用活動を進めるとともに、人材の育成も進めており、また外部の業務委託者との連携を強化することでリソースの確保にも努めております。しかしながら、当該リスクが顕在化した場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 小規模組織であることについて

発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

 当社は、2024年8月31日現在において、取締役(監査等委員を除く)3名、取締役監査等委員3名、従業員44名と小規模な組織となっており、内部管理体制は事業の拡大及び従業員の増加に合わせて整備を進めております。適切な人材確保や配置ができず組織的な対応が困難となる場合や、事業規模に応じた事業体制、内部管理体制の構築が追いつかない可能性はあります。当該リスクに対応するため今後もより一層の人員充実を図る予定ですが、当該リスクが顕在化した場合には当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 訴訟について

発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中~大

 当社は本書提出日現在において、当社が当事者として提起されている訴訟はありません。コンプライアンス規程を整備して役職員へ周知すること等により法令違反などの発生リスクの低減に努めておりますが、当社又は当社役職員を当事者とした訴訟が発生した場合には、その訴訟の内容や進行状況によっては、当該訴訟に対する金銭的な負担の発生や、当社又は当社役職員のレピュテーションが悪化して当社の社会的信用が毀損されるなど、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 大規模な災害等に関するリスク

発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中~大

 当社は、テレワークが可能な体制を構築しており、大規模な地震、台風、津波等の自然災害、火災、停電、未知の感染症の拡大等が発生した場合でも事業継続が可能となっており、新型コロナウイルス流行下においても大きな影響は発生しておりません。しかしながら、これらの災害等が長期間に及ぶ場合には、顧客企業や当社の顧客ターゲットとなる企業の経営判断・事業運営に大きな影響を与える可能性があります。当該リスクに対応するため、顧客及び顧客の属する業界の拡充を行っておりますが、当該リスクが顕在化した場合に、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)その他のリスク

① 配当政策について

発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

 当社は、株主に対する利益還元を経営上の重要課題と認識しておりますが、財務体質の強化に加えて事業拡大のための内部留保の充実等を図り、収益力強化のための投資に充当することが株主に対する最大の利益還元につながるものと考え、創業以来配当を実施しておりません。今後においては、業績・財務状況及び事業環境等を勘案したうえで、株主への利益配当を検討していく方針でありますが、持続的な成長に向けた投資を戦略的に実行する場合や当社の事業が計画どおり推移しない場合など、配当を実施できない可能性があります。

 

② ストック・オプションによる株式価値希薄化について

発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

 当社は事業価値・企業価値向上に貢献した、役員、従業員に対するインセンティブ等を目的としたストック・オプション制度を採用しております。また、今後も事業価値・企業価値向上のための施策としてストック・オプション制度を活用していくことを予定しており、現在付与している新株予約権に加え、今後新たに付与される新株予約権について行使が行われた場合は、既存株主が有する株式価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。新たに付与される新株予約権について、その時期は想定されるものではありませんが、現在付与している新株予約権については短期及び中期において一定程度が行使され当該リスクが顕在化するものと想定しております。なお、本書提出日現在における新株予約権による潜在株式数は111,100株であり、発行済株式数1,388,700株の8.00%に相当しておりますが、業績の達成条件を付すことで、株式価値希薄化を上回る株式価値向上に努めてまいります。

 

③ 税務上の繰越欠損金及び資本政策・税制適用について

発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

 当社は事業拡大のための先行投資等により2021年9月期から2023年9月期まで当期純損失を計上したこと、及び当該資金を株式会社PKSHA Technologyからの借入れにより調達したことにより、2023年9月期においても債務超過となっておりましたが、2024年4月に行った第三者割当増資により債務超過は解消しております。一方で税務上の繰越欠損金は引続き存在しており、将来における法人税等の税負担が軽減されることが予想されております。当社の事業が順調に推移し、当該繰越欠損金が解消した場合には、通常の税率に基づく税負担が生じることとなり、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。また、資本金の額によっては、当社の規模に照らして税負担が重くなることが想定されることから、株主還元等の機動的かつ柔軟な資本政策の実現と適切な税制への適用を通じて財務内容の健全性を確保する観点から、法令に準拠し可能なスケジュール・手続きにより必要に応じた資本金の減少等の実施を早期に検討してまいりますが、法令の改正や社会情勢等から資本金の減少等が実施できない場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

④ 当社株式の流動性について

発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

 当社の大株主には親会社である株式会社PKSHA Technology、当社役職員が含まれており、株式会社東京証券取引所の定める上場維持基準は25.0%であるところ、当社の新規上場時における流通株式比率は、本募集及び売出しを勘案した場合においても、当該上場維持基準に近接する見込みです。

 今後は、親会社からの売出し協力、当社の事業計画に沿った公募増資による成長資金の確保、役職員への一部売出し要請、ストックオプションの行使による流通株式数の増加分等の組み合わせにより、流動性の向上を図っていく方針ではありますが、何らかの事情により上場時よりも流動性が低下する場合には、当社株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当社株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 資金使途について

 発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

 今回、当社が計画している公募増資による調達資金につきましては、設備投資(AIプロダクトソフトウェア)及び借入金の返済に充当する予定であります。しかしながら、急激な経営環境の変化が生じ、その変化に柔軟に対応していくため、調達資金の使途を現時点での計画以外の使途へ変更する可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、計画以外の使途へ変更が発生した場合は、速やかに開示いたします。また、計画どおりに使用された場合でも、想定どおりの投資効果を得られない可能性があります。

 

⑥ 親会社との関係に関する事項

発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

 当社の親会社である株式会社PKSHA Technology(東京証券取引所市場スタンダード上場企業)は、当社の発行済株式総数の53.45%(2024年8月末現在)を保有する筆頭株主であり、AI Research & Solution事業及びAI SaaS事業を行っております。当社は、同社の子会社となった以降において、同社グループにおける会社権限は存在していたものの、引き続き独自に経営方針・政策決定及び事業展開についての意思決定を行いそれが尊重されていたことで、経営の独立性は確保されておりました。上場後も同社は当社筆頭株主として株主としての権利は保持しておりますが、適切なコミュニケーションを引き続き行うことにより、株主総会での議案の賛否やその他の株主としての権利行使により、当社の独立性が阻害されるリスクが顕在化する可能性は低いと想定しております。

 

⑦ PKSHA Technologyグループにおける当社の位置付けについて

発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

 PKSHA Technologyグループは、AI Research & Solution事業及びAI SaaS事業を行っており、当社はAI SaaS事業セグメントに属しています。当社はExpert AIをコアに販売促進に強みを持つ当社と、業務効率化等に強みを持つ同社グループの事業領域は明確に区分されております。その中でも当社は、AIプロダクトの中核サービスである「シセイカルテ」を中心とした独自のSaaSプロダクトを展開しており、グループ内に同様の事業や類似事業を行う会社はありません。PKSHA Technologyグループ内の会社において、当社と同様の事業や類似事業が行われる可能性がありますが、グループ内競合の発生によるグループ全体での営業効率の低下等といったデメリットが見込まれることから当該リスクが顕在化する可能性は低いと想定しております。なお、同社グループ及び同社AI SaaS事業セグメント売上高に対する当社売上割合は以下のとおりであります。

                                        (単位:千円)

 

当社

PKSHA Technology

グループ

PKSHA Technology

AI SaaS事業セグメント

売上高

421,163

13,908,918

6,074,275

当社売上割合

3.03%

6.93%

 

※ いずれの数値も2023年9月期の数値であります。

 

 なお、当社とPKSHA Technologyグループとの人的関係及び取引関係については以下のとおりであります。

 

(人的関係)

 本書提出日現在、株式会社PKSHA Technology及び同社を含めたグループ会社からの出向者はおりません。

 

(取引関係)

 当事業年度における当社と株式会社PKSHA Technology及び同社を含めたグループ会社との主な取引は、以下のとおりであります。

                                      (単位:千円)

取引先

取引内容

取引金額

株式会社PKSHA Technology

AIソリューション提供

54,125

家賃の支払い

6,000

管理業務委託

5,400

利息の支払い ※

3,552

株式会社PKSHA Associates

AIソリューション提供

9,500

 

※ 対象となる借入金は、当事業年度末において450,000千円ありましたが、2024年9月期第3四半期において

  同社からの借入金は全額返済しております。また、家賃の支払い及び管理業務委託は終了しております。

 

 取引にあたっては、当社における標準的な価格や市場の実勢価格等を勘案して、取締役会で決定のうえ行っております。特に当社サービス提供に関しては、その状況を取締役会において定期的に確認しており、また監査等委員監査の重点監査項目としております。当事業年度における取引金額の割合は、PKSHA Technologyグループ全体との間で、売上において15%程度、原価・販管費の合計額において2%程度であります。今後については、潜在的な事業機会を捉える中で、PKSHA Technologyグループのネットワークを通じた顧客にアクセスをすること、PKSHA Technologyグループ各社との協業やPKSHA Technologyグループ全体での取り組みを進める中で、グループに対する事業上の依存度が増して、結果として株式会社PKSHA Technologyが当社に与える影響力が高まる可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 なお、当社はExpert AI事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

① 経営成績の状況

 第8期事業年度(自 2022年10月1日 至 2023年9月30日)

 当事業年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症に対する感染予防と経済活動の共存に向けた動きが進んでおり、一部において持ち直しの動きはあるものの、ウクライナ情勢の長期化による世界的なエネルギー・原材料価格の高騰による物価上昇やそれに伴う消費マインドの低下、為替・金融資本市場の変動等といった不透明な要因も発生しております。

 当社を取り巻く環境としまして、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)投資の拡大がサービスの追い風になることを期待しており、DX市場の規模は2020年度に1兆3,821億円でしたが、2030年度には5兆1,957億円への拡大が見込まれております(出典:株式会社富士キメラ総研「2022 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望 市場編、ベンター戦略編」)。そのうち、当社AIプロダクトのメインターゲットである流通/小売市場は441億円から2,455億円に、医療/介護市場は731億円から2,115億円への拡大が見込まれております。

 このような環境の中で、当社は「ひとを科学し、寄り添いをつくる」のミッションの下、AIソリューションにおいては、アパレル、寝具、その他ウェルネス業界を中心にDX化を推進するような案件の獲得・実施を行い、また当社親会社である株式会社PKSHA Technologyの大規模開発案件やLLM案件へ参画することで新たな技術・知見・ノウハウ獲得にもつながっております。AIプロダクトにおいては、これまでの「シセイカルテ」「カルティチャット」といった単体でのサービス名称から、「カルティ」ブランドへの統一を行っております。各プロダクトについては、引き続きメインプロダクトである「シセイカルテ」において、アライアンス先や代理店等を活用した拡販に注力いたしました。また、前事業年度よりサービスを開始した「カルティチャット」の拡販、「シセイカルテ」における電子カルテ機能を単体サービスとして提供可能とした「マルチカルテ」のリリース・拡販を進めており、単一のサービスとしての利用のみならず、複数のプロダクトを組み合わせた提案やサービス提供も行っております。全社的には、今後の成長に向けた先行投資として、プロダクトの開発、認知度向上のためのマーケティング、及び人材獲得等に注力いたしました。

 

 これらの結果、当事業年度における当社の経営成績は以下のとおりとなりました。

 売上高については、AIソリューションにおける新規案件増加や、AIプロダクトにおけるメインプロダクトである「シセイカルテ」のアカウント数の増加等により421,163千円(前期比40.3%増)となりました。AIソリューションにおけるアルゴリズム提供や保守運用やAIプロダクトにおける月額料金といったストック収益の積み上げにも注力しており、当社の収益基盤となっております。

 売上総利益については、売上高の増加及び当事業年度より研究開発費計上による他勘定振替を開始したことにより286,577千円(前期比119.5%増)となりました。

 販売費及び一般管理費については、事業拡大のための先行投資としてマーケティングや人材獲得等への投資を行い、また研究開発費の計上を開始したことにより434,338千円(前期比98.9%増)となりました。

 営業利益以下の各段階利益について、営業損失は147,761千円(前事業年度は87,873千円の損失)、経常損失は147,236千円(前事業年度は89,363千円の損失)、当期純損失は147,415千円(前事業年度は89,543千円の損失)となり、主に先行投資の結果、いずれの段階利益においても赤字となりました。

 

 

 

 第9期第2四半期累計期間(自 2023年10月1日 至 2024年3月31日)

当第2四半期累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響も薄らぎ経済活動の正常化が進み、また各種政策の効果もあり、国内経済は緩やかに回復しております。一方で、世界的な金融引き締めに伴う影響や物価上昇などもあり国内外における経済的な見通しは不透明な状況が続いております。

当社を取り巻く環境としましては、AIソリューションについては、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)投資の拡大がサービスの追い風になることを期待しており、DX市場の規模は2022年度に2兆7,277億円の見込みに対して、2030年度には6兆5,195億円への拡大が見込まれております(出典:株式会社富士キメラ総研「2023 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望 市場編、ベンター戦略編」)。また、AIプロダクトサービスのメインプロダクトである「シセイカルテ」のメインターゲットとなる柔道整復市場においては、患者数がコロナ禍以前の水準に戻ってはいるものの、周辺業種との競争環境が激化(出典:株式会社矢野経済研究所「2022年版 接骨院・鍼灸院・マッサージ院市場の展望と戦略」)しております。

当社は「ひとを科学し、寄り添いをつくる」のミッションの下、AIソリューションにおいては既存取引先との継続的な取り組みや、生成AI技術を用いた案件獲得に注力しております。また、AIプロダクトにおいては上記のような市場環境の中、他社との差別化ツールや市場拡大が著しいDXツールとして「シセイカルテ」「マルチカルテ」を中心としたカルティプロダクトの拡販を進めております。また全社としては、引き続き今後の成長に向けた先行投資として、プロダクトの開発、認知度向上のためのマーケティング、及び人材獲得等に注力いたしました。 

 

これらの結果、当第2四半期累計期間における当社の経営成績は以下のとおりとなりました。

売上高については、AIソリューションにおける既存プロジェクト・新規プロジェクト獲得、AIプロダクトにおけるメインプロダクトである「シセイカルテ」「マルチカルテ」のアカウント数の増加等により285,737千円となりました。AIソリューションにおいては生成AI技術を用いたコミュニケーションアルゴリズムの提案を積極的に行い、AIプロダクトにおいては「シセイカルテ」だけでなく「マルチカルテ」も合わせて積極的な拡販を行っており、両プロダクトの導入が期待できるフィットネス・パーソナルトレーニングといった業界に向けた積極的な営業活動をいたしました。

売上総利益については、売上高の増加及び当期よりソフトウェア資産を計上したこと等により172,937千円となりました。

販売費及び一般管理費については、2023年11月に実施した本社移転、事業拡大のための先行投資として研究開発や人材・マーケティングへの投資を行ったことにより、185,408千円となりました。

営業利益以下の各段階利益について、主に先行投資の結果、営業損失は12,471千円、経常損失は14,791千円、四半期純損失は14,881千円となりました。

 

第9期第3四半期累計期間(自 2023年10月1日 至 2024年6月30日)

当第3四半期累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響も薄らぎ経済活動の正常化が進み、また各種政策の効果もあり、国内経済は緩やかに回復しております。一方で、世界的な金融引き締めに伴う影響や物価上昇などもあり国内外における経済的な見通しは不透明な状況が続いております。

当社を取り巻く環境としましては、AIソリューションについては、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)投資の拡大がサービスの追い風になることを期待しており、DX市場の規模は2022年度に2兆7,277億円の見込みに対して、2030年度には6兆5,195億円への拡大が見込まれております(出典:株式会社富士キメラ総研「2023 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望 市場編、ベンター戦略編」)。また、AIプロダクトサービスのメインプロダクトである「シセイカルテ」のメインターゲットとなる柔道整復市場においては、患者数がコロナ禍以前の水準に戻ってはいるものの、周辺業種との競争環境が激化(出典:株式会社矢野経済研究所「2022年版 接骨院・鍼灸院・マッサージ院市場の展望と戦略」)しております。

当社は「ひとを科学し、寄り添いをつくる」のミッションの下、AIソリューションにおいては既存取引先との継続的な取り組みや、生成AI技術を用いた案件獲得に注力しております。また、AIプロダクトにおいては上記のような市場環境の中、他社との差別化ツールや市場拡大が著しいDXツールとして「シセイカルテ」「マルチカルテ」を中心としたカルティプロダクトの拡販を進めております。また全社としては、引き続き今後の成長に向けた先行投資として、プロダクトの開発、認知度向上のためのマーケティング、及び人材獲得等に注力いたしました。 

 

これらの結果、当第3四半期累計期間における当社の経営成績は以下のとおりとなりました。

売上高については、AIソリューションにおける既存プロジェクト・コミュニケーションアルゴリズムを中心とした新規プロジェクト獲得、AIプロダクトにおけるメインプロダクトである「シセイカルテ」「マルチカルテ」のアカウント数の増加等により450,510千円となりました。AIソリューションにおいては生成AI技術を用いたコミュニケーションアルゴリズムの提案を、AIプロダクトにおいては「シセイカルテ」だけでなく「マルチカルテ」も合わせて積極的な拡販を行っており、両プロダクトの導入が期待できるフィットネス・パーソナルトレーニングといった業界に向けた積極的な営業活動をいたしました。

売上総利益については、売上高の増加及び当期よりソフトウェア資産を計上したこと等により271,717千円となりました。

販売費及び一般管理費については、2023年11月に実施した本社移転、事業拡大のための先行投資として研究開発や人材・マーケティングへの投資を行ったことにより、295,340千円となりました。

営業利益以下の各段階利益について、主に先行投資の結果、営業損失は23,623千円となり、加えて2024年4月に実施した第三者割当増資による株式交付費1,923千円、東京証券取引所グロース市場への上場のための費用2,000千円といったスポット的な営業外費用の計上等により、経常損失は30,825千円、四半期純損失は30,960千円となりました。

 

 

② 財政状態の状況

 第8期事業年度(自 2022年10月1日 至 2023年9月30日)

(資産)

 当事業年度末における資産合計は265,438千円となり、前事業年度末に比べ39,133千円増加いたしました。これは主に、事業拡大に伴い売掛金が28,938千円増加したこと、本社移転に伴う内部造作により有形固定資産が6,613千円、敷金が25,103千円増加したことによるものであります。

 

(負債)

 当事業年度末における負債合計は518,340千円となり、前事業年度末に比べ186,466千円増加いたしました。これは主に、事業資金の確保のための親会社からの借入により、短期借入金が190,000千円増加したことによるものであります。

 

(純資産)

 当事業年度末における純資産は△252,901千円となり、前事業年度末に比べ147,332千円減少いたしました。これは、当期純損失147,415千円によるものであります。

 

 第9期第2四半期累計期間(自 2023年10月1日 至 2024年3月31日)

(資産)

 当第2四半期会計期間末における資産合計は257,007千円となり、前事業年度末に比べ8,430千円減少いたしました。これは主に、本社移転や事業資金のための支出により現金及び預金が70,169千円減少したこと、売上の増加により売掛金が19,266千円、ソフトウェアの資産計上により無形固定資産が39,031千円それぞれ増加したことによるものであります。

 

(負債)

 当第2四半期会計期間末における負債合計は524,790千円となり、前事業年度末に比べ6,450千円増加いたしました。これは主に費用の増加により買掛金が3,542千円、未払金が4,328千円、また未払消費税等が2,505千円それぞれ増加したこと、契約負債が3,245千円減少したことによるものであります。

 

(純資産)

 当第2四半期会計期間末における純資産は△267,783千円となり、前事業年度末に比べ14,881千円減少いたしました。これは、四半期純損失14,881千円によるものであります。

 

 第9期第3四半期累計期間(自 2023年10月1日 至 2024年6月30日)

(資産)

 当第3四半期会計期間末における資産合計は452,680千円となり、前事業年度末に比べ187,242千円増加いたしました。これは主に、本社移転や事業資金のための支出はあったものの2024年4月に実施した第三者割当増資により現金及び預金が103,914千円増加したこと、売上の増加により売掛金が22,626千円、ソフトウェアの資産計上により無形固定資産が60,582千円それぞれ増加したことによるものであります。

 

(負債)

 当第3四半期会計期間末における負債合計は286,830千円となり、前事業年度末に比べ231,509千円減少いたしました。これは主に2024年4月に実施した第三者割当増資の一部を原資としては借入金の返済を行ったことにより短期借入金が250,000千円減少し、その他、費用の増加により買掛金が5,340千円、未払金が12,866千円、また未払消費税等が4,785千円それぞれ増加したこと、契約負債が3,490千円減少したことによるものであります。

 

 

(純資産)

 当第3四半期会計期間末における純資産は165,849千円となり、前事業年度末に比べ418,751千円増加いたしました。これは、2024年4月に実施した第三者割当増資により資本金が224,856千円、資本剰余金が224,856千円増加したこと、及び四半期純損失30,960千円によるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 第8期事業年度(自 2022年10月1日 至 2023年9月30日)

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は156,352千円となり、前事業年度末に比べ21,679千円減少いたしました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における営業活動による資金の減少は177,148千円となりました。主な減少要因は税引前当期純損失147,236千円、売上高の増加に伴う売上債権の増加28,938千円であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における投資活動による資金の減少は31,753千円となりました。主な減少要因は本社移転に伴う固定取得(内部造作)による支出6,650千円、敷金支払いによる支出25,103千円であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における財務活動による資金の増加は187,223千円となりました。主な増加要因は事業資金確保のための短期借入金の借入による収入450,000千円であり、主な減少要因は短期借入金の返済による支出260,000千円であります。

 

 第9期第2四半期累計期間(自 2023年10月1日 至 2024年3月31日)

当第2四半期会計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末と比較して70,169千円減少し、86,182千円となりました。

当第2四半期累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当第2四半期累計期間における営業活動による資金の減少は21,306千円となりました。これは主に、先行投資による四半期純損失の計上及び売上高の増加に伴う売上債権の増加によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当第2四半期累計期間における投資活動による資金の減少は47,303千円となりました。これは主に、AIプロダクト開発による無形固定資産(ソフトウェア)の取得によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当第2四半期累計期間における財務活動による資金の減少は1,560千円となりました。これは、金融機関からの長期借入金を返済したことによるものであります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

④ 生産、受注及び販売の実績

第8期事業年度(自 2022年10月1日 至 2023年9月30日)

a 生産実績

当社は生産活動を行っておらず、該当事項はありません。

 

b 受注実績

当社が提供するサービスは、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

c 販売実績

当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

第8期

事業年度

(自 2022年10月1日 

  至 2023年9月30日)

第9期

第2四半期累計期間

(自 2023年10月1日

  至 2024年3月31日)

第9期

第3四半期累計期間

(自 2023年10月1日

  至 2024年6月30日)

売上高(千円)

前期比(%)

売上高(千円)

売上高(千円)

Expert AI事業

421,163

40.3

285,737

450,510

合計

421,163

40.3

285,737

450,510

 

(注) 1.当社はExpert AI事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

 

相手先

第7期

事業年度

(自 2021年10月1日
   至 2022年9月30日)

第8期

事業年度

(自 2022年10月1日 

  至 2023年9月30日)

第9期

第2四半期累計期間

(自 2023年10月1日

  至 2024年3月31日)

第9期

第3四半期累計期間

(自 2023年10月1日

  至 2024年6月30日)

売上高

(千円)

割合(%)

売上高

(千円)

割合(%)

売上高

(千円)

割合(%)

売上高

(千円)

割合(%)

株式会社デイトナ・インターナショナル

36,522

12.17

39,720

9.43

23,720

8.30

27,720

6.15

ネムール

株式会社

32,300

10.76

5,620

1.33

1,910

0.67

3,360

0.75

株式会社

PKSHA Technology

440

0.15

54,125

12.85

59,325

20.76

71,400

15.85

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

 ① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、当事業年度末における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要とされております。当社は、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。しかしながら実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社の財務諸表を作成するにあたって採用する重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

    当社は、Expert AI事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

第8期事業年度(自 2022年10月1日 至 2023年9月30日)

 売上高については、AIソリューションの案件増加及び「シセイカルテ」のアカウント数の増加等により421,163千円(前期比40.3%増)と前期を大幅に上回りました。「シセイカルテ」においてはストック収益の積み上げに注力しており、当社の収益基盤となっております。

 売上総利益については、売上高の増加や、これまで売上原価に計上されていたセールスやマーケティング人員に係る費用や、地代家賃の販管費への一部振替など会計面での整理を行った結果、286,577千円(前期比119.5%増)となりました。

 販売費及び一般管理費については、事業拡大のための先行投資としてマーケティングや人材獲得等への投資を行い、加えて上記の会計面での整理を行った結果、434,338千円(前期比98.9%増)となりました。なお、売上原価、販売費及び一般管理費を合計した金額は568,925千円(前期比46.6%増)となっており、その要因としては上記のとおりであります。

 営業利益以下の各段階利益について、営業損失は147,761千円(前事業年度は87,873千円)、経常損失は147,236千円(前事業年度は89,363千円)、当期純損失は147,415千円(前事業年度は89,543千円)となり、主に先行投資の結果、いずれの段階利益においても赤字となりました。

 

 第9期第2四半期累計期間(自 2023年10月1日 至 2024年3月31日)

 売上高については、AIソリューションの案件増加及び「シセイカルテ」「マルチカルテ」のアカウント数の増加等により285,737千円と前期を大幅に上回りました。「シセイカルテ」「マルチカルテ」においてはストック収益の積み上げに注力しており、当社の収益基盤となっております。

 売上総利益については、本社移転に伴う地代家賃の増加や外注費などの売上原価が増加したものの、売上高の増加により172,937千円となりました。

 販売費及び一般管理費については、人件費や本社移転に伴う地代家賃などの費用は増加したものの、当期よりソフトウェア資産計上を開始したことによる研究開発費の減少、採用教育費や広告宣伝費の一部後倒しにより185,408千円となりました。なお、売上原価、販売費及び一般管理費を合計した金額は298,208千円となっており、その要因としては上記のとおりであります。

 営業利益以下の各段階利益について、営業損失は12,471千円、経常損失は14,791千円、四半期純損失は14,881千円となり、主に先行投資の結果、いずれの段階利益においても赤字となりました。

 

    第9期第3四半期累計期間(自 2023年10月1日 至 2024年6月30日)

 売上高については、コミュニケーションアルゴリズムを中心としたAIソリューションの案件増加及び「シセイカルテ」「マルチカルテ」のアカウント数の増加等により450,510千円と前期を大幅に上回りました。「シセイカルテ」「マルチカルテ」においてはストック収益の積み上げに注力しており、当社の収益基盤となっております。

 売上総利益については、本社移転に伴う地代家賃の増加や外注費などの売上原価が増加したものの、売上高の増加により271,717千円となりました。

 販売費及び一般管理費については、人件費や本社移転に伴う地代家賃などの費用は増加したものの、当期よりソフトウェア資産計上を開始したことによる研究開発費の減少等により295,340千円となりました。なお、売上原価、販売費及び一般管理費を合計した金額は474,134千円となっており、その要因としては上記のとおりであります。

 営業利益以下の各段階利益について、営業損失は23,623千円、経常損失は30,825千円、四半期純損失は30,960千円となり、主に先行投資の結果、いずれの段階利益においても赤字となりました。

 

 

 

 

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 キャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 当社の主な資金需要は、労務費(AIソリューション及びAIプロダクトの開発(研究開発に該当するものを除く)・運用保守に関与するものに係る人件費)及び人件費(労務費以外の人件費)といった人材に関するもの、マーケティングを目的とした広告宣伝費及びその他の経費等の販売費及び一般管理費等となっております。当社において一過性かつ多額の資金需要は多くなく、少なくとも3か月程度の資金需要は把握できております。

 足元の運転資金は第三者割当増資及び金融機関からの借入により調達しており、月次キャッシュ・フローに対して十分な水準を確保できおります。加えて、ストック収益の積み上がりにより自己資金でカバーできる範囲が拡大していく想定であります。一過性かつ多額の資金需要が発生する場合に備えて、金融機関と更なる関係強化により、機動的な資金調達ができるよう進めてまいります。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

⑤ 財政状態の分析

財政状態の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載しております。

 

⑥ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりであります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

第8期事業年度(自 2022年10月1日 至 2023年9月30日)

当事業年度においては、主にSaaSによりサービスを提供しているAIプロダクトにおいて実施しており、「シセイカルテ」「マルチカルテ」といった各プロダクトについて新機能開発や機能拡充等を行いました。また、新たな事業への探索として、LLM(Large Language Modelsの略称であり、大規模言語モデルをいう。)に関する研究開発も行いました。

その結果、当事業年度において当社が支出した研究開発費の総額は、107,558千円であります。

当社における研究開発活動は、利用者ニーズが高い機能や顧客拡大につながるような機能を継続的に研究開発し、AIプロダクトに実装することで、当社の事業拡大の源泉となっております。今後も積極的に研究開発を行ってまいります。また、AIソリューションにおいても、新たなAIプロダクトの種となるような案件に関連した研究開発の実施に取り組んでまいります。

 

第9期第2四半期累計期間(自 2023年10月1日 至 2024年3月31日)

当四半期累計期間においては、AIソリューションにおいて提供できる技術・ノウハウ拡充のため、LLMに関する研究開発や、生成AIに関する研究開発を行いました。なお、当期の期初より主にAIプロダクトに係るソフトウェアについては、将来の収益獲得が確実と認められるものに限り無形固定資産として資産計上を行っており、前事業年度より引き続きAIプロダクトにおける「シセイカルテ」「マルチカルテ」といった各プロダクトについて新機能開発や機能拡充等は行っているものの、研究開発費としては計上しておりません。

その結果、当第2四半期累計期間において当社が支出した研究開発費の総額は、8,788千円であります。

 

第9期第3四半期累計期間(自 2023年10月1日 至 2024年6月30日)

当四半期累計期間においては、AIソリューションにおいて提供できる技術・ノウハウ拡充のため、LLMに関する研究開発や、生成AIに関する研究開発を行いました。なお、当期の期初より主にAIプロダクトに係るソフトウェアについては、将来の収益獲得が確実と認められるものに限り無形固定資産として資産計上を行っており、前事業年度より引き続きAIプロダクトにおける「シセイカルテ」「マルチカルテ」といった各プロダクトについて新機能開発や機能拡充等は行っているものの、研究開発費としては計上しておりません。

その結果、当第3四半期累計期間において当社が支出した研究開発費の総額は、13,438千円であります。