第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。 

 

(1) 経営方針

当社の社名の由来は「Globe」:“地球、世界、グローバルな社会”を指す言葉と「ing」:“ある目的・方向に進んでいく”という推進力のニュアンスを持つ言葉を組み合わせることで「地球・世界に羽ばたく、人、企業、社会を育てていく」というメッセージを社名に込めております。また、Purpose・Vision・Valueとして以下を掲げ、“本質的な変革に挑戦し続ける”ことや“勝ち”にこだわるサービスを提供し、顧客企業を勝てる集団に変革することや日本社会が再び成長軌道に戻ることを目指します。

・Our Purpose

Be a“Growth”Infrastructure

“成長の核となり、世界を進化で満たす存在であり続けます”

 

・Our Vision

我々は“戦略コンサルティングサービス”の在り方を、顧客基点で再定義する、企業です

 

・Our Value

Passion for Winning

“勝たせるコンサル”

我々は徹底的に“勝ち”にこだわるサービスを提供し、顧客企業を勝てる集団に変革

日本の社会が再び成長軌道に戻ることを支援する企業です

 

これらの方針を基に、当社は客観性の担保というコンサルティングサービスにおける重要なポジションを維持しつつも、クライアントのインサイダーとして主体的・継続的にサービスを提供してまいります。

また、今後はコンサルティング事業を軸としながらも、コンサルティングサービスの更なる高付加価値化やシナジーを生む新規事業を創出するといったチャレンジを続け、持続的な企業価値向上を目指していきたいと考えております。

 

(2) 経営環境

新型コロナウイルス感染症の影響、ウクライナ及びロシアの情勢による経済活動への影響懸念、米国の金利上昇による急激な円安進行等、我が国の経済を取り巻く状況は依然として先行き不透明な状況が続くと予想されております。

一方、当社グループが属するコンサルティング業界においては、「企業がDXに取り組む変革の時代から、より持続可能で定常的な営みとしての「デジタルビジネス」の時代を迎えたと考えている。国内市場では、若干遅行している企業が多いことから、2023年以降も変革(DX)に向けたコンサルティング需要は継続する。加えて、先行してデジタルビジネスの運営段階に入った企業からも、デジタル関連のコンサルティングの利用は継続する」と予測されております(出所:IDC 「国内ビジネスコンサルティング市場予測、2023年~2027年」より抜粋)。

そのため、市場競争の激化や市場構造の変化により企業経営者の抱える課題が多様化・複雑化しており、これら経営課題を解決するための調査・分析能力や企画・実行能力等の専門性を有するコンサルタントに対する需要が高まっていくと予想しております。

 

また、国内ビジネスコンサルティング市場の支出額予測は、以下の通りとなっております。

 


(注) IDC 「国内ビジネスコンサルティング市場予測、2023年~2027年」より作成

 

(3) 経営戦略

このような経営・事業環境のもと、当社グループでは、中長期的にコンサルティング事業の業績向上を図ることを最重要課題とし、業績向上及び経営理念を実現するため、「コンサルタント人員数」の増加、採用力の強化、顧客単価の向上を実現するため、「コンサルタント平均年収」の向上、顧客粘着性の向上、顧客単価の向上を実現するための「JI売上高比率」の向上及び社会のAI活用のニーズの高まりを受けた「AI関連売上高」の向上を重要な課題と認識し、解決に向けて取り組んでおります。

第8期事業年度、第9期連結会計年度及び第10期第1四半期連結累計期間における「コンサルタント人員数」、「コンサルタント平均年収」、「JI売上高比率」及び「AI関連売上高」の実績は以下のとおりとなります。

「コンサルタント人員数」については、顧客からの案件獲得および遂行に向けては継続的なコンサルタント採用は不可欠であることから、事業の健全性指標として重視しております。創業以来、ハイペースな採用を継続しておりますが、今後もリファラル採用の強化、コンサルタントの定着率の向上を図り、当面は同ペースでの採用を継続します。

「コンサルタント平均年収」については、顧客単価の向上と当社の採用力の強化につながる指標として重視しており、今後も大手戦略コンサルティングファームの上位層を採用することで上昇を目指します。

「JI売上高比率」については、当社の成長戦略の柱であるJoint Initiativeの事業化進捗を判断する指標として重視しており、年々上昇傾向にあり、第10期第1四半期においては、40%を超えており、今後も比率上昇を目指します。

「AI関連売上高」については、“AIによる顧客のビジネス変革”という当社ビジョンの進捗を判断する指標として重視しております。AI先進企業株式会社Laboro.AIと2024年5月にJVでX-AI Labo株式会社を設立し、AIトランスフォーメーション (AI-X) の社会実装を目指す同社が比率上昇に大きく貢献しております。

 

 

(単位:人)

 

第8期事業年度

(自 2022年6月1日

至 2023年5月31日)

第9期連結会計年度

(自 2023年6月1日

至 2024年5月31日)

第10期第1四半期

連結累計期間

(自 2024年6月1日

至 2024年8月31日)

コンサルタント人員数(調整後)(注) 1

72

119

129

 

(注) 1.コンサルタント人員数(調整後)は、当社のコンサルティング業務に関与する役職員(取締役含む)の合計から、GLB Intelligenceにアサインされたコンサルタントを控除して計算しています。なお、GLB Intelligenceにアサインされているコンサルタント数については、2025年5月期よりFTE(Full Time Equivalent)換算の人員数を採用しておりますが、2024年5月期以前においては、工数計測を実施していないことから、FTE換算していないGLB Intelligence にアサインされたコンサルタント人員数の実人数としております。したがって、2024年5月期以前の調整後コンサルタント人員数は経営管理上の参考値として掲載しております。

(単位:千円)

 

第8期事業年度

(自 2022年6月1日

至 2023年5月31日)

第9期連結会計年度

(自 2023年6月1日

至 2024年5月31日)

第10期第1四半期

連結累計期間

(自 2024年6月1日

至 2024年8月31日)

コンサルタント平均年収(注) 2

16,658

19,745

20,109

 

(注) 2.コンサルタント平均年収は、当社のコンサルティング業務に関与する取締役の役員報酬を含み、GLB Intelligenceにアサインされているコンサルタントを除くコンサルタントの年収の平均です。

(単位:千円)

 

第8期事業年度

(自 2022年6月1日

至 2023年5月31日)

第9期連結会計年度

(自 2023年6月1日

至 2024年5月31日)

第10期第1四半期

連結累計期間

(自 2024年6月1日

至 2024年8月31日)

JI売上高(注) 3

468,966

1,248,733

719,196

JI売上高比率

18.0%

29.9%

41.8%

 

(注) 3.JI売上高は、コンサルティング案件のうち、①クライアントの内部に入り込み(出向含む)、CxOクラスへの報告を当社が担っている、又は②クライアントのコンサルティング予算立案に当社が関与しているプロジェクトに関する売上高です。

(単位:千円)

 

第8期事業年度

(自 2022年6月1日

至 2023年5月31日)

第9期連結会計年度

(自 2023年6月1日

至 2024年5月31日)

第10期第1四半期

連結累計期間

(自 2024年6月1日

至 2024年8月31日)

AI関連売上高(注) 4

69,400

470,341

465,889

AI関連売上高比率

2.7%

11.3%

27.1%

 

(注) 4.AI関連売上高は、①提案書の検討事項でAIに言及しているもの、又は②報告書などでAIの検討が含まれているプロジェクトに関する売上高です。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 優秀な人材の確保及び教育研修の実施

現在展開している主要なコンサルティング事業の要となっているのは人材であり、堅実な成長には、継続的に優秀な人材を確保することが重要だと考えております。また、採用後も研修実施の機会・内容を充実させ、当社の企業理念及び経営方針を理解した社員の育成を行ってまいります。研修だけでなく、各社員のワークスタイルに合わせた多様な労働環境の提供及び社内コミュニケーションの活性化等に取り組み、従業員の定着を図っております。

 

 

② コンサルティング品質の継続的な向上

当社グループの強みは、「外部視点を持ったインサイダー」として、コンサルタントとしての客観性や論理性は高い目線で担保しつつ、クライアント企業内部の事情やカルチャーも踏まえて、CxO、プロジェクトリーダーとワンチームとなってプロジェクトを推進することにあります。プロジェクトの性質や難易度によっては、顕在化している課題や潜在的な背景・要因により品質維持が困難なプロジェクトも存在しますが、このような困難なプロジェクトに対しても高い品質のコンサルティングサービスを維持する必要があります。当社グループは、コンサルティングサービスの質を担保するため、コンサルタントとして顧客に更なる価値を提供できるようにするために、研修の機会などを提供し、顧客の期待値を超える成果を出すための仕組みを構築してまいります。

 

③ 高い稼働率の維持

当社グループは、持続的な成長を実現するためにはコンサルタントの高い稼働率を維持することが重要であることを認識しており、高い稼働率を維持することが収益力を高めるうえで重要となります。新規案件については、専門部署などは設けず、同じ部署で営業・コンサルティングサービスの提供を行い、顧客のニーズをより理解できるような体制を構築しております。既存案件については、支援しているコンサルタントが案件を進めていく過程で、顧客のニーズをいち早くつかむようにしているほか、目的を一緒に成し遂げるためのより強固で継続的な関係性の構築を進めております。それにより早期の案件ニーズの把握やプロジェクト期間の長い案件の獲得を目指しておりますが、今後とも高い稼働率の維持に向け注力する必要があります。

 

④ 新たなビジネスモデルの開発

昨今の経営環境は、市場競争の激化や市場構造の変化等に起因した企業経営者の抱える課題が多様化・複雑化しており、これらの経営課題を解決し、調査・分析能力や企画・実行能力等の高い専門性を有するコンサルタントを求める需要が高まっております。そのため、当社グループはコンサルティング事業にて蓄積してきたノウハウ・知見を集約し、再現性の高いクラウドプロダクト事業にてソリューションの提供を行うことで、様々なコンサルティングの需要に対応できる体制を整えてまいります。

 

⑤ 内部管理体制の整備・運用

当社においては、内部管理体制の強化のため諸規程・規則の整備等を行い、組織的に業務運営を行うための体制を構築しており、引き続き、内部管理体制の強化に努めてまいります。

 

⑥ 財務上の課題

現状においては安定的に利益を計上しており、事業継続に支障を来たすような財務上の課題は認識しておりません。資金需要が生じた場合は自己資金を充当する方針でおりますが、金融機関からの借入やエクイティファイナンスも選択肢として対応してまいります。また、収益基盤の維持・拡大を図るためには、手許資金の流動性確保や金融機関との良好な取引関係が重要であると考えております。費用対効果の検討による各種コストの見直しを継続的に行うことで、さらなる財務基盤の強化を図ってまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

当社のミッションは、戦略とデジタルを融合させることで、社会のあらゆる活動を“豊か”にするための“イネーブラー”としての役割を果たすことであり、当社が定義する“豊か”とは、企業、社会、人々にとって、Healthyであること、Happyであること、Sustainableであることを意味しています。当社はこれら3つの要素の向上を通じて、世界中の企業や社会、人々を導くことを目指し経営を行っており、当社のサステナビリティに関する考え方の根幹を形成しています。また、当社は人的資本こそが最も重要な経営資産であると考え、当社に在籍する全ての社員が、性別、年齢、国籍、人種、民族、宗教、社会的地位、障がいの有無、性的指向・自認などに関わらず、多様性を互いに尊重し、認めあい、共に活躍・成長することができる職場環境・風土づくりを進めています。

当社のサステナビリティに関する取組について以下4つの枠組みで示します。

 

(1) ガバナンス

当社は現状、サステナビリティに係る基本方針を定めておらず、サステナビリティ関連のリスク及び機会、管理するためのガバナンスの過程、統制及び手続等の体制をその他のコーポレート・ガバナンスの体制と区別しておりません。

なお、当社グループは、全てのステークホルダーに配慮した経営を行い、健全で持続可能なガバナンス体制を構築するために、迅速かつ適切な意思決定とそれを担保する強固な執行体制の構築が不可欠と考えております。

また、法令・定款を遵守し、社会からの信頼に足るコーポレート・ガバナンス体制は経営の基盤であり、中長期の企業価値向上には必須の事項であります。

なお、当社のガバナンス体制の概要につきましては、「第4 提出会社の状況 4. コーポレート・ガバナンスの状況等」をご参照ください。

 

(2) 戦略

当社グループは現状、サステナビリティに係る基本方針を定めていないことから、サステナビリティ関連の戦略における、リスク及び機会に対処するための重要な取り組みは検討中であります。当社における、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。

 

① 人材育成方針

当社は人的資本こそが最も重要な経営資産であるとの考えのもと、従業員の成長を促進するために「People Development」という取り組みを推進しています。具体的には、以下の4つの指標を評価軸に、年間の目標を設定し、若手社員が成長しながら目標達成できるよう、シニア社員が1年間伴走する「カウンセリー」制度を導入しています。

 

Enjoy Working: 客観的に見て、仕事に熱狂・没頭していて、誰に対してもチャーミングに振る舞えること(笑顔、挨拶、感謝など)。

 

Value Creator: クライアントがハイパフォーマンス企業であり続けるための価値を提供することで、 最も信頼されるパートナーであることを目指す。

 

People Developer: 自身の成長に加え、部下や同僚の「採用」「育成」「成長」にも直接的に関与する。

 

Business Operator: プロフェッショナルとして、クライアントだけでなく社内に対しても自身の責務を果たす。

 

 

若手社員は1年間のシニア社員との伴走を通じて、自身のキャリアパスについて相談し、助言を受けることで、社員一人ひとりが成長し、活躍できる環境を提供しています。また、従業員の自律的なキャリア構築を支援する研修制度として、社員が学びたいセミナーや講座を自主的に研修プログラムとして構築できる、「学びのベーシックインカム」制度を導入し運用を開始いたしました。すでにスキルを持っている人材でも、さまざまな状況変化にも対応できるリスキリングや、更なる高みを目指すことも可能となります。

 

② 社内環境整備方針

当社は、Diversity & Inclusionのテーマとして、”Respect Others + Yourself” を掲げ、当社に在籍する全ての社員が、性別、年齢、国籍、人種、民族、宗教、社会的地位、障がいの有無、性的指向・自認などに関わらず、多様性を互いに尊重し、認めあい、共に活躍・成長することができる職場環境・風土づくりを進めています。優秀な人材を確保する為、即戦力として期待できる中途採用を継続するとともに、新卒の定期採用も開始しました。採用は国内にとどまらず、海外からの人材採用も積極的に実施しています。2023年10月には、全従業員を対象にウェルビーイング調査を実施し、社員のエンゲージメントレベルの把握を致しました。今後は自社にとって重要なエンゲージメント項目を整理し、定期的に把握することで、従業員一人ひとりが働きがいを持ち安心して働ける環境の整備に努めてまいります。また、他にも社員が柔軟に働ける環境の整備とワークライフバランス向上のため、フルフレックスタイム制を導入したり、業務以外での交流が会社の風土醸成や社員の幸福度向上に寄与すると考え、社内サークル活動の助成金制度を導入しています。

 

(3) リスク管理

当社グループは現状、サステナビリティに係る基本方針を定めていないことから、サステナビリティ関連のリスク管理における記載はいたしませんが、当社では、リスク管理を経営の最重要課題の一つと認識し、「リスク管理規程」を定め、独立したリスク管理機関として、リスク管理委員会を設置しております。リスク管理委員会では、法的リスク、情報漏洩に関するリスク、天災によるリスク、ITリスク、風評被害リスク、労務災害リスク等への対応を想定した体制を整備しており、事業活動に伴う重大なリスクの顕在化を防ぎ、万一リスクが顕在化した場合でもその影響を最小限に留めることで、企業価値の維持・向上を図ってまいります。また、リスク管理の一環として、災害時の社員の安全を確保するため、社員安否確認システムを導入しています。このシステムにより、迅速かつ正確に社員の状況を把握し、役職員の安全を第一に考えた適切な対応が可能となります。

 

(4) 指標及び目標

本書提出日現在において、サステナビリティ関連のリスク及び機会に関して、当社グループの実績を長期的に評価し、モニタリングするための指標及び目標は設定しておりません。今後、関連する指標のデータ収集及び分析を進め、適切な指標及び目標を設定し、その進捗に合わせて開示項目を検討してまいります。

 

 

3 【事業等のリスク】

投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。

当社グループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載事項を慎重に検討したうえで行われる必要があると考えております。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

(1) 事業内容に関わるリスクについて

① 優秀な人材の獲得・育成について(発生可能性:中、時期:特定時期なし、影響度:大)

現在展開している主要なコンサルティング事業におけるコンサルティングサービスの要となっているのは人材であり、各種サービスの品質向上、新たなサービスの企画・開発のためには、優秀な人材の採用・育成と定着が欠かせないものとなっております。しかしながら、人材獲得競争の激化により、優秀な人材の獲得が事業の拡大スピードに追い付かず事業運営が非効率なものとなった場合や在職する人材の離職が生じた場合、採用コストの増大が生じた場合には、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 競合について(発生可能性:中、時期:特定時期なし、影響度:大)

当社グループが手掛けるコンサルティング事業の遂行にあたっては、本書提出日現在において許認可制度や資格制限がないことに加え、大規模な設備投資が不要であることから、参入障壁が低い事業であると認識しております。このため大手事業者から個人事業者まで多数の事業者が事業を展開しており、今後も新規に参入する事業者を含め同業者間での競争が激しくなることが推測されます。当社では顧客企業のCxOクラスとの関係強化やJIの取組みによって、顧客の内部に入り込んだコンサルティングサービスを提供したり、AIやクラウドサービスの活用によって、競争優位性を追求しておりますが、こうした競合他社との価格・サービス競争に適切に対応できない場合には、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 収益の認識基準とプロジェクトの採算管理に関するリスクについて(発生可能性:中、時期:特定時期なし、影響度:中)

コンサルティング業務について、準委任契約(履行割合型)である一方で、収益認識については、見積もり履行義務を充足するにつれて、一定の期間にわたり収益を認識する方法を適用しており、見積総役務提供時間に対する、当連結会計年度末までに発生した実際発生時間の割合により算出した進捗度を用いて、収益を認識しております。総役務提供時間の見積りは、プロジェクトが長期にわたることがあり、当初予見できなかった事象の発生等による作業工程の遅れなどにより、変動が生じる場合があり、進捗度が変動することにより、各四半期あるいは翌連結会計年度の当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社では、プロジェクト開始時に会議体で総役務提供時間の見積もりの精査に行うとともに、月次で役務提供時間の実績をモニタリングすることで上記リスクが顕在化しないよう管理を行っております。

 

④ 特定の取引先への依存について(発生可能性:中、時期:特定時期なし、影響度:大)

最近連結会計年度の取引額上位5社の合計販売比率(売上高に占める割合)は売上高全体の53.7%、上位10社では70.3%となっております。また、本田技研工業株式会社との取引金額が連結売上高全体の16.6%、三井化学株式会社との取引金額が連結売上高全体の12.7%、パーソルクロステクノロジーズ株式会社との取引金額が連結売上高全体の10.3%を占めており、特定の取引先への依存度が高い状態にあります。当社グループでは、特定の取引先への依存による業績に対する影響を緩和するため、営業力を強化し、積極的な営業活動による新規顧客の獲得や複数部署での複数プロジェクトを受注することによる案件単位での分散化を通じて、営業基盤の拡大に努めてまいります。しかしながら、当該特定の取引先における経営方針や業績の変化などによって、契約が想定外に短期間で終了した場合や、取引先の意向により規模縮小などの契約変更を余儀なくされた場合には、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 品質について(発生可能性:中、時期:特定時期なし、影響度:大)

当社グループが展開するコンサルティング事業は、知識集約ビジネスであり、コンサルタントのサービスレベルが品質に直結するため、品質管理が重要であると考えております。教育・研修等により、品質維持・向上を図っておりますが、顧客が期待する品質のサービスが提供できない場合には、契約の継続性や新規顧客の獲得に支障を来し、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 新規事業について(発生可能性:中、時期:特定時期なし、影響度:中)

当社グループでは、収益基盤をさらに拡大するために、クラウドプロダクト事業への研究開発等の取り組みを進めておりますが、新規事業が安定して収益を生み出すまでには一定の時間を要することが予想されます。将来の事業環境の変化等により、新規事業が当社グループの目論見通りに推移せず、新規事業への投資に対し十分な回収を行うことができなかった場合や想定していたタイミングでの投資回収ができなかった場合には、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。この影響への対応としては、新規事業が目論見通りに推移しないと考えられた場合は、事業方針の転換や撤退を行うことも視野に入れ、取締役会を中心に判断を行うことで影響の低減を図ってまいります。

 

⑦ 海外展開について(発生可能性:中、時期:特定時期なし、影響度:中)

当社グループは、2024年1月に中国に子会社を設立し、事業活動を展開しております。海外における投資や事業展開は、各国における諸規制のほか、経済的、社会的及び政治的リスク等により、当社グループの想定通りに進捗しない場合や当初想定したとおりの収益を生み出さない場合があります。このような場合、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、海外子会社の責任者との情報共有を密にし、現地の経済・社会情勢に関する情報を収集して事業展開への影響を把握しております。

 

⑧ 情報セキュリティリスクについて(発生可能性:低、時期:特定時期なし、影響度:中)

コンサルティングサービスの提供にあたり、クライアントの機密情報や個人情報を有することがあります。また、秘密保持契約等によってクライアントに対して守秘義務を負っております。そのため当社グループの役員及び従業員に対して、守秘義務の遵守、機密情報や個人情報の情報管理の徹底、PCログのモニタリング、厳格なアクセス制限等を行っております。しかしながら、不測の事態により、これらの情報が外部に漏洩した場合には、損害賠償や契約解除といった事態につながる可能性や当社グループの社会的信用に重大な影響を与える可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 経営環境に関わるリスクについて

① コンサルティング事業への依存について(発生可能性:中、時期:特定時期なし、影響度:大)

当社グループの営業収益は、主にコンサルティング事業による収益となっております。本書提出日現在では、クラウドプロダクト事業において研究開発に取り組む他、コンサルティング事業を更に発展させるべく今後も積極的な営業施策や広告宣伝による法人顧客の増加、提供サービスの拡充、事業規模拡大を通じた認知度向上等により、当社グループ全体の収益規模の拡大を図っております。しかしながら、新たな法的規制の導入や改正、その他予期せぬ要因によって、当社の想定通りに事業が発展しない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

② 業績の季節変動性について(発生可能性:中、時期:特定時期なし、影響度:大)

コンサルティング事業においては、顧客の決算期末に向けてプロジェクトが集中する傾向があり、当社グループの顧客の多くはその決算期を3月末としているため、当社グループの通期の業績に占める第3四半期の比重が高くなっております。また当社は成長フェーズにあるため、パートナー及びコンサルタントの採用を強化しており、採用関連費用の発生タイミングによっては、四半期の経営成績が一時的に悪化する可能性があります。このため、特定の四半期業績のみをもって通期業績見通しを判断することは困難です。

当社グループは、引き続き決算期の異なる顧客の積極開拓や通年でのプロジェクトの安定受注、採用の平準化を図り、季節変動性の緩和を図っていく方針ですが、今後につきましても、業績の季節変動性は一定程度続くことが考えられます。なお、第8期及び第9期における四半期別の売上高、営業利益、採用関連費用の推移は、次のとおりであります。なお、当該数値は金融商品取引法第193条の2項1項の規定による監査証明を受けておりません。

 

                                   単位:千円

第8期

第1四半期会計期間

(2022年6月1日から

2022年8月31日)

第2四半期会計期間

(2022年9月1日から

2022年11月30日)

第3四半期会計期間

(2022年12月1日から

2023年2月28日)

第4四半期会計期間

(2023年3月1日から

2023年5月31日)

売上高

488,288

597,692

819,156

701,448

営業利益

141,129

188,706

365,237

41,196

採用関連費用

51,223

38,835

14,783

83,187

 

                                   単位:千円

第9期

第1四半期連結会計期間

(2023年6月1日から

2023年8月31日)

第2四半期連結会計期間

(2023年9月1日から

2023年11月30日)

第3四半期連結会計期間

(2023年12月1日から

2024年2月28日)

第4四半期連結会計期間

(2024年3月1日から

2024年5月31日)

売上高

781,905

854,029

1,155,164

1,384,225

営業利益

又は営業損失(△)

114,730

△34,470

67,907

221,461

採用関連費用

101,382

228,722

173,489

78,795

 

 

③ 社歴が浅いことに関するリスクについて(発生可能性:低、時期:特定時期なし、影響度:中)

当社は、設立自体は2017年1月であるものの、実質的には2021年3月より事業を開始しており、社歴の浅い会社であります。また、2022年5月期は決算期変更により2022年3月1日から2022年5月31日までの3か月決算となっていることもあり、当社グループの過年度の経営成績は期間業績比較を行うための十分な材料とはならず、過年度の業績のみでは今後の業績を判断する情報としては不十分な可能性があります。2022年5月期を2021年6月を期初とした12か月決算であると仮定した場合の主な業績概算値は下表のとおりです。なお、当該概算額は金融商品取引法第193条の2第1項の規定による監査証明を受けておりません。

                                         単位:千円

 

2022年5月期プロフォーマ

(2021年6月1日から2022年5月31日まで)

売上高

1,298,530

営業利益

241,773

 

 

④ 景気変動に関するリスク(発生可能性:中、時期:特定時期なし、影響度:中)

当社グループがコンサルティングサービスを提供する主要クライアントは、グローバルに事業を展開しております。クライアント企業との関係を深化、新規取引先の開拓及び提供できる案件の拡充により、リスク低減に努めておりますが、国内外の景気動向や外国為替相場の変動、税制及び法令等の改正により、主要クライアントが事業投資やIT投資を抑制した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑤ 為替変動に関するリスクについて(発生可能性:中、時期:特定時期なし、影響度:小)

当社グループは、2024年1月に中国に子会社を設立し、グローバルに事業活動を展開しており、為替レートの変動の影響を一定程度受ける状況にあります。海外子会社の財務諸表は現地通貨にて作成されるため、連結財務諸表作成時に円換算されることになり、為替相場の変動による円換算時の為替レートの変動が、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 財務活動に関わるリスクについて

① 調達資金の使途について(発生可能性:低、時期:特定時期なし、影響度:小)

当社の公募増資による調達資金の使途は、主としてコンサルティング事業におけるコンサルタントの採用費及びクラウドプロダクト事業における研究開発投資、人員拡大に伴う本社オフィス増床等への充当を考えております。しかしながら、事業環境の変化に伴い、現在計画している資金使途を変更する可能性があります。また、現在の計画通りに資金を使用したとしても、期待通りの効果をあげられない場合があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。仮に資金使途に変更が生じた場合には速やかに適時開示を行います。

 

② 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について(発生可能性:高、時期:特定時期なし、影響度:小)

当社では、インセンティブを目的としたストック・オプション制度を採用しており、当社の一部の役職員等に対してベスティングを付した新株予約権を付与しております。また、今後においても役職員向けの株式報酬制度等を活用する可能性があります。これらの新株予約権等が行使された場合、又は今後新たに新株予約権の発行が行われ、当該新株予約権の行使が行われた場合は、保有株式の価値が希薄化する可能性があります。

なお、本書提出日現在、新株予約権による潜在株式数は782,420株であり、発行済株式総数5,215,600株の15.0%に相当しておりますが、行使期間開始日は2026年9月21日であり、年間行使可能株数はべスティング条項で制限がされております。

 

③ 配当政策について(発生可能性:低、時期:特定時期なし、影響度:小)

当面は株主への長期的な利益還元を実現するために、環境変化に対応した事業展開を行うとともに、内部留保資金の充実を図る方針でおります。将来は、株主への利益還元と財務体質並びに内部留保の充実のバランスを考慮しながら、配当を検討することもありえますが、現時点においては配当実施の可能性及びその実施時期につきましては未定であります。

 

(4) その他のリスク

① 訴訟について(発生可能性:低、時期:特定時期なし、影響度:中)

当社グループは、法令及び契約等の遵守に努めており、本書提出日現在、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす訴訟等は提起されていませんが、将来、当社グループの法令違反の有無に関わらず何らかの原因で取引先、同業他社、株主、各種団体等による訴訟を提起される可能性があります。これらの訴訟等が提起される場合及び当該訴訟等において当社グループに不利な判断がなされた場合には、当社グループの社会的信用、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 風評リスクについて(発生可能性:低、時期:特定時期なし、影響度:小)

当社グループは、クライアントニーズを充足する高品質なコンサルティングサービスの提供に努めるとともにコーポレート本部にて定期的な役員及び従業員に対する研修等により、情報管理やコンプライアンスに対する意識を浸透させ、経営の健全性、効率性及び透明性の確保を図っております。しかしながら、提供するコンサルティングサービスや役員及び従業員に対して意図的に根拠のない噂や悪意を持った評判等を流布された場合には、当社グループの社会的信用、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

③ 特定人物への依存について(発生可能性:低、時期:特定時期なし、影響度:中)

当社の代表取締役代表パートナーである輪島総介は、創業者であると同時に当社のコンサルティング事業本部長を務め、創業以来当社グループの事業推進、経営方針や事業戦略の決定、新規案件の獲得及びその遂行において重要な役割を担ってまいりました。

当社では、複数代表取締役制度を導入し、代表取締役社長の田中耕平がグループ全社を統括するとともに、輪島が関与する案件に牽制が効く、決裁プロセスを構築するとともに、取締役会や経営戦略会議等において役員及び社員への情報共有や権限委譲を進めるなど組織体制の強化を図りながら、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めております。しかしながら、何らかの理由により同氏が当社グループの経営執行を継続することが困難になった場合には、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 大株主について(発生可能性:低、時期:特定時期なし、影響度:小)

当社の代表取締役である輪島総介及び同氏の資産管理会社の所有株式数は、本書提出日現在で発行済株式総数の72.8%となっており、引き続き大株主となる見込みです。同氏は、安定株主として引き続き一定の議決権を保有し、その議決権行使に当たっては、株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。

同氏は、当社の創業者であるとともに代表取締役であるため、当社といたしましてもこれらは安定株主であると認識しておりますが、将来的に何らかの事情によりこれらの当社株式が売却された場合には、当社株式の市場価格及び流通状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 自然災害、事故等について(発生可能性:低、時期:特定時期なし、影響度:小)

当社グループでは、自然災害、事故等に備え、サービスの定期的バックアップ、稼働状況の常時監視等によりトラブルの事前防止又は回避に努めておりますが、当社グループの所在地近辺において、大地震等の自然災害が発生し、当社グループが保有する設備の破損や電力供給やインターネットアクセスの制限等の事業継続に支障をきたす事象が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 内部管理体制の強化について(発生可能性:低、時期:特定時期なし、影響度:中)

当社グループは、コーポレート・ガバナンス、コンプライアンス及びリスク管理を経営の重要課題と位置づけ、内部統制システムの適切な運用に努め、同システムの充実・強化を継続的に図っております。しかしながら、適切な管理体制のもとで役職員の不正及び不法行為の防止に万全を期しているものの、万が一不正及び不法行為が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 知的財産権に関するリスクについて(発生可能性:低、時期:特定時期なし、影響度:中)

当社グループは、当社グループが運営する事業に関する知的財産権の取得に努め、当社グループが使用する商標、技術・コンテンツ等についての保護を図っておりますが、当社グループの知的財産権が第三者の侵害から保護されない場合、又は知的財産権の保護のために多額の費用が発生する場合には、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 当社株式の流動性について(発生可能性:中、時期:短期、影響度:中)

当社グループは、株式会社東京証券取引所への上場を予定しており、上場に際しては、公募増資及び売出しによって当社株式の流動性の確保に努めることとしておりますが、株式会社東京証券取引所の定める流通株式比率は新規上場時において、27.5%にとどまる見込みです。今後は、当社の事業計画に沿った成長資金の公募増資による調達、役職員への一部売出しの要請、従業員持株会の活性化、ストック・オプションの行使による流通株式数の増加分を勘案し、これらの組み合わせにより、流動性の向上を図っていく方針ではありますが、何らかの事情により上場時よりも流動性が低下する場合には、当社株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当社株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況

① 財政状態の状況

第9期連結会計年度(自 2023年6月1日 至 2024年5月31日)

2023年10月に株式会社アバランチの株式を取得し、子会社化するとともに、2024年1月に中華人民共和国上海市に上海巨球協英信息技術有限公司を設立、同年5月には株式会社Laboro.AIと合弁でX-AI. Labo株式会社を設立しております。従って当連結会計年度から連結財務諸表を作成しているため、前連結会計年度との比較分析は行っておりません。

(資産)

当連結会計年度末における総資産は、2,593,628千円となりました。

流動資産は2,061,576千円となりました。この主な内訳は、現金及び預金が1,388,848千円、電子記録債権・売掛金及び契約資産が603,540千円であります。

固定資産は532,051千円となりました。この主な内訳は、繰延税金資産が118,378千円、のれんが104,450千円であります。

 

(負債)

当連結会計年度末における負債は1,041,629千円となりました。

流動負債は947,800千円となりました。この主な内訳は、未払金が210,467千円、未払費用が256,979千円、賞与引当金が270,297千円であります。

固定負債は93,829千円となりました。この主な内訳は、役員退職慰労引当金が52,276千円、資産除去債務が41,552千円であります。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は1,551,998千円となりました。この主な内訳は、資本金90,000千円、資本剰余金459,000千円、利益剰余金936,870千円であります。

 

 

第10期第1四半期連結累計期間(自 2024年6月1日 至 2024年8月31日)

(資産)

 当第1四半期連結会計期間末における総資産は、3,336,047千円となりました。

 流動資産は2,802,782千円となりました。この主な内訳は、現金及び預金が1,905,627千円、電子記録債権・売掛金及び契約資産が809,884千円であります。
  固定資産は533,265千円となりました。この主な内訳は、のれんが101,677千円、敷金が103,541千円であります。

 

(負債)

 当第1四半期連結会計期間末における負債は997,093千円となりました。

 流動負債は895,110千円となりました。この主な内訳は、未払金が148,123千円、未払費用が309,383千円、未払法人税等が135,321千円であります。

 固定負債は101,982千円となりました。この主な内訳は、役員退職慰労引当金が56,721千円、資産除去債務が45,260千円であります。

 

(純資産)

当第1四半期連結会計期間末における純資産は2,338,954千円となりました。この主な内訳は、資本金90,000千円、資本剰余金752,223千円、利益剰余金1,336,748千円であります。

 

 

② 経営成績の状況

第9期連結会計年度(自 2023年6月1日 至 2024年5月31日)

当連結会計年度における我が国の経済は、社会経済活動の正常化が進展すると共に、企業収益や個人消費の持ち直しが見られ、景気は緩やかな回復基調で推移しました。一方で、世界的な金融引締めに伴う為替変動の影響、継続的な物価上昇圧力に伴う世界経済の下振れリスクにより、依然として先行きが不透明な状況にあります。

当社グループの事業領域においては、円安やインフレーション進行による景況感の悪化などによる先行きが不透明な状況ではありましたが、社会経済活動の正常化に伴い各業界・各社において投資意欲も底堅く推移しました。日本企業においては更なる付加価値の向上やビジネス機会創出などの取組みを行っており、コンサルティング業界へのニーズは引き続き高い状態が続くと予想されます。

 

(売上高)

当連結会計年度においては、パートナークラスを中心にコンサルタントの中途採用に注力し、コンサルタント人員数を着実に伸ばしたことにより、売上高は4,175,324千円となりました。主な増減理由については、セグメントごとの経営成績に記載しております。

 

(売上原価、売上総利益)

売上原価は1,527,874千円となりました。これは、主に人員数の増加及びコンサルタントのベースアップ等によるものであります。その結果、売上総利益は2,647,450千円となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

販売費及び一般管理費は2,277,821千円となりました。これはパートナーを中心としたコンサルタント人材の採用及び育成の強化を図ったことにより、採用活動費が増加したことや、長期大型案件獲得に向けた営業方法論の確立や内部管理体制の強化を図ったことによる人件費等の増加等によるものであります。この結果、営業利益は369,628千円となりました。

 

(営業外収益、営業外費用及び経常利益)

営業外収益は16,588千円となりました。これは主に、連結子会社における役員保険の解約等によるものであります。営業外費用は7,417千円となりました。これは主に為替差損が生じたことによるものであります。この結果、経常利益は378,800千円となりました。

 

(特別利益、特別損失、法人税等合計及び親会社株主に帰属する当期純利益)

特別利益は15,115千円となりました。これは主に、連結子会社で保有していた投資有価証券の売却益や新株予約権戻入益が生じたものによるものであります。

特別損失は743千円となりました。これは主にオフィス備品の除却等によるものであります。

法人税等合計は132,664千円となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は260,507千円となりました。

 

セグメントごとの経営成績は以下の通りになります。

(コンサルティング事業)

様々な業界に対して戦略策定・DX推進等をあらゆる側面から支援するため、パートナークラスを中心にコンサルタントの中途採用を進め、新規案件の獲得や既存案件の規模拡大を図りました。

以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高は4,173,524千円、セグメント利益は980,014千円となりました。

 

 

(クラウドプロダクト事業)

クラウドプロダクトの開発を行うために、71,067千円を投資し、セールススイート及びスペンドインテリジェンススイートの2つのプロダクトの開発を推進し、新規顧客を獲得し、サービスの提供を開始しました。

当セグメントにおける売上高は小規模なものとなっており、投資が先行している段階にあることから、当連結会計年度の経営成績は、売上高は1,800千円、セグメント損失(営業損失)は123,558千円となりました。

 

 

第10期第1四半期連結累計期間(自 2024年6月1日 至 2024年8月31日)

 当第1四半期連結累計期間における我が国の経済は、社会経済活動の正常化が進展すると共に、企業収益や個人消費の持ち直しが見られ、景気は緩やかな回復基調で推移しました。一方で、世界的な金融引締めに伴う為替変動の影響、継続的な物価上昇圧力に伴う世界経済の下振れリスクにより、依然として先行きが不透明な状況にあります。当社グループの事業領域においては、円安やインフレーション進行による景況感の悪化などによる先行きが不透明な状況ではありましたが、社会経済活動の正常化に伴い各業界・各社において投資意欲も底堅く推移しました。日本企業においては更なる付加価値の向上やビジネス機会創出などの取組みを行っており、コンサルティング業界へのニーズは引き続き高い状態が続くと予想されます。

 

(売上高)

 当第1四半期連結累計期間においては、パートナークラスを中心にコンサルタントの中途採用に注力し、コンサルタント人員数を着実に伸ばしたことにより、売上高は1,720,381千円となりました。主な増減理由については、セグメントごとの経営成績に記載しております。

 

(売上原価、売上総利益)

 売上原価は504,344千円となりました。これは、主に人員数の増加及びコンサルタントのベースアップ等によるものであります。その結果、売上総利益は1,216,036千円となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 販売費及び一般管理費は605,826千円となりました。これはパートナーを中心としたコンサルタント人材の採用及び育成の強化を図ったことにより、採用活動費が増加したことや、長期大型案件獲得に向けた営業方法論の確立や内部管理体制の強化を図ったことによる人件費等の増加等によるものであります。この結果、営業利益は610,210千円となりました。

 

(営業外収益、営業外費用及び経常利益)

 営業外収益は8,412千円となりました。これは主に、為替差益が生じたことによるものであります。この結果、経常利益は618,623千円となりました。

 

(特別利益、特別損失、法人税等合計及び親会社株主に帰属する当期純利益)

 特別利益は2,812千円となりました。これは主に、新株予約権戻入益が生じたものによるものであります。

 法人税等合計は214,189千円となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は399,877千円となりました。

 

セグメントごとの経営成績は以下の通りになります。

(コンサルティング事業)

 様々な業界に対して戦略策定・DX推進等をあらゆる側面から支援するため、パートナークラスを中心にコンサルタントの中途採用を進め、新規案件の獲得や既存案件の規模拡大を図りました。

 以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高は1,719,481千円、セグメント利益は819,359千円となりました。

 

 

(クラウドプロダクト事業)

 クラウドプロダクトの開発を行うために、23,944千円を投資し、セールススイート及びスペンドインテリジェンススイートの2つのプロダクトの開発を推進し、新規顧客を獲得し、サービスの提供を開始しました。

 当セグメントにおける売上高は小規模なものとなっており、投資が先行している段階にあることから、当連結会計年度の経営成績は、売上高は900千円、セグメント損失(営業損失)は38,176千円となりました。

 

 

③ キャッシュ・フローの状況

第9期連結会計年度(自 2023年6月1日 至 2024年5月31日)

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末より254,047千円減少し、1,388,848千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動の結果使用した資金は、72,963千円となりました。主な要因としては、税金等調整前当期純利益393,171千円の計上、賞与引当金の増加264,995千円、未払費用の増加89,509千円等があったものの、法人税等の支払454,174千円、売上債権及び契約資産の増加357,392千円等があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は、221,895千円となりました。主な要因としては、投資有価証券の売却による収入49,559千円等があったものの、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得214,197千円、無形固定資産の取得による支出72,390千円、有形固定資産の取得による支出19,374千円等があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動の結果獲得した資金は、43,117千円となりました。主な要因としては、新株予約権の発行による収入によるものです。

 

 

④ 生産、受注及び販売の状況
a 生産実績

当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。

 

b 受注実績

当社が提供するサービスの性格上、受注実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。

 

c 販売実績

当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。

 

事業の名称

第9期連結会計年度

(自 2023年6月1日

至 2024年5月31日)

第10期第1四半期連結累計期間

(自 2024年6月1日

至 2024年8月31日)

販売高

(千円)

前期比

(%)

販売高

(千円)

前期比

(%)

コンサルティング事業

4,173,524

1,719,481

クラウドプロダクト事業

1,800

900

合計

4,175,324

1,720,381

 

(注) 1.当連結会計年度から連結財務諸表を作成しているため、前期比については記載しておりません。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

第8期事業年度

(自 2022年6月1日

至 2023年5月31日)

第9期連結会計年度

(自 2023年6月1日

至 2024年5月31日)

第10期第1四半期

連結累計期間

(自 2024年6月1日

至 2024年8月31日)

販売高

(千円)

割合

(%)

販売高

(千円)

割合

(%)

販売高

(千円)

割合

(%)

本田技研工業株式会社

19,800

0.8

693,363

16.6

378,558

22.0

株式会社MTG

180,000

4.3

235,847

13.7

パーソルクロステクノロジー株式会社

163,234

6.3

430,644

10.3

162,164

9.4

三井化学株式会社

673,261

25.8

532,343

12.7

29,212

1.7

三菱マテリアル株式会社

600,747

23.0

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a 経営成績

経営成績の状況につきましては「(1)経営成績等の状況 ① 財政状態の状況」に記載のとおりです。

 

b 財政状態

財政状態の状況につきましては「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。

 

c 経営方針、経営戦略又は経営上の目標の達成を判断するための客観的な指標等の分析

経営方針、経営戦略又は経営上の目標の達成を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)経営戦略」に記載のとおり、「コンサルタント人員数」、「コンサルタント平均年収」、「JI売上高比率」及び「AI関連売上高」を経営指標として重視しております。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

「キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に含めて記載しております。

当社グループの資金需要のうち主なものは、コンサルタントの人件費や採用費等の営業費用であります。これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローにより大部分の運転資金の確保が可能です。そのため、資金需要につきましては、主に営業キャッシュ・フローを原資とし、金利動向や株式マーケットの状況を勘案して、必要に応じて金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等で資金調達していく方針としております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。これらの見積りについては過去の実績や現状等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

当社は、パーソルクロステクノロジー株式会社と2023年8月31日付で「アドバイザリー業務委託基本契約書」を締結しております。契約内容の要旨は、以下のとおりであります。

 

契約相手先

契約の名称

契約の内容

契約期間

パーソルクロステクノロジー株式会社

アドバイザリー業務委託基本契約

当社の社員をパーソルクロステクノロジー株式会社に出向させるにあたり、アドバイザリー業務の内容及び対象範囲は、当社グループが提供する経営戦略及び実行支援並びにこれらに付随する業務支援、新規事業戦略・実行支援等のコンサルティングサービスとし、合理的範囲で個別契約の締結を申込むものとする。

 

 

 

6 【研究開発活動】

第9期連結会計年度(自 2023年6月1日 至 2024年5月31日)

当社グループは2023年5月期より当社グループがコンサルティング事業にて提供するコンサルティングノウハウの“極めて再現性の高い”分析や、インパクト抽出の方法論をプロダクトに実装できるような研究開発を実施してまいりました。

具体的には71,067千円を投資し、セールススイート及びスペンドインテリジェンススイートの2つのプロダクトの開発及び2つのテーマに沿った研究開発を進め、既存事業の変革や新事業の創出を支えるプロダクトの提供を目指しています。

なお、コンサルティング事業では研究開発活動は実施しておりませんので記載を省略いたします。

 

① セールススイート

売上明細データを取り込み、顧客のセグメンテーションを通した見える化と、重点的にフォローすべき顧客が動的に分かるサービスを通して、NRR及び営業生産性の向上を目指します。2024年10月末に製品正式ローンチを予定しております。

 

② スペンドインテリジェンススイート

企業の外部支出を最適化することを目指すソリューションシステムであり、コンサルティングの知見に基づく支出費目の分解、最適化余地シミュレーション、最適化戦略立案支援、戦略に基づく見積もり/サプライヤーの選定支援などの機能を有することで、継続的な企業支出の最適化サイクルを目指します。2024年1月よりスペンドインテリジェンスの企画を開始しており、初期仮説検証を行い、MVP(Minimum Viable Product)の完成を目指しています。

 

第10期第1四半期連結累計期間(自 2024年6月1日 至 2024年8月31日)

引き続き当社グループがコンサルティング事業にて提供するコンサルティングノウハウの“極めて再現性の高い”分析や、インパクト抽出の方法論をプロダクトに実装できるような研究開発を実施してまいりました。

具体的には23,944千円を投資し、セールススイート及びスペンドインテリジェンススイートの2つのプロダクトの開発及び2つのテーマに沿った研究開発を進め、既存事業の変革や新事業の創出を支えるプロダクトの提供を目指しています。

セールススイートにおいては2024年10月末の製品正式ローンチに向けて研究に取り組んでおります。

なお、コンサルティング事業では研究開発活動は実施しておりませんので記載を省略いたします。

 

当社グループにおける主な研究開発活動は以下のとおりです。

 

① セールススイート

 売上明細データを取り込み、顧客のセグメンテーションを通した見える化と、重点的にフォローすべき顧客が動的に分かるサービスを通して、NRR及び営業生産性の向上を目指します。2024年10月末に製品正式ローンチを予定しております。

 

② スペンドインテリジェンススイート

企業の外部支出を最適化することを目指すソリューションシステムであり、コンサルティングの知見に基づく支出費目の分解、最適化余地シミュレーション、最適化戦略立案支援、戦略に基づく見積もり/サプライヤーの選定支援などの機能を有することで、継続的な企業支出の最適化サイクルを目指します。2024年1月よりスペンドインテリジェンスの企画を開始しており、初期仮説検証を行い、MVP(Minimum Viable Product)の完成を目指しています。