第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1)会社の経営方針

《Mission/経営理念》

 当社は「Technology Makes Happiness」を経営理念として掲げ、先端技術で豊かな社会を創ることを目指しております。

 

《Vision》

 最高のバリューを提供し続けること

①社員第一主義、②最高のバリュー提供、③コンプライアンス遵守

 

(2)経営環境

 半導体は身近な電化製品から電気自動車、生成AIなど、あらゆるテクノロジーに用いられており、半導体市場全体としては、全世界の市場規模が2030年には160兆円(1兆ドル 1ドル=160円で換算)にも成長することが見込まれています。

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出所:SEMI, May 9, 2022 ISS 2022: Semiconductor Industry Market Outlook and Prospects for Reaching $1 Trillion by 2030

   経済産業省(2021.3.24)「第1回半導体・デジタル産業戦略検討会議」

   WSTS 2024年春季半導体市場予測

 

 半導体市場が拡大する中で部品や装置の調達が困難になっており、当社の属するアフターマーケット市場においても半導体工場の老朽化が進み、アフターマーケットの需要が拡大しております。一方で、装置の搬入や部品の選定・修理ができるエンジニアが工場に不足している状況にあります。2021年には2.7兆円であったアフターサービス市場規模が2024年には4.1兆円に拡大するものと見込まれております。中古半導体製造装置市場においても年々拡大しており、2023年には潜在市場として3.8兆円(240億ドル 1ドル=160円で換算)にまで拡大しているものとみております。

 そのような状況の中、部品・装置情報を集約した越境ECプラットフォームとエンジニアリング力の両方をトータルソリューションとして提供しております。

 

世界のポストセールス市場の売上推移と予測                          単位:百万円

事業分類

ウエハサイズ(注)

2021年

2022年

2023年

2024年

中古装置

200mm以下

242,705

256,490

281,370

293,469

300mm以下

298,571

328,732

368,180

404,998

中古装置合計

541,276

585,222

649,550

698,467

アフターサービス

2,726,699

3,108,437

3,574,703

4,110,908

総合計

3,267,975

3,693,659

4,224,253

4,809,375

出所:Global Net Corp. 半導体製造装置・ポストセールス市場年鑑2021

(注)ウエハサイズについて:ミリとは、半導体チップを製造する材料であるウエハの直径サイズを意味しております。200㎜ウエハは、過去に広く使われてきた標準的なサイズですが、現在では生産効率の高いより大きな300㎜のウエハが主流になっております。200㎜ウエハを使っている工場は、古い技術を使っていることが多く、レガシー工場と呼ばれることがあります。

 

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(3)優先的に対処すべき事業上および財務上の課題

 当社は、半導体製造装置のフィールドソリューションに注力し、国内の半導体メーカーの支援を行ってまいりました。今後も継続して顧客ニーズにフレキシブルに対応し、より強固な経営基盤を築いていくには、以下に掲げる課題に対処していかねばならないと考えております。

 

① 人材の育成・確保

 当社の事業を強化していくためには、営業力強化が必須であると考えております。そのためには、エンジニアリング力およびソリューション営業力の強化が必要であり、優秀な人材を確保・育成させることを事業展開における主要な課題と考えております。そのために、定期採用(新卒採用)・期中採用(中途採用)の適切なバランスを念頭におきながら積極的な人材確保に努めております。また、当社は優秀な人材を育成・定着させるため、個人の成長を重視した人事評価制度を導入しております。

 

 

② プラットフォーム(デジタル)ソリューションの拡張

 当社は、半導体製造装置に知見のある技術営業人員が多数在籍し、より多くの商談を重ねることにより受注を拡大してまいりました。一方で、ソリューション営業力を強化していくためには、エンジニアリング力に加えて当社越境ECサイト「LAYLA-EC」をはじめとしたプラットフォーム(デジタル)ソリューションを融合させたサービスを提供していく必要があります。この課題に対応するため、当社越境ECサイト「LAYLA-EC」の更なる国内浸透に加え、当社競売サイト「LAYLA-Auction」を開設し、差別化を図ってまいります。

 

③ 収益力の向上および内部留保の確保

 当社の収益構造のうち、エンジニアリング力を活用した装置販売サービスについては、装置の需給により利益率が装置により異なります。また越境ECプラットフォーム等を利用した部品販売・修理サービスと比較して、売上高が高く、仕入原価率が高い傾向にあります。そのため相対的に売上総利益率が低下する要因となっております。

 しかしながら、利益額としては一定額を確保でき、なおかつ新たな顧客開拓にも繋がるために積極的に営業展開を行っております。

 また、長期的には、サービスラインナップの拡充や顧客深耕により、収益力の向上に取り組み、内部留保を確保することで財務基盤の安定化を図ってまいります。

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社では中長期での事業成長および企業価値向上を最優先として経営を行っております。今後も、事業の安定的かつ継続的な成長を軸に、投資を継続することが当社の企業価値向上にとって最重要であると考えております。

 当社では事業成長の指標となる売上高・営業利益の絶対額、収益性を計る指標となる売上総利益率・営業利益率を重要視しています。なお、中長期的な目標として売上総利益率は25%、営業利益率は15%を掲げております。

 当社は成長過程にあるため、売上や営業利益の絶対額が過去と比較して成長しているのかをモニタリングすることは成長性という観点で重要であると認識しています。また、事業全体の収益性を示す利益率は、事業サービスの価値を示す指標にもなるため、重要指標として判断しております。成長と収益性の両輪をモニタリングすることで企業価値向上に繋げております。

 

(5)中期的な経営戦略

 当社が対応すべき主な経営戦略は、以下の項目であります。

 

① 既存事業の拡大

 半導体メーカーで遊休化する中古装置が増加するなか、2023年7月に立ち上げた半導体製造装置に特化した競売プラットフォームシステム「LAYLA-Auction」を新たなソリューションとして、半導体メーカーの保管スペースや廃棄コスト削減ニーズに対応すべく、サービスを展開してまいります。

 また、TSMC(JASM)およびSONYによって熊本に大規模投資が行われるなか、両社工場に隣接したエリアに営業拠点を設置し、ソリューション営業を展開し、受注拡大を狙ってまいります。

 

② 新規事業の推進

 2024年12月に、当社の専門性・事業領域を活かした半導体工場向け半導体人材プラットフォーム「LAYLA-HR」を構築し、専門性に特化した人材紹介サービスを開始いたしました。

 本サービスは、半導体業界における知見とネットワークを活用し、企業と専門人材を効率的にマッチングする革新的なソリューションを提供します。これにより、業界の人材不足問題の解決に寄与するとともに、当社の長期的な収益基盤の確立を目指します。

 また、半導体工場に関わるあらゆるサプライチェーン課題を解決すべくプラットフォーム力を活かしたサービスをさらに拡大してまいります。

 

③ 事業販路の拡大

 装置延命のトータルソリューション(エンジニアリング力×プラットフォーム力)を活かし海外展開し、さらなる飛躍を目指してまいります。

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ全般

 「Technology Makes Happiness」を経営理念に掲げ、先端技術で豊かな社会を創ることを目指しています。かかる経営理念を実現するため、当社の企業価値向上を図ると同時に、社会の持続的な成長に貢献していきたいと考えています。

 当社は、半導体製造装置の延命を通じて、環境への配慮と経済的な持続可能性を両立させております。半導体工場のレガシー装置を維持し、そのライフ(寿命)を延ばすことは、複数の側面でサステナビリティに貢献します。

 第一に、新しい装置を製造する際に必要な原材料やエネルギーの消費を削減します。これにより、資源の節約と温室効果ガスの排出削減に寄与します。また、中古装置の再利用は廃棄物の削減にもつながり、環境への負担を軽減します。さらに、中古装置の改善は、テクノロジーの進化にも対応できる重要な要素となります。

 既存の装置を改善することで、性能向上と効率化を実現し、半導体工場の競争力を高める重要な要素ともなります。

 当社のビジネスは、長期的な視点で半導体製造におけるサステナビリティの進化をリードする一翼を担い、技術と環境への貢献を継続的に追求していきます。この取り組みが、私たちの株主、顧客、そして社会全体に持続可能な価値を提供するものと信じております。

 

(2)ガバナンス

 当社における、サステナビリティ関連のリスクおよび機会を把握・管理するためのガバナンス体制は、「第4 提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等(1)コーポレート・ガバナンスの概要 ② 企業統治の体制の概要および当該体制を採用する理由」に記載のコーポレート・ガバナンスの体制と同様であり、関係部署やそれぞれの会議体が責任をもってその取り組みを推進しています。

 

(3)リスク管理

 当社は、事業運営やサステナビリティに関するリスクや課題に対して、リスクコンプライアンス委員会を設置しており、当委員会において優先度の高いリスクや課題の抽出を行い、対応策の策定の上、取締役会にて報告を行っております。具体的には、「第4 提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等(1)コーポレート・ガバナンスの概要 ② 企業統治の体制の概要および当該体制を採用する理由 e.リスクコンプライアンス委員会」に記載のとおりです。

 

(4)人材に関する戦略

 当社は、ビジョンの一つに社員第一主義を掲げ、「社員」が最大の資産と捉え、企業活動に取り組んでおります。社員が輝いて働く会社こそ、顧客へ提供するバリューも高く顧客満足も高いと考えているからあり、当社では、社員を最大限サポートできることが経営の重要課題と位置付け、働きやすい環境の整備と多様な人材活用に取り組んでおります。

 

① 働きやすい環境

 当社では最高のバリューを提供し続けるために社員が健康的に働ける環境を整えており、特に長時間労働は心身に不調を引き起こす可能性があることから、安心して働きやすい環境の維持・発展に向けた取り組みを継続的に実施しております。

 なお、当社では、月平均残業時間を15時間以下に維持することを目標としております。

(当社における残業時間の状況)

 

 

 

2023年11月期

2024年11月期

月平均残業時間時間

14.3

22.0

 

② 多様な人材活用

 当社は、持続的成長を実現し、最高のバリューを提供する企業であるには、国籍、人種、性別、宗教等に関わらず、多様性を重視し、個々人および組織が最大限の力を発揮できる環境が必要であると考えております。

 こうした考えのもと、人材の多様性の確保に関する方針については、次の指標を用いており、当社では、従業員に占める外国籍従業員の割合40%を確保・維持することを目標としております。

(当社における外国籍の従業員の状況)

 

 

2023年11月末

2024年11月末

外国籍従業員数

10

12

外国籍比率

29.4

30.8

 

3【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであり、将来において発生する可能性のある全てのリスクを網羅したものではありません。

 

(1)事業環境等に関するリスク

① マクロ経済環境について

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:短期~長期、影響度:中)

当社は主に台湾や韓国、米国などの海外のサプライヤーから部品等を輸入しています。また、販売先は国内を中心とした半導体工場です。半導体は、コンピューター関連製品、スマートフォン、自動車、家電製品など様々な分野で利用されますが、これらの製品の製造は、景気、技術革新に伴う新製品の動向、地政学的リスクによって、生産動向が大きく変動します。そこに組み込まれる半導体についても、連動して需要や価格が変動します。各半導体工場はこうした半導体の需要の見通しに従って、必要供給量を勘案し、設備投資の推進・抑制を図ります。そのため、半導体製造装置や当該装置のメンテナンス部品を販売する当社の業績は、国内外の景気、経済動向、技術革新、社会情勢および地政学的リスク等に影響を受けます。

また、国の貿易政策により、関税等による仕入コストの上昇、国を跨いだ輸送の遅延等が生じる可能性があります。加えて、ロシア・ウクライナ問題の長期化、イスラエル・パレスチナ問題の更なる悪化、中台関係の悪化、世界的なインフレの長期化、新興国の成長鈍化、その他地域における地政学的リスクの増大等により世界経済が低迷する場合、当社の販売にも影響を及ぼす可能性があります。さらには、「③ 感染症の世界的流行について」に記載のとおり、感染症の世界的な感染拡大等が再度発生した場合、世界全体の経済活動に影響が生じる可能性があります。当社は、マクロ経済環境について注視しながら事業運営を進めていく方針ですが、上記のような影響が生じた場合、当社の事業や経営成績、財政状態およびキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、こうしたマクロ経済動向による事業等に及ぼすリスクについて、リスクコンプライアンス委員会において総合的に管理・検討する体制とし、また必要に応じて、対処すべきリスクを取締役会へ報告、審議することとしております。また、かかるリスクの発現の兆候を早いタイミングで察知すべく、市場動向や競合状況の調査・分析を行い、顧客との対話を通じたニーズの把握に努めています。

 

② 為替変動について

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)

当社は、主に台湾や韓国、米国などの海外から部品等を輸入しています。当社が輸入において使用する外貨(主に米ドル)が円安に転じた場合、仕入コストの上昇に繋がる可能性があります。これらの為替リスクに対応するため、出来る限り為替変動による仕入コストの上昇を、販売価格に転嫁するよう努めていますが、仕入および販売、それぞれの決済のタイミングによっては、転嫁できず、利益率が悪化する可能性があります。また、仕入コストの上昇を販売価格に転嫁する場合においても、販売価格が相対的に高くなり、顧客による購買活動の抑制または先送りが生じる可能性があります。

当社は、これらの仕入にかかる輸入取引に関連して、円建て取引を基本としていること、また契約時の前払等の活用により為替リスクのヘッジに継続的に取り組んでおりますが、急激な為替の変動に対処できない場合、経営成績、財政状態およびキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。

 

③ 感染症の世界的流行について

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)

新型コロナウイルス感染症の世界的な流行は、都市封鎖や外出の禁止、自粛による移動の制限、事業拠点の閉鎖、生産活動の制約、個人消費や設備投資等の減少、サプライチェーンの混乱、世界的な資本市場の散発的な乱高下や資金調達環境の悪化等を生じさせ、世界経済の悪化を招き、当社の顧客やサプライヤーの業務等にも影響を生じさせました。新型コロナウイルスの更なる変異または再流行、ならびに同様の感染症の世界的な流行およびそれに伴う世界経済の停滞は、結果として当社の経営成績、財政状態およびキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、当該リスクを軽減するため、感染症の流行に関する継続的な情報収集、流行時における感染防止対策の徹底、感染症による国内外のサプライチェーンへの影響を注視し、経済活動に影響を及ぼすレベルの感染症発生時においては対策本部を設置するなどして対応を行ってまいります。

 

 

④ 大規模災害等について

(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)

災害や人為的な原因等により電力、通信、交通等の社会的共通資本に関して重大な障害が発生した場合、当社の経営成績、財政状態およびキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社の事業拠点は、国内の複数拠点に展開しており、販売活動に大きな影響を与える地震、津波、洪水、火災等の災害に備え、災害発生時における避難・安全確認・連絡手段・内外への諸連絡フローを定めたマニュアルを定め、定期的な緊急時の行動研修、安全確認テストを実施しています。

 

(2)事業内容等に関するリスク

① 主要顧客への依存について

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)

半導体業界は、近年における競争環境の激化から再編が進んでおり、半導体メーカーの集約が進み、大手による市場シェアが高い環境となっています。かかる環境を背景に、当社の売上高は、大手半導体メーカー向けの割合が比較的大きく、当事業年度における売上高の内、上位3社(Infinity Technology Corporation

(25.2%)、New Eastech (Shanghai) Co., Ltd.(23.6%)およびSIOYIE CO., LIMITED(10.8%))の占める割合は59.6%となっています。こうした大手半導体メーカーの投資動向の影響を受けやすい傾向にあります。

当社は、かかるリスクに対処するため、きめ細かい顧客との対話を通じて、主要顧客各社の動向の把握に努めるとともに、新規顧客の開拓を進めてまいります。また顧客数を重要指標の一つとして、継続的に管理しています。

 

② 調達について

(顕在化の可能性:小、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)

当社は半導体製造装置や当該装置のメンテナンス部品を自らは製造を行わず、サプライヤーから調達したものを顧客に販売しています。また、特に半導体製造装置の解体、搬出、設置などの業務を含む装置販売サービスにおいては、新たな設備投資を先行させる特定の大手半導体メーカーからの、中古装置・部品の調達が多い状況です。したがって、仕入先の被災、事故、何らかの理由による当社との関係悪化、倒産等による供給の停止が生じた場合、当社による調達が停滞し、販売活動に影響が生じ、当社の経営成績、財政状態およびキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクを軽減するため、200社を超える世界中のサプライヤーと関係を構築しています。またこれらのサプライヤーの有する在庫情報を常時収集し、顧客ニーズへの柔軟な対応を可能とすべく幅広い調達先を確保し、特定サプライヤーへの依存度を下げるよう努めています。

 

③ 前受金(契約負債)のキャッシュ・フローへの影響について

(顕在化の可能性:大、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)

半導体製造装置の解体、搬出、設置などの業務を含む装置販売サービスにおいては、受注から売上計上までのリードタイムが長い案件も多く、顧客によるキャンセルリスクや与信リスクをヘッジする目的で前受金(貸借対照表上は契約負債として表示しています)を受領する場合があります。前受金の金額が多額に上る場合、該当期間における営業利益等の各利益とキャッシュ・フローの乖離が大きくなる可能性があります。また、前受金を受領している場合でも、契約キャンセルが生じた場合に、一部返金が生じる場合があり、そうした場合、当社のキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。さらにはキャンセルが生じた案件の契約規模によっては、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクを軽減するため、特に大型の半導体製造装置案件においては、キャンセル時における顧客による違約金支払い義務の制定、受注後の顧客とのきめ細かいコミュニケーションによる突然のキャンセルを回避するよう努めています。

 

④ 利益率の変動について

(顕在化の可能性:大、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)

半導体製造装置の販売ビジネスにおいては、半導体製造装置の部品販売に比べて受注単価が大きく、利益率が低い傾向にあります。また、半導体製造販売の各案件において、金額規模や利益率にはばらつきがあります。そのため、半導体製造装置販売の獲得案件の状況によって、当社の利益率に変動が生じる可能性があります。

当該リスクを軽減するため、極端に利益率の低い案件の受注を行わないよう努めています。また営業担当の一存で低利益率の案件の受注が行われないよう、受注プロセスにおいて、内部統制として承認ルールを設けています。

 

 

⑤ 販売物の品質について

(顕在化の可能性:小、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:小)

当社の販売した半導体製造装置や部品に欠陥が発生し、多額の追加費用が発生することになった場合、または当社に対する顧客からの信頼が低下し、販売活動に支障が生じた場合には、当社の経営成績、財政状態およびキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクを軽減するため、半導体製造装置や部品のサプライヤーから、特に高額な装置・部品等の調達時や、その内容によって当社が必要と判断した場合には、一定期間における品質保証を、契約上織り込み、品質の欠陥に伴う追加コストを当社がサプライヤーに求償できるようにしています。また、万が一顧客への販売物に欠陥が生じた場合、根本原因を究明し、類似不具合の未然防止を進めてまいりたいと考えています。

 

⑥ システムの運用について

(顕在化の可能性:小、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:小)

当社の半導体製造装置・部品の越境ECサイト「LAYLA-EC」および旧型半導体製造装置の売却を支援する競売プラットフォームシステム「LAYLA-Auction」において、実際に販売またはオークションにかける装置・部品の情報を提供しているため、当該サイトの安定的なシステム運用が、事業遂行上重要と考えております。当社は現在、システム開発およびシステム運用の一部を社外に委託しております。委託先における運用に支障をきたす事象の発生や、委託先と当社の間にトラブルが発生した場合等には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクを軽減するため、特定の委託先だけに依存しないシステム運用体制を構築することおよびその一部を内製化することで、当該リスクの低減を企図しています。

 

(3)組織体制等に関するリスク

① 特定人物への依存について

(顕在化の可能性:小、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:小)

当社の代表取締役社長である榎並大輔は、当社の創業者であり、創業以来、当社の代表を務めています。当社は同氏の経験、知識、サプライヤー・顧客との人脈を活かして創業、これまでの成長を図ってまいりました。また、経営方針や事業戦略の決定において重要な役割を果たしております。

当社では、これまで事業の推進および管理について、同氏以外の2名の取締役にそれぞれ権限を移譲し、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めてまいりました。何らかの理由により同氏が経営執行を継続することが困難になった場合にも直ちに当社の経営成績および財政状態に影響を与えるものではないと考えておりますが、中期的な成長戦略の立案やその遂行において影響を及ぼす可能性があります。

 

② 人材の確保および育成について

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大)

当社は、事業の持続的な成長を実現するためには、有能な人材の確保および育成が極めて重要であると考えており、積極的な採用活動を継続するとともに、従業員への教育・研修体制の充実・強化を図り、全社的な生産性の向上、人材の定着に努めております。しかしながら、当社の属する半導体業界においては、人材獲得競争が非常に激しいことおよび地方に本社を構えることに起因する採用競争力への影響が生じる場合や、人材の育成・定着が計画どおり進まない場合には、事業拡大の制約となる可能性があり、当社の経営成績、財政状態およびキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 引き続き、継続的に有能な人材の確保に努めるとともに、人材の育成・定着に資する会社のカルチャー醸成・その浸透、また人事制度や職場環境の更なる改善を進めてまいります。

 

③ 内部管理体制について

(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)

当社では、企業価値の持続的な増大を図るためにコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であると認識のもと、業務の適正性および財務報告の信頼性の確保、さらに法令遵守の徹底が必要と認識しております。そのため、当社では内部管理体制の強化に努めております。しかしながら、事業の急速な拡大により、十分な内部管理体制の構築が追いつかないという状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社の事業運営に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクを十分に認識の上、組織規模や環境に応じた管理人員の増員を図り、業務の効率化、各種研修などの教育により、引き続き管理体制の充実に努めてまいります。

 

 

(4)法的規制等に関するリスク

① 法規制に関するリスクについて

(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)

当社の事業には、外国為替および外国貿易法、輸出貿易管理令、下請法などの各種法規制等が適用されます。これらの法規制等の改正や新たな法規制が設けられた場合や予期しえない解釈の適用等が実施された場合に、当社がこれらの法規制に抵触した場合は、当社の事業や顧客との取引の継続が困難となり、当社の経営成績、財政状態およびキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクに対応するため、関連法規制の遵守、改訂動向に関する情報収集に努めております。またリスクコンプライアンス委員会を設置し、法規制等の改正や新たな法規制が生じた場合に、速やかに全社的な対応方針を決定し伝達するための体制を整備しています。

 

② 情報セキュリティについて

(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)

当社は、業務において顧客の機密情報を取扱う場合があります。情報セキュリティには十分な対策を講じているため、短期的に情報漏えいリスクが顕在化する可能性は低いと考えていますが、人為的なミスや不正アクセスによる情報漏えいが発生する可能性があります。

当該リスクに対応するため、「個人情報取扱規程」、「情報セキュリティ規程」を整備し、機密情報の取扱いルールや目的に応じたアクセス制限を厳格に管理しています。また、毎月開催するリスクコンプライアンス委員会においても情報セキュリティ体制の整備状況を継続的に確認しております。さらには定期的に脆弱性診断を実施し、継続的な情報セキュリティレベルの改善および向上活動を行っております。

 

③ ハラスメント発生について

(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)

当社において、パワーハラスメント行為やセクシャルハラスメント行為、その他のハラスメントが発生することにより、被害従業員の身体的・精神的悪影響や退職・休職リスク、職場内の意欲低下、会社の信用度やイメージが低下するリスクがあります。

当該リスクを低減するため、社内・社外窓口を設けた内部通報制度を整備し、社内周知を徹底しています。また「職場におけるハラスメントの防止に関する規程」の周知、全従業員対象のハラスメント研修の実施を定期的に実施しています。

 

(5)その他のリスク

① 調達資金の使途について

(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:中期、影響度:中)

2024年12月3日に払込が完了しました一般募集による新株式の発行ならびに2025年1月8日に払込が完了しました第三者割当による新株式の発行による調達資金の使途につきましては、中部支店製造設備、採用費および人件費、広告宣伝費、システム開発費に充当する計画であります。しかしながら、急速に変化する事業環境が変化した場合に柔軟に対応するため、上記計画以外の使途へ充当する可能性があり、かかる場合においては、経営成績、財政状態およびキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

なお、資金使途を変更する場合には、適時適切に開示等を行ってまいります。また投資効果については想定通りの成果をあげられるように取り組んでまいります。

 

② 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

(発生可能性:高、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:小)

当社は、役員および従業員に対し、長期的な企業価値向上に対するインセンティブとしてストック・オプションを付与しているほか、今後も優秀な人材確保のためのストック・オプションを発行する可能性があり、現在付与している新株予約権に加え、今後付与される新株予約権等について行使が行われた場合には、保有株式の価値が希薄化する可能性があります。なお、当事業年度末現在、新株予約権による潜在株式数は269,750株であり、発行済株式総数3,366,250株の8.0%に相当しております。

 

③ 配当政策について

(発生可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)

 当社は、事業の成長・拡大による企業価値の向上を最重要課題として認識するとともに、株主に対する利益還元を経営の重要課題の1つと位置付けております。現段階では、事業拡大のための投資および財務基盤の強化が最優先の課題であると認識しており、そのバランスを見極めながら、必要な内部留保を確保し安定した配当ができる体制が整った後に継続的に実施していくことを基本方針としております。しかしながら、当社の業績が計画どおりに進捗しない場合には、配当を実施できない可能性があります。

 

④ 減損損失について

(発生可能性:小、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:小)

当社は事務所設備、業務システム等の固定資産を所有しておりますが、製造工場などは有していないため、多額の固定資産を有しておりません。しかしながら、事業の収益性が悪化した場合には、減損会計の適用により資産について減損損失が発生し、当社の経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 大株主について

(発生可能性:小、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大)

当社の代表取締役社長である榎並大輔の実質所有株式は、当事業年度末現在で、発行済株式総数の72.02%となっております。同氏は、安定株主として引き続き一定の議決権を保有し、その議決権行使にあたっては、株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。当社といたしましても、同氏は当社の創業者であるとともに代表取締役社長であるため安定株主であると認識しておりますが、将来的に何らかの事情により、大株主である同氏の持分比率が低下した場合には、当社株式の市場価格および議決権行使の状況等に影響を及ぼす可能性があります。かかるリスクを念頭に持分比率の管理とともに、継続的な投資家コミュニケーションを行ってまいります。

 

⑥ 訴訟について

(発生可能性:小、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)

当社は当事業年度末現在において、当社が当事者として提起されている訴訟はありません。リスクコンプライアンスマニュアルを整備して役職員へ周知すること等により法令違反などの発生リスクの低減に努めておりますが、当社または当社役職員を当事者とした訴訟が発生した場合には、その訴訟の内容や進行状況によっては、当該訴訟に対する金銭的な負担の発生や、当社または当社役職員のレピュテーションが悪化して当社の社会的信用が毀損されるなど、当社の事業および業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、訴訟の発生についてはその時期および顕在化の可能性を予見できるものではありません。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

①財政状態の状況

(資産)

 当事業年度末における資産は3,817,184千円となり、前事業年度末に比べ2,119,896千円増加いたしました。これは主に、営業キャッシュ・フローの獲得等に伴い現金及び預金が増加したことならびに大型装置販売のための仕入に伴う棚卸資産および未収消費税等が増加したことによるものであります。

 

(負債)

 当事業年度末における負債は3,035,418千円となり、前事業年度末に比べ1,847,392千円増加いたしました。これは主に、大型装置販売に係る前受金の受領に伴い契約負債が増加したことによるものであります。

 

(純資産)

 当事業年度末における純資産合計781,766千円となり、前事業年度末に比べ272,504千円増加いたしました。これは、当期純利益の計上による利益剰余金の増加によるものであります。

 

②経営成績の状況

 当事業年度におけるわが国経済は、継続的な円安基調により輸出型グローバル企業を中心に業績が回復し、日経平均株価が一時4万円台を突破するなど、経済に明るい兆しが見られました。

 半導体業界では、生成AI需要が市場を牽引し、AIサーバー投資の拡大を背景にGPUやHBMの需要が本格化いたしました。また、エヌビディアはマイクロソフトを抜き、時価総額で世界トップに躍り出ました。一方、インテルは2.5兆円の最終赤字を計上するなど、同じ半導体業界内で明暗が分かれる結果となりました。

 国内では、2024年2月にTSMC熊本工場が開所し、第二工場建設への準備が進行しております。また次世代半導体製造を目指すRapidusの量産ファブが2024年12月より装置導入を開始しており、政府のサプライチェーン強靭化支援を背景に国内半導体産業の成長が期待されています。

 このような状況の中、当社の売上高は計画を上回る勢いで推移し、期初計画を上方修正しました。特に半導体製造フィールドソリューション事業では、装置の解体・搬出を伴う案件が増加し、エンジニアリング能力の需要が高まりました。また越境ECサイト「LAYLA-EC」に加え、新たな競売プラットフォーム「LAYLA-Auction」の営業展開が進み、引き合いが増加しています。当社はプラットフォームとエンジニアリングの二つの柱を軸に、さらなる業績拡大に向けた取り組みを進めてまいります。

 以上の結果、当事業年度の売上高は、6,017,239千円(前期比244.4%増)、営業利益323,598千円(前期は営業損失127,288千円)、経常利益306,043千円(前期は経常損失353,508千円)、当期純利益272,504千円(前期比133.8%増)となりました。

 なお、当社は半導体製造フィールドソリューション事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税引前当期純利益306,043千円の計上および契約負債の増加額1,243,340千円などにより、前事業年度末に比べ1,457,820千円増加し、当事業年度末には2,532,456千円となりました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果獲得した資金は1,546,326千円(前期は1,085,659千円の使用)となりました。これは主に、未収消費税等の増加額396,347千円および棚卸資産の増加額212,620千円などによる資金の減少に対し、税引前当期純利益306,043千円、仕入債務の増加額426,377千円および契約負債の増加額1,243,340千円などによる資金の増加によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は163,013千円(前期は23,152千円の使用)となりました。これは主に、定期預金の預入による支出30,000千円、有形固定資産の取得による支出126,562千円などによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果獲得した資金は95,362千円(前期は1,639千円の獲得)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出34,638千円による資金の減少に対し、長期借入れによる収入130,000千円による資金の増加によるものであります。

 

④生産、受注および販売の実績

a.生産実績

 当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

b.受注実績

 当事業年度の受注実績は次のとおりであります。なお、当社は半導体製造フィールドソリューション事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2023年12月1日

至 2024年11月30日)

受注高

(千円)

前期比

(%)

受注残高

(千円)

前期比

(%)

半導体製造フィールドソリューション事業

7,444,025

113.2

6,230,620

129.7

(注)上記受注高および受注残高には、翌事業年度年度以降に売上を計上すると見込まれるものが含まれております。

 

c.販売実績

 当事業年度の販売実績は次のとおりであります。なお、当社は半導体製造フィールドソリューション事業の単一セグメントであるため、サービス別に記載しております。

サービスの名称

当事業年度

(自 2023年12月1日

至 2024年11月30日)

販売高(千円)

前期比(%)

部品販売・修理サービス

902,506

96.4

装置販売サービス

5,109,894

630.6

その他

4,837

747.1

合計

6,017,239

344.4

(注)1.当事業年度において、販売実績に著しい変動がありました。これは主として大型半導体装置の販売が増加したことによるものです。

 

2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2022年12月1日

至 2023年11月30日)

当事業年度

(自 2023年12月1日

至 2024年11月30日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

日本テキサス・インスツルメンツ合同会社

342,076

19.6

キオクシア株式会社及びグループ会社

279,161

16.0

FUJIAN ANXIN SEMICONDUCTOR TECHNOLOGY CO.,LTD.

204,567

11.7

TUMI Semiconductor Technology Limited

180,267

10.3

Infinity Technology Corporation

1,517,903

25.2

New Eastech (Shanghai) Co., Ltd.

1,416,840

23.6

SIOYIE CO., LIMITED

646,816

10.8

(注)前事業年度のInfinity Technology Corporation、New Eastech (Shanghai) Co., Ltd.およびSIOYIE CO., LIMITEDならびに当事業年度の日本テキサス・インスツルメンツ合同会社、キオクシア株式会社及びグループ会社、FUJIAN ANXIN SEMICONDUCTOR TECHNOLOGY CO.,LTD.およびTUMI Semiconductor Technology Limitedに対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満であるため記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

①財政状況および経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容

a.財政状態の分析

 「(1)経営成績等の状況の概要①財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

b.経営成績の分析

(売上高および売上総利益)

 当事業年度の売上高は6,017,239千円(前期比244.4%増)、売上総利益は862,647千円(同153.1%増)となりました。

 当事業年度は中古機械装置販売などの大型案件の売上が寄与し、新規取引先の開拓も順調に進んできましたことなどから、売上高は堅調に推移いたしました。

 また、売上総利益も売上高の増加が寄与し、大幅な増益となりました。

 なお、当社は、半導体製造フィールドソリューション事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

(販売費及び一般管理費および営業利益)

 販売費及び一般管理費は、株式上場に向けた体制整備に伴う人件費の増加などにより539,049千円(前期比15.2%増)となりました。

 その結果、営業利益323,598千円(前期は営業損失127,288千円)となりました。

 

(営業外損益および経常利益)

 営業外損益は△17,555千円となりました。この主な要因は、営業外収益として補助金収入13,768千円を計上しましたが、営業外費用にて為替差損19,270千円および上場関連費用6,189千円を計上したことなどによるものです。

 その結果、経常利益306,043千円(前期は経常損失353,508千円)となりました。

 

(法人税等および当期純利益)

 当事業年度において特別損益の計上はありませんでした。

 当期純利益は、税務上の繰越欠損金の解消などにより法人税、住民税及び事業税60,086千円を計上した一方で、繰延税金資産の計上に伴う法人税等調整額△26,547千円(△は利益)を計上したことにより、272,504千円(前期比133.8%増)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容ならびに資本の財源および資金の流動性に関する情報

 キャッシュ・フローの分析は、前述の「(1)経営成績等の状況の概況」に含めて記載しております。

 当社の事業は、主たる顧客である半導体工場からの注文に基づいて、製造装置部品の販売・修理サービス、ならびに中古装置の販売を行うものであり、一部の部品を除いて、受注後に仕入れることを基本としています。そのため、多額の設備投資や在庫を保有するための多額の資金は必要としません。主たる資金需要は人件費を中心とした運転資金です。既存ビジネスの獲得するキャッシュ・フローを原資に、継続的に成長するための拠点の開設や新規に開始するビジネスの運転資金を賄うことを基本方針としています。なお、成長投資資金の一部については、既存ビジネスによる獲得資金に加え、必要に応じて金融機関からの借入によって賄うこととしています。

 

③重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。財務諸表の作成にあたり、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債および収益・費用の報告金額ならびに開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。当社の財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載のとおりであります。会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載のとおりであります。

 

④経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に含めて記載しております。

 

⑤経営戦略の現在と見通し

 経営戦略の現在と見通しについては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。

 

⑥経営者の問題意識と今後の方針について

 経営者の問題意識と今後の方針につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。

 

⑦経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、事業成長の指標となる売上高・営業利益の絶対額、収益性を計る指標となる売上総利益率・営業利益率を重要視しており、中長期的な目標として売上総利益率は25%、営業利益率は15%を掲げております。

 なお、当事業年度における「売上高」は6,017,239千円(前期比244.4%増)、「営業利益」は323,598千円(前期は営業損失127,288千円)となり、事業の成長においては堅調に推移いたしました。一方、収益性においては「売上総利益率」は14.3%、「営業利益率」は5.4%となりました。今後につきましても、目標数値の達成に向けて営業力の向上および業務改善に中長期的に取り組んでまいります。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。