文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。
当社は、今後、更なる事業基盤の強化及び収益の拡大に向け、以下の主要課題に取り組んでまいります。
(1)経営方針
当社は、2006年の創業以降、「本当に良いものを愛し、作り手の想いをつなげたい。」「あこがれをみんなでシェアしたい。」という想いから、「世界中に笑顔を」を経営理念に据え、事業を拡大してきました。
従来、ブランドバッグをはじめとした「高額品=価値あるモノ」は所有を中心とした世界でしたが、当社は、そうした世界に加えて、ユーザーの利活用機会拡大により、モノの潜在的な価値を引き出し(モノが持つ価値のポテンシャルをより開放し)、「モノの価値が循環し、その生涯価値が最大化される世界」の実現を目指しております。
その起点として、当社は、シェアリングエコノミーサービスが世の中に普及し始めた早い段階である2015年にブランドバッグに特化したサブスクリプションサービス「ラクサス」事業を開始し、シェアリングエコノミーの浸透を牽引してきました。2020年には、ブランドバッグの試用販売「買えちゃうラクサス」サービスをローンチしております。
当社が目指す「モノの価値循環モデル」は、当社が先行モデルであると認識しております。当社は、成長戦略の基本方針として、現在のモデルや資産をベースにレバレッジし、成長していくことを目指します。将来的には、価値あるモノが循環する社会を目指し、エリア・領域拡大を目指したいと考えています。
[当社が目指す姿]
(2)経営環境
当社は、価値あるモノの価値循環モデルの確立を目指しており、関連する重要市場として、当社資産に関わるラグジュアリー市場、価値の循環に関わるシェアリングエコノミー市場及び二次流通(リユース)市場、並びに憧れに手が届く機会を拡大するファイナンスサービス等に関連するBNPL市場の4市場を想定しており、いずれの市場も拡大が予想される市場であると考えております。
① ラグジュアリー市場
国内外ラグジュアリーバッグの市場規模は、新型コロナウイルス感染症の終息後、再び回復軌道に乗り、2024年より2029年にかけて国内CAGR(国内年平均成長率)4.6%と成長すると予想されております。(出典:Euromonitor International社 Luxury Goods 2025(2025年5月28日時点))
② シェアリングエコノミー市場
モノのシェアリング市場CAGRは、2022年より2032年にかけてベースシナリオで5.7%成長、課題解決シナリオで9.9%成長と市場規模の拡大が予想されております。(出典:情報通信総合研究所「シェアリングエコノミー関連調査 2022年度調査結果」)
③ 二次流通(リユース)市場
国内リユース市場のCAGRは、2022年から2030年にかけて4.1%成長と市場規模の拡大が予想されております。(出典:株式会社リフォーム産業新聞社 リサイクル通信「リユース市場データブック2024」)
④ BNPL市場(注)
国内のEC決済サービスCAGRは、2023年から2028年にかけて14.4%成長、また、後払い決済サービスのCAGRは13.0%成長と市場規模は拡大しております。(出典:株式会社矢野経済研究所「EC決済サービス市場に関する調査(2025年)」)
(注)「BNPL」とは、「Buy Now, Pay Later」の略であり、商品を購入する際に代金の支払が不要な後払い決済を指します。
(3)中期経営戦略
当社は、バッグのシェアリングを起点に、価値あるモノのユーザー利活用機会の裾野を拡げ、その生涯価値を最大化させることを目指してきました。
まず、当社は流通価値(シェアリング)や買いやすさの提供など、これまで培ってきたコアモデルや保有資産をレバレッジし、ブランドバッグの生涯収益を最大化していきたいと考えております。その上で、価値あるモノのサーキュラープラットフォーム構築を目指していきます。
また、当社は、主要ユーザーである20代から50代女性の人口は約2,996万人と当社の全契約数(ダブルプラン含む)19,547人(2025年3月末実績)に対して大きな市場であると考えております。また、バッグの販売先となるリユース市場規模も事業の成長の追い風になると考えております。
当社は、持続的な成長の実現には、一定の投資が必要であると考えておりますが、投資に対する回収については、LTV/CAC(注)1.(注)2.は、安定して4.0以上で推移、CACの回収期間も2.5か月であり、ブランドバッグの投資回収期間も約21か月となっております。
当社は、サブスクリプションサービスにおいて、会員の継続率が重要であると考えており、サービス利用料金をあらかじめ払い込むラクサスキャッシュ(前払い式支払い手段)を導入しました。これにより払い込んだ金額に応じた期間の会員離脱を回避することで継続率は改善傾向にあり、今後も継続していくものと見込んでおります。
加えて、資産の生涯収益を高めるべく開始したBtoB/Cのバッグ販売は、前期より取り組みを開始し、今期は「対象顧客×販路」の拡大を進め、2025年3月期販売額は、前年同期比2.7倍と大きく伸長しております。
当社は、バッグのシェアリングを起点に、価値あるモノに対するユーザーの利活用の機会を拡げるとともに、その生涯価値を最大化させることを目指してきました。継続したサービスの進化によるサブスクリプション・シェアリングサービスの成長に加え、現在保有する資産(バッグ)やオペレーション等の当社の強みを梃子に“資産の生涯収益を最大化”することで、更なる成長が可能と認識しています。
既に取り組みを開始しているバッグの販売ですが、当社は、国内最大規模のブランドバッグ資産を保有しており、この強みを活かし、より一般消費者に近い販売チャネルでの販売を行うことにより収益の最大化を検討したいと考えています。また、消費者からの買取による仕入れも検討していきます。
当社は、バッグの資産価値に関するタイムリーなデータを保有していることに加え、独自の入会審査の仕組みを構築しており、前述のToC販売拡大とともに、消費者にとって支払いやすい、購入しやすい仕組みの構築も検討して行く予定としております。
更に、当社は、フルフィルメント機能を内製化していることから、他社からのリペア・メンテナンス業務受託やバッグ保管施設の一部貸し出し等による成長も可能と考えています。
当社は、国内において“ブランドバッグ”がもたらす収益を最大限に取り込み、その上で、高額品のマーケットプレイス構築など、ブランドバッグの領域を超えたビジネスを実現したいと考えております。
(注)1.LTVとは、会員1人が商品を利用してから解約するまでにもたらしてくれる利益を指します。
2.CACとは、新規顧客1人を獲得するために必要としたコストを指します。
[中期経営戦略の方向性]
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当社が、現在認識している事業上及び財務上の対処すべき課題は、次のとおりとなります。
① 事業基盤の拡充
当社の成長は、一般消費者に対して魅力的なサービスを提供し、持続的に契約数を増加させることにより実現されます。そのため、契約数増加に対する取り組みは、経営上の最重要課題であり、継続した認知向上と販売チャネルの拡大を図っていく必要があると認識しております。
契約数増加の取り組みとしましては、まず、一定の広告宣伝費を確保した上で、様々な広告媒体を通じて契約に至るファネルの拡大を図るとともに、蓄積した会員の行動履歴等に基づく各種キャンペーン等の施策を通じて契約までの転換率の向上を図ります。
次に、インベスタマーの獲得を目的とした株主優待の導入により、これまで当社と接点がなかった層の獲得や株主の会員化を図ります。
最後に、優良顧客を持つ企業との提携に積極的に取り組むことで、広告に依存しない契約獲得の仕組みを構築してまいります。具体的には、当社は、当社が持つシェアリングサービス機能を他社にOEM提供する仕組みであるShaaS(Sharing as a Service)を拡大してまいります。この取り組みにより、提携先は当社サービスを活用しながら顧客コミュニティのつながりを拡大でき、当社は契約数を増加させることが可能となります。
当社は、これら3つの重点取り組みが、今後の更なる成長を担保するものと考えており、強力に推進してまいります。
更に、バッグ販売につきましては、販売単価の向上を目指し、ユーズドセレクトショップを通じた委託販売網の拡充や東京オフィスに店舗機能を持たせるなど、BtoB/toC販路の拡大に注力してまいります。
② システム及びオペレーション機能の強化
当社は、モノのサブスクリプションサービスの先駆けであることから、アプリケーションを含むシステム及びオペレーションは基本的に内製にて構築してまいりました。既存事業において、会員獲得の強化や長期的な利用促進の観点から、サービス品質の維持・向上が強く求められており、これらを担保するシステム及びオペレーションは、継続的な強化が重要であると認識しています。
また、今後の成長戦略として、会員基盤の更なる拡大と新たな価値提供を目指し、ShaaSによる他社との提携に積極的に取り組んでおります。当該提携を通じて、顧客接点を創出し、より多様な顧客サービスを提供するためには、きめ細やかなアプリケーション開発及びオペレーションの構築が必要不可欠であります。
更に、当社が目指すモノの価値循環モデルや所有資産の最適な組み替えの実現のためには、在庫連携システムの導入、最適在庫・販売のための機械学習強化等への取り組みも必要であると考えております。
最後に、ユーザーによる不正の排除も安定的な事業拡大には重要となります。これまで、当社は独自の審査の仕組みを構築してまいりましたが、更に強化するため継続的な改善が必要であると認識しております。
これらのシステム上、オペレーション上の課題に対応するため、当社は、必要なリソースを十分に確保し、継続的に適宜適切なシステム開発と事業オペレーションの最適化を図っていく方針としております。
③ 優秀な人材の確保と組織力の強化
今後の事業拡大及び収益基盤の拡充にあたり、優秀な人材の確保及びその定着を図ることは引き続き重要な課題であると認識しております。
特に、新たな成長領域に関する知見を有する人材の確保が重要であります。そのため、当社は継続的に採用活動を行うとともに、公正・適正な評価・処遇を行うことで、優秀な人材の確保に努めてまいります。
また、社員の職位、職務に応じた適切な教育、研修を実施し、活躍の場を提供することで、中期的に人材の底上げ及びコア人材の育成を図っていく方針としております。
④ 財務上の課題について
当社は、将来の成長に向けたレンタル用バッグ購入を中心とした先行投資をした結果、借入金残高が大きくなっています。一方で、収益力の強化に注力した結果、キャッシュ・フローは改善傾向にあるとともに、取引金融機関との連携により安定した資金繰りを実現しております。
今後も売上高の継続的な成長を通じて、より一層の収益力の強化と強固な金融機関との協調体制の確立により、財務の健全性向上及びキャッシュ・フローの安定化を進めてまいります。
⑤ コンプライアンス体制の維持・強化
当社は、ブランドバッグのシェアリングサービスを行っており、「景品表示法」、「古物営業法」等の様々な法的規制を受けております。これらの関連諸法令を遵守するための管理体制の整備が重要と認識しております。品質管理や表示・広告表現等につきましては、社内研修等により従業員教育を実施しております。今後も、一層の内部管理体制の強化を図り、コンプライアンス体制の充実に取り組んでまいります。
⑥ 内部管理体制の強化
当社がユーザーから、そして社会全体から信頼を得て持続的に成長するためには、サービスの品質や安全性の確保のみならず、内部管理体制の充実は不可欠であると認識しております。そのために、サービスの品質や安全性の確保のみならず、内部管理体制の強化も必要であると認識しております。
当社業務遂行上必要な法律等の知識について、研修等を通じて社内で共有するとともに、その遵守状況を内部監査等でチェックし、体制強化に取り組んでまいります。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)戦略
当社は、創業当初より「世界中に笑顔を」を理念に、シェアリングを起点としたモノの価値が循環する社会の実現を目標としてきました。持続可能な社会の実現は、当社目標の実現と同義であり、モノの価値を循環させる事業が世の中に根付くことが、持続可能な社会の実現に直接つながると考えております。
また、当社が目指す社会や事業の持続性の実現には、その推進の基盤となる人的資本の充実が重要であると考えております。人種、宗教、性別、年齢、障がいの有無、ライフステージ等にかかわらず多様な人材が個々の能力を如何なく発揮できる環境を整備すべく、人事制度をはじめ職場環境の整備や活躍の場を創出することで、人材の価値を最大化する基盤構築を推進しております。
当社は、「事業」と「組織」が当社サステナビリティ戦略の両輪をなすと考え、取り組みを進めていく所存です。
① 事業オペレーションを通じて持続可能な社会に貢献する。
事業を通じてモノの循環型社会の実現に向けてサービスを進化させるとともに、環境に配慮した事業オペレーションを確立する。
② ダイバーシティを推進し持続的な成長を実現する。
多様なバックグラウンドを持つ人材がその能力を最大限に発揮して働ける環境、制度を構築することで持続的に成長できる企業としてあり続ける。
(2)指標及び目標
当社は、「事業のサステナビリティ」面において、ラクサス事業開始以来、仕入れた資産の直接の“廃棄ゼロ”に取り組んでおり、今後も継続的に推進してまいります。
また、持続可能な社会は、ユーザーとともに構築していくという考えから、シェアリングサービスの配送・返送に利用するボックスのリサイクル化やバッグを皆で共有することによるCO2抑制の貢献効果をサービスを提供する携帯アプリ上で表示しております。
このような中で、当社は、ユーザーと共に、当社資産であるバッグを大切に扱いシェアリングモデルを拡げていくことが、結果として、環境貢献に資する事業であると考えており、事業の拡大そのものが重要指標であると捉えております。
その上で、国が定める2050年脱炭素社会の実現に向けてのロードマップに整合した対応が必要であると考えております。まずは、自社負荷に該当するScope1/Scope2(注)に基づく排出量の見える化を進めた上で、当社として適切な目標を設定することが重要であると考えており、今後取り組んでいきたいと考えております。
「組織のサステナビリティ」面においては、当社は、多様なバックボーン・ライフスタイルを持つ人材を重要視しており、2017年より、同性パートナーや内縁パートナーを「配偶者」として社内定義するなど、LGBTへの対応をいち早く進めております。
また、当社は、2022年より、能力に応じて公正・適正な処遇を実現する新人事制度を導入しております。未だ成長段階にある当社は、社員の役職者への登用も、多様な人材の個々の能力に応じた公正に登用することが重要であると認識しておりますが、当社サービスは女性ユーザーが多いことも踏まえ、将来的には、管理職の女性比率(現在33.3%)を当社社員の労働構成比と同等まで引き上げることも重要であると考えております。
(注)温室効果ガス排出量算定の基準であり、自社における直接排出がScope1、自社が購入・使用した電力、熱、蒸気などのエネルギー起源の間接排出がScope2となります。
(3)ガバナンス
当社は、持続可能な社会の実現に向けて、特に重要な課題について、社長執行役員を中心とし管理部門及び事業部門が参画するサステナビリティ委員会を組成し、事業・組織両面でサステナビリティ向上に関する方針を策定のうえ、必要に応じて取締役会にて課題管理・進捗報告を行うこととしています。
また、人的資本に関しては、社長執行役員を中心とした部門長を委員とする人材開発委員会を設置し、人材の確保、育成、就業環境の整備に関する活発な議論を実施し、推進していくこととしております。
また、これらの委員会を通じてリスクを認識した場合、リスク管理委員会と連携し、その防止、解決を図ることとしております。
(4)リスク管理
当社は、サステナビリティ領域において事業に悪影響を及ぼすリスクを全社的に把握し、その顕在化の未然防止と顕在化した場合の影響を最小化するため、リスク管理委員会を設置し、当社全体のコンプライアンス・リスクマネジメントプログラムを推進しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識し、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主要なリスクや不確実性は、次のとおりとなります。
当社は、当社を取り巻くリスクや不確実性に関して、リスク管理委員会において定期的に議論し、これらのリスクや不確実性を機会として活かす、あるいは、回避・低減するための対応を検討しています。その検討結果は、随時、取締役会へ報告されており、以下に記載するリスクや不確実性の内容は、取締役会における議論も反映しています。
なお、これらのリスクや不確実性は、有価証券報告書提出日現在において入手し得る情報に基づいて判断したものであり、当社に係る全てのリスクや不確実性を網羅したものではありません。そのため、現時点において予見できない、あるいは、重要とみなされていない他の要因の影響を将来的に受ける可能性があり、また、文中の将来に関する事項はその発生あるいは達成を保証するものではありません。
(1)事業環境に関するリスク
① 景気動向の影響について(顕在化の可能性:大、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)
当社は、日本国内において良質なブランドバッグのシェアリング事業を展開しており、一般消費者に対し、上質なブランドバッグを楽しむ機会を提供することで生活をより豊かにすることを目指しております。
ファッションは、日本国内におけるライフスタイルの中で重要なポジションを占めていますが、一般消費者を対象とした嗜好性の高い領域であり、いわゆる生活必需品という位置づけではありません。
そのため、予測し得ない景気変動が生じ、雇用環境の悪化や個人消費の低迷が生じた場合等には、支出抑制の対象となる可能性があります。
当社は、前払手段の提供やマーケティング施策の展開又は会員に有益な各種情報の提供などを通じて、長期的かつ安定的に当社サービスを利用する会員の増強に努めておりますが、支出抑制のリスクは完全に排除できません。
このようなリスクに対処できない場合は、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 一般消費者の意識・嗜好の変化について(顕在化の可能性:小、顕在化の時期:長期、影響度:大)
当社が提供するサービスは、憧れのブランドバッグを楽しむという一般消費者の潜在的な欲求を喚起するサブスクリプションサービスであり、時代のニーズやファッション・トレンドは、当社の成長を左右する極めて重要な要因となります。
当社は、常にマーケットの最新状況をリサーチし、消費者のニーズ、嗜好をリードしていくようなサービス開発に努めておりますが、世代の移り変わり等を背景として、消費者の意識・嗜好が著しく変化する可能性は完全に排除できません。
このようなリスクに対処できない場合は、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 競合優位性について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期、影響度:中)
当社の商材であるブランドバッグは、その商品特性上、高額な仕入単価となります。相当数の消費者のニーズを満たしたサービス展開を実現するためには、多額の初期投資を必要とし、参入障壁は高いものと考えております。
また、当社はレンタル・販売を通じて良質なブランドバッグを「使いたいときいつでも使える」機会を提供しており、これまでのサービス提供を通じてブランドバッグのシェアリングに関する消費者(消費行動)情報を蓄積・活用しております。シェアリングに関する顧客ニーズ・嗜好は、購入行動に係るものとは異なっており、当社は、当該情報を積極的に活用することで消費者の潜在的な需要を喚起していく提案、商品開発又は効率的な仕入れを実現しております。そのため、仮に大資本を背景とした商品購買力を備える企業等の新規参入があった場合においても、当社は、十分に競合優位性を保てるものと考えております。
上記の理由により、当社は、これまでブランドバッグのシェアリング事業という領域において業界をリードすることができたと自負しております。
しかしながら、消費者の価値観の著しい変化による当社情報の陳腐化の可能性又は各ブランド自身がレンタル機会を創出することにより当社の価値が相対的に低下する可能性は完全に排除できません。
このようなリスクに対処できない場合は、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 知的財産権について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期、影響度:中)
当社は、特許権及び商標権を取得しており、また、第三者の知的財産権に対する侵害予防に努めておりますが、これら知的財産権に対する当社の認識又は見解相違は、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、事業の優位性を確保するためにブランド、コンテンツ、ノウハウ、技術等を保護することが継続的に事業運営する上で重要事項であると考えております。そのため、特許権、商標権、ドメインネーム等を取得し、また、今後も新たな事業展開に合わせて関連する知的財産権を取得していく方針としております。
しかしながら、想定どおりに知的財産権を取得できないことで当社が使用するブランド、コンテンツ、技術等を保護できずに事業の優位性を確保できない、又は、第三者より知的財産権の侵害を理由とする訴訟やクレームが提起されることで、紛争解決のための費用やライセンス取得等のための費用が発生する可能性は排除できません。
このようなリスクに対処できない場合は、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 自然災害、事故等について(顕在化の可能性:小、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大)
当社は、国内に物流拠点を構え、通信ネットワークシステムを利用して受注し、国内物流システムを利用することでサービスを提供しており、物流拠点の損壊、物流の停止、又はネットワーク障害は、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社の事業は、会員数の増加に合わせてブランドバッグの在庫数を確保し、サービスを提供するアプリを通じて会員に対して豊富な選択肢を提供するとともに、効率的な物流オペレーションを確立することで、会員が「借りたいときに借りられる」サービスを提供することであります。
そのため、当社は、様々な仕入チャネルの開拓・確保に加え、利便性の高いアプリの開発に努めるとともに、商品の十分な保管・作業スペースを備えた物流拠点を設置し、在庫管理、発送、メンテナンス等の作業を集約・効率化を図ることで、タイムリーにユーザーが望む商品を発送する体制を構築しております。
しかしながら、地震、水害等の自然災害や火災等の事故により、通信ネットワーク障害が発生する、又は、物流拠点が被害を受けるなど、在庫の毀損、滅失又は商品発送の停止等が発生する可能性を排除することはできません。
当社は、かかるリスクに備えて損害保険の付保、ネットワークの信頼性向上、複数の物流パートナーの確保等に取り組んでおりますが、大規模な自然災害発生や火災等の予測不能な事象が発生した場合、物流拠点で保管する資産の消失や通信、交通インフラの停止等に伴う営業停止等が生じる可能性は完全に排除できません。
このようなリスクに対処できない場合は、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 感染症の大規模流行について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)
当社は、外出時に使用するブランドバッグのシェアリングサービスを提供しており、感染症の拡大は、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社が提供するブランドバッグのシェアリングサービスは、ユーザーが外出時に利用するものであり、感染症の大規模流行等により、興行・イベントの中止や政府の外出自粛要請等が生じた場合は、当社サービスの利用機会の減少、ひいては会員数の減少につながることが予想されます。
当社は、サービス利用料金をあらかじめ払い込むラクサスキャッシュ(前払い式支払い手段)の提供などを通じて、長期的かつ安定的に当社サービスを利用する会員の確保に努めておりますが、外出自粛の可能性は排除できるものではありません。
このようなリスクに対処できない場合は、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 事業に関する法的規制について(顕在化の可能性:小、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:小)
当社が仕入れるレンタル用バッグは、古物営業法に定める「古物」に該当するため、当社は広島県公安委員会より同法による許可を受けております。有価証券報告書提出日現在の当社の主要な事業活動の前提となる許可・届出状況については、以下のとおりであります。
|
許認可等の名称 |
所轄官庁等 |
許認可の内容 |
取消事由 |
|
古物商許可 |
広島県公安委員会 |
許可番号 第731021400021号 許可年月日 平成26年7月25日 |
古物営業法第6条及び第24条に定める事由 |
当社は、コンプライアンスを企業の重要な責務と位置づけ、古物営業法の定めを遵守した業務フローを構築することで法令違反等の未然防止に努めており、有価証券報告書提出日まで許可の取消事由が発生したことはありません。
しかしながら、同法に定める許可取消し又は営業停止事由については、当社のみならず、当社役員、従業員個人又は取引先等に起因して発生する不測の事態の可能性は完全に排除することはできません。
このようなリスクに対処できない場合は、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社が提供するブランドバッグのシェアリング事業「ラクサス」は、「古物営業法」に加え、「特定商取引に関する法律(特定商取引法)」、「消費者契約法」、「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」、「個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)」「資金決済に関する法律(資金決済法)」、「下請法」等の法的規制の適用を受けております。
これらの関係法令の改正や新たなガイドラインの制定又は改定等は、事業活動を制限し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、法令等の改正、政策決定等の動向を注視し、必要な情報を早期収集するともに、必要に応じて顧問弁護士等をはじめとする外部専門家と協議することで、しかるべき対応策を検討することに努めておりますが、リスクが現実化する時期を予測、又は、リスクを完全に回避することは困難であり不測の費用が生じる可能性があります。
これらのリスクに対処できない場合は、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2)事業運営に関するリスク
① 会員数について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)
当社の成長は、一般消費者に対して魅力的なサービスを提供し、持続的に会員数を増加させることにより実現されますが、本項に掲げるリスク又は現時点において予見できないリスクが顕在化した場合又はその他不測の事態が発生した場合は、著しい会員の減少を招く可能性があります。
当社は、かかるリスクに備えて、常に社内外の情報を収集し、リスクを回避又は最小化するよう努めておりますが、全ての可能性を完全に排除することはできません。
これらのリスクに対処できない場合は、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② ブランドバッグの仕入れについて
イ.安定確保について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期、影響度:中)
当社は、一般消費者のニーズ・嗜好を満たした良質なブランドバッグの中古品を調達し、会員へ提供するサブスクリプションサービスを行っており、当社が持続的に成長するためには、トレンドを捉えたバッグを質量ともに安定的に調達することが不可欠であります。
一方で、中古品は、新品と異なり市場での流通量が一定せず、また、近年、中古ブランドバッグの市場価格は、円安や物価高を背景として継続的に上昇し、必要とするブランドバッグの確保が難しくなっております。
当社は、中古品取扱事業者の新規開拓・オークションへの参加など仕入チャネルの多様化により、お客様のニーズに応えるブランドバッグの確保体制の拡充に努めておりますが、将来の景気動向の変化、競合の増加、著しい価格変動等により安定した中古品の確保が困難となり、お客様の求める品揃えが実現できない可能性を完全に排除することはできません。
このようなリスクに対処できない場合は、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
ロ.仕入担当者(バイヤー)について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)
当社は、一般消費者のニーズ・嗜好を満たした良質なブランドバッグを仕入れておりますが、中古品の仕入価格については、ブランドの人気の移り変わり等にも左右され、あらかじめ流通価格が決まっているものではありません。そのため、商品の真贋チェック、商品の程度の確認、適正な買取価格を提示できる仕入れ担当者(バイヤー)の存在が欠かせません。
当社は、継続して仕入れ担当者(バイヤー)の育成を強化しておりますが、経験豊富な仕入れ担当者(バイヤー)の退職・引き抜きなどが短期間に発生し、買取ノウハウの失われることで、お客様の求める品揃えが実現できない可能性を完全に排除することはできません。
このようなリスクに対処できない場合は、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
ハ.コピー商品の買取リスクについて(顕在化の可能性:小、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:小)
当社のサービスは、良質なブランドバッグを毎月定額で使用できるという一般消費者の信頼の下に成立しており、正規品を仕入れるため優秀な仕入れ担当者(バイヤー)を配置し、真贋鑑定を徹底するなど「コピー商品」の排除に努めております。
一方で、当社が取り扱うブランドバッグの市場では、「コピー商品」の流通が広範囲にわたっており、社会的な問題となっております。当社は、販売前に入念な真贋チェックを実施しておりますが、ブランド直営店以外のチャネルを通じて中古品を仕入れるという特性上「コピー商品」を完全に排除するということは困難であり、「コピー商品」の買取、貸出に伴う信頼低下という一定のリスクを抱えております。
このようなリスクに対処できない場合は、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材確保について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期、影響度:中)
当社は、人材が競争力の源泉と考え、優秀な人材を継続して採用、育成し、強固な組織を構築していくことに注力しております。
一方で、少子高齢化による労働人口の減少を背景に、人材の採用・獲得競争は激化しており、当社の成長を支える人材の確保と質の向上は重要な課題となっております。
また、当社は、人材を「資本」と捉え、その価値を最大化するべく多様な人材が活躍できる制度及び職場環境の整備や活躍の場を創出することで、継続的に人材育成に注力しております。
しかしながら、競合他社との人材獲得競争の激化により採用が計画どおりに進まなかった場合並びに人材の育成又は就業環境の整備が順調に進まなかった場合には、在職する人材の流失が生じることで、生産性が低下する可能性を完全に排除することはできません。
このようなリスクに対処できない場合は、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ システムについて(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)
当社のサービスは、スマートフォンアプリやインターネットサイトを一般消費者との主たる接点としており、事業の安定的な運営のためシステムの利便性の向上やセキュリティ強化に継続的に取り組むことは、重要な経営課題であると認識しております。
しかしながら、自然災害や火災等の事故など予期せぬ事象により、当社設備又は通信ネットワーク等に障害が発生した場合やプログラムの不具合又は外部からのサイバー攻撃が発生した場合は、顧客や会計等に係る重要なデータの消失やサービス提供が停止するなどの可能性があります。
当社は、外部のクラウドサーバーの利用等による設備の分散や適切な開発手順の構築又は監視ツールの導入等で対策を講じておりますが、全てのリスクを排除できるものではありません。
このようなリスクに対処できない場合は、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 特定の業務委託、外注に対する依存について(顕在化の可能性:小、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)
当社は、大手宅配業者に委託して一般消費者宅に商品を届けておりますが、天災、国内の騒乱、不慮の事故等何らかの理由により宅配業者が操業停止になった場合、代替する事業者を選定するまでの間、商品の配送が困難になる可能性があります。また、物流コストの上昇傾向が続く状況下で、オペレーションの合理化や利用価格への転嫁等でコスト上昇を吸収できない可能性があります。
かかるリスクに備えて、当社は、2社の物流業者と取引を行うなど、操業停止や価格上昇に備えた対策を実施しておりますが、予測できない大規模な天災・事故等を理由とする操業停止や、需給バランスやエネルギー価格の上昇等を背景とする価格上昇等の可能性は、完全に排除することが困難であります。
このようなリスクに対処できない場合は、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3)コーポレート・ガバナンスに関するリスク
① 個人情報保護について(顕在化の可能性:小、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大)
当社サービスは、一般消費者を対象としており、住所、氏名等の会員個人を特定できる個人情報を取得しております。これらの個人情報につきましては、個人情報保護方針に基づき適切に管理するとともに、個人情報保護規程等の社内規程を定め、適切な管理体制の構築と社内教育の徹底を図っております。
しかしながら、現時点において予見できない理由による個人情報の流失や外部からの不正アクセス等による情報漏洩の可能性は、完全に排除できるものではありません。
このようなリスクに対処できない場合は、当社の社会的信用が失墜し、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② コンプライアンスについて(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)
当社は、法令遵守を企業の重要な責務と位置づけ、コンプライアンスに関する規程・マニュアル類の整備、定期的な教育の実施等を通じて、すべての役職員のコンプライアンス意識の醸成、向上を図ることで法令違反等の未然防止の対策を講じております。また、当社は、内部監査等によりその遵守状況のモニタリングを実施し、その実効性の確保に努めております。
しかしながら、コンプライアンスに関するリスクは、当社のみならず取引先に起因して発生する可能性もあり、完全に排除できるものではありません。
このようなリスクに対処できない場合は、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 内部管理体制について(顕在化の可能性:小、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大)
当社は、企業価値を継続的かつ安定的に高めていくには、コーポレート・ガバナンスが有効に機能する内部管理体制の整備が必要不可欠であると認識しており、業務の適正性及び財務報告の信頼性を確保するための内部統制システムを構築・運用しております。具体的には、意思決定プロセスにおける潜脱行為等が生じることがないよう関連する規程を定める又は一定数の独立社外役員を選任し経営の意思決定及び業務執行の監督を強化する等を通じて不正や誤謬の予防に努めるほか、代表取締役直属の内部監査担当を選任し、監査役と協働して適法かつ適正な業務執行が実施されるようモニタリングを徹底しております。
しかしながら、このようなガバナンス機能が想定どおりに機能しない場合又は事業の急速な拡大等により十分な内部管理体制の整備が追い付かない状況が生じる可能性があります。
このようなリスクに対処できない場合は、ステークホルダーの信頼を失い、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ サステナビリティへの対応について(顕在化の可能性:小、顕在化の時期:中期、影響度:中)
地球温暖化や海洋汚染、サプライチェーン上の人権問題等、当社を取り巻く環境の不確実性が高まる中、サステナビリティ対応への要請は重要度が増しております。株主をはじめとするステークホルダーは、当社が持続可能な社会の実現に貢献する企業として活動することに期待しており、これに応える取り組みなしには当社の持続的な成長は望めないと考えております。
当社は、サービス開始より「サステナブルな循環型社会」の実現を目指し、オペレーションの細部までこだわって新たな価値提案を行ってきましたが、今後より一層の社会的責任を果たす行動が求められます。
当社が、このような期待に応えられない場合は、ステークホルダーの離反を招き、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4)その他のリスク
① 保有資産価値の変動について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期、影響度:大)
当社の固定資産は、そのほとんどがレンタル資産(ブランドバッグ)であります。当社は、四半期ごとに保有する固定資産(レンタル資産)の陳腐化に伴う収益性の低下又は状態(毀損等)を考慮し、固定資産の減損損失に係る会計基準に従い、減損損失の認識・計上を行っております。
将来、市場トレンドの著しい変化に伴う収益状況の悪化又は災害等による大規模な資産の毀損等により、固定資産の減損損失の計上が必要になる可能性があります。
② レピュテーションリスクについて(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期、影響度:大)
当社は、当社のブランドイメージや社会的信用を維持・向上させることが、顧客(会員)の獲得において重要であると考えています。しかしながら、マスコミ報道やソーシャルメディアの書き込み等において、当社又は当社役職員に対する否定的な風評が発生し流布した場合等には、当社のブランドイメージや社会的信用が低下する可能性があります。
また、当社は、法令遵守を企業の重要な責務と位置づけ、事業活動を行っておりますが、職務内外を問わず役職員による不祥事が発生した場合、レピュテーションが著しく低下する可能性があります。
このようなリスクに対処できない場合は、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、当該リスクの対応策として、レピュテーションに影響を及ぼす問題が発生した場合の適切なメディア対応や不適切な投稿に対する対応に備え、日常より弁護士等の外部専門家と連携するとともに、対応プロセスや職責をあらかじめ明確化しております。
③ 株式の希薄化について(顕在化の可能性:大、顕在化の時期:中期、影響度:小)
当社は、当社の役員及び従業員等に対するインセンティブを目的として普通株式のストック・オプションを付与しております。
2025年3月31日現在におけるストック・オプションによる潜在株式は、1,031,700株であり、発行済株式総数25,654,383株に対する潜在株式数の割合は、4.0%に相当しております。当社の株価が行使価額を上回りかつ権利行使についての条件が満たされ、これらの新株予約権が行使された場合には、既存の株主が有する1株当たりの株式価値及び議決権割合が希薄化することになります。
④ 税務上の繰越欠損金について(顕在化の可能性:小、顕在化の時期:中期、影響度:中)
当社は、事業拡大のための積極的な投資等を行ってきたことから、前事業年度末日現在において税務上の繰越欠損金が存在しております。当社の事業が順調に推移する場合、繰越欠損金は、将来の課税所得と相殺され法人税等を減額する効果がありますが、今後の税制改正の内容によっては、納税負担額を軽減できない可能性もあります。
また、繰越欠損金の利用期限を迎えた場合又は繰越欠損金が解消された場合は、通常の税率に基づく法人税等が課税されるため、当期純利益及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。
⑤ 株主構成について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期、影響度:小)
2025年3月31日現在において、当社発行済株式総数25,654,383株のうち、10,662,934株は株式会社ワールド、6,398,249株は児玉昇司氏が所有しております。両株主が所有する当社株式の全部又は一部を市場にて売却する場合には、当社株式の需給バランスが短期的に損なわれ、市場価格に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 配当政策について(顕在化の可能性:小、顕在化の時期:短期、影響度:小)
当社は、株主に対する利益還元を経営上の重要課題の一つであると認識し、将来の事業展開と経営基盤の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、安定した剰余金の配当を実施していくことを基本方針としております。
一方で、当社は、未だ成長局面にあるため、内部留保の充実を優先し、事業規模の拡大、収益の向上を図り、企業価値の最大化をさせることが、より適切な株主還元になり得るものと考えており、創業以来配当を実施しておりません。
将来的には、各事業年度の経営成績、財政状態及び事業・投資計画を総合的に勘案し、内部留保とのバランスをとりながら検討してく方針としておりますが、その実施時期は未定であります。
また、当社の事業が計画どおりに進展しない場合、当社の業績が悪化した場合には、配当の実施を行うことができない可能性があります。
⑦ 有利子負債について(顕在化の可能性:小、顕在化の時期:中期、影響度:小)
当社は、金融機関より事業資金を調達しており、2025年3月31日現在における総資産に対する借入金の割合は、27.8%となっております。
当社は、当面は事業拡大に合わせて借入を実施する可能性がありますが、金融情勢の変化等により計画どおり資金調達ができない場合には、事業展開等に影響を受ける可能性があります。
また、当社の借入は、変動金利により行われているため、金融機関の融資情勢や市場金利の上昇による調達金利の変動は、当社の調達コストに影響を及ぼす可能性があります。
当社は、今後事業を推進していく中で中長期的に借入金等への依存を低減していくように努めてまいりますが、借入金削減が進行しない場合、借入金及び金融費用・支払利息の計上により、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 当社株式の流動性について(顕在化の可能性:小、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)
2025年3月31日現在、株式会社ワールドは、当社の議決権の41.6%、児玉昇司氏は24.9%を所有しております。当社は、新規上場時の公募増資によって株式の流動性向上を図りましたが、東京証券取引所の定める流通株式比率は2025年3月31日現在において33%程度となっております。当社は、今後も流動性の向上を図っていく方針ではありますが、何らかの事情により、新規上場時よりも流動性が低下する場合には、売買が停滞する可能性があり、当社株式の需給関係に悪影響を及ぼす可能性があります。当社は、今後、株式会社ワールド及び児玉昇司氏への一部売出しの要請やストック・オプションや株式を活用したインセンティブプラン、事業規模、売上収益及び利益額の成長を通じた株主層の拡大等の組み合わせにより、必要に応じて流動性の向上を図っていく方針です。
また、今後、株式会社ワールド及び児玉昇司氏が当社株式を市場内外で売却する場合又はその懸念が市場において認識される場合、当社株式の需給の悪化又はそのおそれにより、当社株式の市場価格に悪影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における資産は、前事業年度末に比べ1,013,508千円増加し、4,668,687千円となりました。
流動資産は、前事業年度末に比べ846,747千円増加し、1,896,493千円となりました。これは主に当社が有償一般募集(ブックビルディング方式による募集)による新株発行により東京証券取引所グロース市場に上場したことなどに伴い現金及び預金が1,081,763千円増加したこと、またバッグのBtoB販売を推進したことにより販売用バッグである商品が86,916千円減少したことなどによります。
固定資産は、前事業年度末に比べ166,761千円増加し、2,772,194千円となりました。これは収益性の低下したバッグの更新及び新たなラインナップの充実を目的としたレンタル用バッグの仕入を行ったことから有形固定資産が128,229千円増加したこと、また前払式支払手段であるラクサスキャッシュに係る供託金の預託等により投資その他の資産のその他が44,071千円増加したことなどによります。
(負債)
当事業年度末における負債は、前事業年度末に比べ1,113,892千円減少し、1,699,150千円となりました。
流動負債は、前事業年度末に比べ1,980,895千円減少し、772,496千円となりました。これは主に親会社であった株式会社ワールドからの借入金を返済したことにより関係会社短期借入金が2,262,862千円減少したこと、また1年内返済予定の長期借入金が240,000千円増加したことなどによります。
固定負債は、前事業年度末に比べ867,002千円増加し、926,654千円となりました。これは主に長期借入金が866,676千円増加したことによります。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末に比べ2,127,401千円増加し、2,969,536千円となりました。これは主に当社が有償一般募集(ブックビルディング方式による募集)による新株発行により東京証券取引所グロース市場に上場したことにより資本金が845,825千円増加したこと、資本準備金が845,825千円増加したこと及び当期純利益を計上したことにより利益剰余金が435,750千円増加したことなどによります。
② 経営成績の状況
当事業年度において、当社は、コアビジネスであるブランドバッグのサブスクリプション型シェアリングサービス「ラクサス」の強化に取り組んだ結果、価格改定による客単価の上昇とバッグ販売額の増加を主な要因として、増収となりました。
サービス面の強化策として、手元にバッグがない期間をゼロにしたいという声を反映した「プレミアム交換」の拡大、到着したバッグが期待していたバッグと違うことがあるという声を反映した月1回無料で交換できる「リセット交換」の導入、ユーザーに人気で需要が高いバッグ数を増やすための戦略的な資産入替、並びに前払式支払手段であるラクサスキャッシュのオートチャージ機能の利用拡大に取り組むことで、ユーザー満足度の向上に努めてまいりました。
顧客別単価は、2025年3月期平均単価が8,859円と対前年同期比で23.6%増加(2024年3月期平均単価7,169円)しており、契約数(ダブルプラン含む)は、19,457件となっております。
当社は、従前より試用販売サービス「買えちゃうラクサス」によりユーザーに向けてバッグを販売しておりますが、同サービスに加え、戦略的な資産の入替で生じたレンタル対象外の低稼働・不人気バッグを効率的に販売したことも収益に貢献しました。販売チャネルとしては、ユーズドセレクトショップを通じた委託販売等のBtoB/toC販路及び卸業者やオークションを通じたBtoB販路となりますが、現在はより高い販売単価が見込まれるBtoB/toC販路の拡大に注力しております。
また、動画広告等の新たな認知向上策も含め広告宣伝費の投下や優良顧客を持つ企業との連携に積極的に取り組み、新規契約獲得を加速させる戦略の実行に取り組んでおります。
以上の結果、当事業年度の売上高は2,564,743千円(前年同期比16.9%増)、営業利益は590,147千円(前年同期比29.8%増)、経常利益は569,989千円(前年同期比22.0%増)、当期純利益は435,750千円(前年同期比4.8%増)となりました。
なお、当事業年度は、2024年12月13日に東京証券取引所グロース市場へ上場したことに伴う一過性の費用として上場関連費用及び株式交付費が合計27,617千円発生しております。
また、当社は、ラクサス事業(ブランドバッグのサブスクリプション型シェアリングサービス)単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、1,522,066千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりです。なお、前事業年度(2023年4月1日から2024年3月31日まで)は連結財務諸表を作成しており、キャッシュ・フロー計算書を作成していないため、キャッシュ・フロー計算書に係る比較情報は記載しておりません。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、557,624千円となりました。これは、主に増加要因として税引前当期純利益526,695千円、レンタル資産償却費333,017千円、レンタル資産売却原価134,449千円、棚卸資産の減少額105,554千円などがあった一方で、減少要因としてレンタル資産の取得による支出684,460千円、法人税等の支払額55,402千円などがあったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金は、16,297千円となりました。これは、主に増加要因として、貸付金の回収による収入50,150千円などがあった一方で、減少要因として、敷金及び補償金の差入による支出44,272千円などがあったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、507,846千円となりました。これは、主に増加要因として、株式の発行による収入1,678,541千円、長期借入れによる収入1,200,000千円などがあった一方で、減少要因として関係会社短期借入金の減少額2,262,862千円などがあったことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
当社は、ブランドバッグのレンタル事業を営んでいるため、生産、受注の実績はありません。このため、生産、受注及び販売の実績については販売実績についてのみ記載しております。なお、販売実績は次のとおりであります。また、前事業年度は連結財務諸表を作成しておりましたが、当事業年度は個別財務諸表を作成しております。そのため、前年同期比については記載しておりません。
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セグメントの名称 |
当事業年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
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金額(千円) |
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ラクサス事業 |
2,564,743 |
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合計 |
2,564,743 |
(注)販売の相手先は主に個人消費者であり(販売代金の回収業務を外部の代金回収業者に委託しております)、相手先別販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10以上を占める取引先がないため、主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は記載しておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当事業年度の財政状態及び経営成績につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」及び「(1)経営成績等の状況の概要 ②経営成績の状況」にも記載しておりますが、特に重要な指標の内容は、以下のとおりであります。
(売上高)
当事業年度の売上高は、2,564,743千円(前年度比16.9%増)となりました。これは主に前事業年度中にブランドバッグのサブスクリプション型シェアリングサービス「ラクサス事業」の利用料金改定を行い、その効果が通期に渡って生じたこと及び「買えちゃうラクサス」サービスにおいて高単価での販売を実現したことなどの要因によるものです。
(売上総利益及び営業利益)
当事業年度の売上原価は、615,184千円(前年度比48.0%増)となりました。これは、バッグ販売を強化したこと、またレンタル用バッグのラインナップ充実を行ったことによるレンタルバッグにかかる減価償却費が増加したことなどの要因によるものです。また、売上原価率は24.0%となっており、この結果、当事業年度の売上総利益は1,949,558千円(同9.6%増)となっております。
当事業年度の販売費及び一般管理費は、1,355,935千円(同2.4%増)となりました。これは、売上が増加したことに伴い決済代行会社の販売手数料が増加したことが主な要因となります。この結果、当事業年度の営業利益は590,147千円(同29.8%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当社の当事業年度のキャッシュ・フローは、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に準拠して作成されております。この財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、一定の会計基準の範囲内にて合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。
財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
④ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社の資金需要の主なものは、販売費及び一般管理費等の営業費用、並びにラクサス事業を運営する上で欠かすことができないレンタル用バッグの取得のための資金であります。
これらの資金需要に対して必要充分な水準の手元流動性を確保するための財源は、自己資金により調達することを基本方針としておりますが、必要に応じて金融機関からの借入れも行っております。今後につきましても、成長戦略の遂行に向けて適時適切な手段で調達を行ってまいります。
(3)経営方針、経営戦略等、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
企業価値を継続的に拡大することが重要であると考え、売上高、売上総利益及び営業利益を重要な経営指標としております。前述の「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)事業上及び財務上の対処すべき課題」を解決することにより、これらの指標の向上を図ってまいります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。