第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当中間会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生または前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間会計期間の末日現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 業績の状況

当中間会計期間(2025年3月1日~2025年8月31日)におけるわが国経済は、個人消費や企業収益の改善傾向が一定程度見られる一方で、原材料価格の高止まりや為替変動、国際情勢の不確実性が企業活動に影を落とし、全体として先行きに対する慎重な見方が継続しました。また、生成AIをはじめとするデジタル技術の実装が一層進展し、業務効率化・高度化を目的としたデジタル投資の需要は高水準で推移しています。

 

当社が主にサービスを提供する旅行・観光業界においては、訪日外国人旅行(インバウンド)需要の再拡大や旅行スタイルの多様化を背景に、観光資源の利活用や地域連携を重視した旅行商品の拡充が進んでいます。一方で、国内旅行についても、個人旅行やビジネス需要の回復などを背景に堅調に推移しており、主要顧客である国内大手旅行会社の業績も改善傾向にあります。これにより、旅行会社各社においてはデジタル投資や販売チャネルの高度化に向けた意欲が高まり、当社サービスへの需要環境は引き続き良好に推移しています。

 

こうした事業環境のもと、当社は独自の検索技術基盤「Spook」を軸としたソリューション型サービス、旅行・観光業界向け商品販売プラットフォーム「webコネクト」を軸としたSaaS型サービスの二軸で事業を展開しています。両サービスはいずれも「初期開発収益」と「月額収益」で構成され、初期開発収益はプロジェクトの受注状況や進捗に応じて四半期ごとに変動する一方、月額収益は導入顧客数の増加に比例して安定的に積み上がり、持続的な成長を支える基盤となります。当社では、ソリューション型・SaaS型双方において、サービス稼働に至るまでの開発プロセスに応じて初期開発収益を段階的に認識し、サービス稼働後には月額収益を計上する収益モデルを有しています。

 

当中間会計期間においては、5月にwebコネクトの「検索機能」及び「予約・販売機能」を実装した大手旅行会社向けの大型案件が商用リリースに至り、6月以降のSaaS型サービスにおける月額収益の拡大に寄与しました。その結果、売上高は前年同期比でほぼ横ばい(微増収)となりましたが、収益構造の面では案件ごとに大きく変動する初期開発収益から契約の継続により安定的に積み上がる月額収益へのシフトが着実に進展し、当社の持続的な成長基盤が強化されました。一方で、初期開発収益は一部案件の開発着手時期が下期以降となり、進捗に応じた収益認識が後倒しとなったことが影響し、前年同期を下回りました。

 

また、営業利益については、大型案件リリース対応において、稼働開始後の動作検証作業等に係る外注費・人件費が一時的に増加したことに加え、下期以降の大型案件に備えた開発体制の拡充費用、並びに成長戦略を実現するためのプロダクト強化及び品質向上を目的とした先行的な費用を計上したことが影響し、前年同期を下回りました。具体的には、2025年4月30日に開示した「事業計画及び成長可能性に関する説明資料」に記載した3つの成長戦略に付随し、成長戦略①「主要旅行業者との連携強化と新たな分野への拡大」においては、大手旅行会社の要求水準に応えるシステム基盤「フルスペック型webコネクト」の開発を進め、第一号案件をリリースして稼働を開始しています。成長戦略②「観光DXを活用した新規参入企業支援と事業機会の拡大」及び、成長戦略③「旅行・観光業界を支えるマーケットプレイスの構築」においては、旅行・観光素材販売の汎用パッケージとして提供する「共同利用型販売機能」並びに、旅行先での体験型の観光素材(着地素材)を対象としたチャネルマネージャー機能(販売先制御機能)の開発に着手しており、これらの活動にかかる費用が当期費用として反映されています。これらは中長期的な収益基盤の拡大に向けた先行的な取り組みと位置付けています。

 

この結果、当中間会計期間の業績は前年同期比で増収減益となり、売上高は1,097,934千円(前年同期比103.2%)、営業利益は33,488千円(同41.8%)、経常利益は34,995千円(同43.7%)、中間純利益は21,769千円(同41.2%)となりました。なお、当社はデジタルビジネスプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

(2) 財政状態の状況

(資産)

当中間会計期間末における流動資産は1,823,020千円となり、前事業年度末に比べ9,253千円増加いたしました。これは主に現金及び預金並びに契約資産が増加し、売掛金が減少したためであります。固定資産は429,707千円となり、前事業年度末に比べ51,836千円増加いたしました。これは主にソフトウェア及び繰延税金資産が増加し、ソフトウェア仮勘定が減少したためであります。この結果、総資産は2,252,728千円となり、前事業年度末に比べ61,090千円増加いたしました。

 

(負債)

当中間会計期間末における負債合計は291,797千円となり、前事業年度末に比べ39,321千円増加いたしました。これは主に契約負債及び年度末に支給される従業員賞与の引当にともない賞与引当金が増加し、未払金及び未払法人税等が減少したためであります。

 

(純資産)

当中間会計期間末における純資産合計は1,960,930千円となり、前事業年度末に比べ21,769千円増加いたしました。これは主に利益剰余金の増加によるものであります。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当中間会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前事業年度末に比べ79,323千円増加し、1,309,804千円となりました。当中間会計期間末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当中間会計期間において営業活動の結果獲得した資金は、157,282千円となりました。これは主に契約資産の増加額68,026千円及び契約負債の増加額85,690千円、売上債権の減少額134,968千円によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当中間会計期間において投資活動の結果使用した資金は、77,958千円となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出6,699千円、無形固定資産の取得による支出71,259千円によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

該当事項はありません。

 

3 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。