第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

ビジョン(Vision) 「未来のインフラを創出し、HRの歴史を塗り替える」

 

当社は、日本の採用を人材獲得に変革する採用DXプラットフォーム「Myシリーズ」を提供しています。

 少子高齢化による労働力減少、終身雇用の崩壊、第四次産業革命の到来など、日本の採用市場は転換点を迎えております。全ての企業は待っているのみでなく、知恵を駆使し、自らタレントを惹きつける術を考えるなど、採用競争力をつけることが企業の生産性を分ける時代になります。また個人はよりリアルな情報を求め、雇用が流動化することで潜在的な機会が増えます。

 TalentXの社名は、ビジョンである「未来のインフラを創出し、HRの歴史を塗り替える」の実現に向け、企業が自前で人材を獲得する採用DXプラットフォーム「Myシリーズ」を通じて、日本の採用に変革(X)を起こす集団としての決意を込めており、タレントを通じて人と組織のポテンシャルを最大化することを目指しています。

 

 当社の事業の一つである「MyRefer」サービスは、HR業界の当たり前を変革し、転職・採用市場に新しい概念を創るという想いで2015年にスタートしました。その当時、リファラル採用という概念はまだ一般的に浸透しておらず、「採用は人事が担うもの」という考え方が主流でした。2023年の1年間の中で、「MyRefer」ご利用企業様や当社へ問い合わせをいただいた企業のうち62.0%の企業は何らかのリファラル制度を実施しており(注1)、企業の主要な採用チャネルのひとつとして定着しつつあります。少子高齢化により労働人口減少に拍車がかかり、未来の人材採用がより激化すると予想されます。このような状況において、全ての企業は待ちの姿勢ではなく、知恵を駆使し、自らタレントを惹きつける術を考える必要があります。採用競争力が、企業の生産性を分ける時代に既に突入しています。

 

 当社は、目先の応募を集める募集活動に終始している企業に日本の採用のあり方を転換する新たな概念・サービスを提供し、企業の採用競争力を高めるべく、日々活動しています。

 

(注1) 当社調べ「リファラル採用の実施状況に関する企業規模・業界別統計レポート」

調査対象企業2,586社、有効回答2,174社、うち1,348社が実施

https://mytalent.jp/lab/resource_337/

2023年の1年間の中で、MyReferご利用企業様や弊社へ問い合わせをいただいた企業様2,586社に対して、各社のリファラル実施状況を調査したものとなります。

 

パーパス(PURPOSE) 「人と組織のポテンシャルを解放する社会の創造」

 当社は、タレントを通じて人と組織のポテンシャルを最大化(X)することを目指しています。あらゆる人には、自分固有の強みややりがいを発揮できる環境があり、あらゆる企業には自社固有の強みや働く魅力があります。

 人や会社の「らしさ」を引き出し、本来巡り合えなかった本質的なマッチングを創出することで、自分たちの存在意義、介在価値、やりがいを感じられる。

 このような、人と組織のポテンシャルを解放する社会を創造することが、私たちの存在意義です。

 

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、持続的な成長と企業価値の向上を目指しており、主な経営指標として、売上高、MyシリーズMRRを含むサブスクリプション売上高比率、売上高総利益率、営業利益率、ARR(Annual Recurring Revenue)(注1)、課金利用社数(注2)、MyシリーズのARPA(注3)を重要な客観的な指標と捉えております。

 

(注1)ARR(Annual Recurring Revenue):年間経常収益(Annual Recurring Revenue)

各期末時点におけるMRR(Monthly Recurring Revenue、対象月の月末時点における管理会計上のサブスクリプション売上高)を12倍して算出しています。

(注2)課金利用社数:Myシリーズを課金利用していただいている社数です。複数アカウントを利用している企業もあります。

(注3)「Myシリーズ」のARPA(1社当たりの月額サブスクリプション売上高)

 

(3)経営環境

 日本では労働人口が減少し、概ね全ての職業が人手不足となる一方で、求人数は増加の一途を辿っており、企業の人材獲得はますます困難になると予想されています。(注1)

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(注1) 左図表 出典:みずほ総合研究所株式会社(現 みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社)作成(総務省「国勢調査」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」)

         右図表 出典:パーソルキャリア株式会社「転職求人倍率レポート(2024年12月)」

 

 

 日本の労働市場では労働力人口6,925万人のうち転職者は328万人と全体の5%程度である中で、既存の採用サービスではリーチしきれない潜在層を含め転職等希望者数が過去最高の1,000万人を突破しています(注2)。

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(注2) 出典:総務省統計局「労働力調査2023年」

 

 労働人口の減少が大きな社会課題となる中、当社が属する採用市場は、国内で2020年約0.9兆円、2021年約1.3兆円、2022年約1.5兆円と増加しており、中途採用計画が未充足の企業が54%と半数以上となっております(注3)。なお、世界の採用マーケティング市場は2022年に約15兆円まで拡大しております(注4)。

 当社はこの国内における1.5兆円の仲介採用市場(人材紹介及び求人広告の合算市場)に加え、転職を検討している潜在層を含む領域も事業領域としており、当社のService Available Marketは大手企業向けで約650億円、中小企業も対象とした場合は約1,661億円と推計しております(注5)。

 

(注3) 出典:リクルートワークス研究所「中途採用実態調査(2023年度実績、正社員)」。

 

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(注4) 左図表 出典:厚生労働省「職業紹介事業報告書 令和4年度版」、全国求人情報協会「求人情報提供サービス市場規模調査結果 2024年」

右図表 出典:Fortune Business Insights Online Recruitment Technology Market Size, Share & COVID-19 Impact Analysis,市場規模は日本円に換算しております。1米ドル当たり約155円(2025年1月31日時点)

(注5) Service Available Market:事業が獲得しうる最大の市場規模です。当社CRMで管理している日本国内の従業員数1,000名以上の企業3,738社のうち、「Myシリーズ」がコアターゲットとしている企業数(中途採用において人材紹介または媒体を活用している企業)を算出しております。コアターゲット企業数を従業員数1,000~2,999名、3,000名以上に分類し、「Myシリーズ(「MyRefer」、「MyTalent」、「MyBrand」)」の新規獲得時の月額利用料を積算し、これを1年間分(12か月分)に換算して推計しております。

 

(4)経営戦略等

 当社は、サステナブル・グロース(持続可能な成長)を中長期の経営テーマとして掲げており、売上高成長率と利益率を組み合わせた成長指標が中長期的な企業価値の向上につながると考えています。このため、「Rule of 40(40%ルール)」(注1)を予算検討項目の重要指標として位置づけ、利益を意識しながらも持続可能な成長を図ってまいります。

 

● 売上成長を実現するための戦略

 売上成長を実現するための戦略としては、大手企業への新規開拓および既存顧客の深耕に継続的に取り組み、「Myシリーズ」のアップセル及びクロスセルを推進してまいります。

新規顧客開拓においては、国内に従業員数1,000名以上の大手企業が約4,000社存在する中、現在「Myシリーズ」をご利用いただいている企業は200社であり、約95%に新規開拓の余地がある状況です。「Myシリーズ」は、リファラル採用、アルムナイ採用、採用ブランディングなど、採用DXプラットフォームとして独自のブランドポジションを確立しております。その結果、2024年3月期における新規契約の約7割は、広告宣伝費に連動しないアウトバウンド(注2)およびインバウンド(注3)によるものであり、新規売上獲得に占めるマーケティングコストの割合は10%未満となっております。このことから、多額の広告宣伝費に依存しない効率的な営業体制を構築しており、営業人員を増加することで新規顧客開拓をさらに促進してまいります(注4)。

既存顧客の深耕においては、「MyRefer」単体でみても導入企業における利用人数カバー率は45%(注5)であり、アップセルの機会が残されています。これに加え、現在、「MyRefer」や「MyTalent」など2つ以上のモジュールを利用している企業の割合は14%(注5)、また「MyRefer」「MyTalent」「MyBrand」など3つ以上のモジュールを利用している企業の割合は3%(注5)となっております。このように「Myシリーズ」にはクロスセルの余地が大きく残されていることから、プラットフォーム開発を推進し、複数モジュールの利用を促進することで解約率の低下も期待しております。このようなポテンシャルを活かし、当社では積極的にクロスセル戦略を推進してまいります。

また、売上成長を実現する中長期的な戦略として、当社はストック型収益を基盤とするリカーリング事業の拡大に加え、フロー型収益で構成されるパフォーマンス事業にも注力しています。「Myシリーズ」などのSaaS事業は、安定的なリカーリング収益をもたらし、業務に深く入り込むため、顧客にとってリプレイスされにくいという強みがあります。一方で、顧客にさらなる付加価値を提供し、安定性と急成長を両立するために、パフォーマンス事業の立ち上げにも力を入れています。採用マーケティングプロダクトの展開を通じて寄せられる顧客のニーズに応え、採用戦略全般をコンサルティングするRXO事業や、採用決定時に収益を計上する成果報酬事業など、リカーリング事業とパフォーマンス事業の強みと弱みを補完し合う独自のポジショニングを築き、さらなる成長を目指してまいります。

 

● 利益成長を実現するための戦略

 利益成長を実現する戦略としては、「Myシリーズ」のプロダクトにおけるAI技術の実装に加え、付随する人的サポートをAIで自動化することで、当社営業人員の生産性向上を目指しております(注6)。具体的には、「MyRefer」では社内広報活動の自動化機能を既にリリースしており、今後は従業員のリファラルネットワークを可視化するさらなる自動化機能の開発を予定しています。また、MyTalentにおいては、AIを活用した応募意欲の高い候補者の自動サジェスト機能を既にリリースしており、今後は候補者へのスカウト自動化機能の開発を進める予定です。

 

 「Myシリーズ」はプラットフォームの価値を高めるネットワーク効果を発揮し、既存の人材業界事業者や新規参入事業者に対して競合優位性を築き上げ、参入障壁を構築してきました。当社は2015年以降、リファラル採用をはじめとする採用マーケティング市場の創造とともにコンパウンドSaaSとしてビジネスモデルを強化し、シングルIDによるプラットフォーム展開やプロダクト間のシナジー効果を発揮しております。さらに専門性の高いコンサルティング力や、日本を代表する大手企業の導入実績が当社の信頼性を高めています。また解約率が1%を下回り年々低下傾向にあることも、プラットフォームの持続可能な成長を支える要因となっております。

 今後のプロダクト展開としては、プラットフォームの強みを生かし、長期的に採用マーケティングエコシステムの構築を目指してまいります。具体的には既存プロダクト(「MyRefer」、「MyTalent」、「MyBrand」)においては、AIを活用した採用マーケティング機能の強化を図り、新規プロダクトにおいては人事データ、従業員データを活かして従業員向けのマーケティングを強化するプロダクトを開発予定です。「MyRefer」では求人に適合する友人やリクルーターを発掘する機能、「MyTalent」では求人に適合する候補者を発掘する機能、「MyBrand」では候補者に適合する求人やメディアを表示する機能など、AIや自動化技術を活用し、よりパーソナライズされた候補者体験を提供するとともに、採用担当者の負担軽減を実現することを目指します。

 また、自社開発に留まらず外部パートナーとの連携や協業を通じて、採用マーケティング全体のエコシステムを構築することで、更なるユーザーの利便性向上、並びに当社の事業優位性を強化してまいります。

 

 かつてCRMが営業活動にマーケティングの変革をもたらしたように、当社は採用活動をマーケティングに変革することを目指しております。CRMの登場により、営業活動はWeb上で情報を一元管理し、自社の見込み顧客に対して効果的にマーケティングを行う時代へと進化を遂げました。

 同様に、当社が提供する「Myシリーズ」は、候補者情報を資産としてWeb上で一元管理し、自社の候補者に対してマーケティングを行うという、採用マーケティングの新たな概念を提唱しております。

 これにより、「Myシリーズ」は、優秀な人材を効率的かつ自律的に獲得可能とする採用DXプラットフォームとして、従来のエージェントや求人広告への依存から脱却する手法を提供いたします。また、採用競合との直接的な競争を回避しつつ、転職潜在層からの応募促進、自社の魅力向上、さらに入社後の活躍を見据えたタレント・アクイジション(注7)の実現を推進してまいります。

 

(注1)売上高成長率と利益率の合計が40%以上であることを理想とする指標です。このルールは、SaaS企業の健全な成長と収益性のバランスを測るために用いられます。

(注2)当社の営業社員が直接顧客に対して電話やメールなどにより商談を獲得すること。

(注3)顧客が自ら当社に問い合わせすることをきっかけにし、商談を獲得すること。

(注4)2024年3月期における新規受注件数におけるチャネル内訳は、インバウンド32.6%、アウトバウンド45.3%、イベント11.6%、アライアンス4.7%、その他5.8%となります。また新規売上獲得に占めるマーケティングコストの割合は、2022年3月期上半期68%・下半期67%、2023年3月期上半期13%・下半期17%、2024年3月期上半期7%・下半期6%となります。

(注5)各数値は2024年12月末時点

(注6)2024年3月期におけるCS一人当たり保有ストック売上高は、2023年3月期第1四半期の約1.5倍に増加しております。

(注7)企業が必要なスキルや経験を持つ優れた人材を戦略的に見つけ出し採用するプロセスを指し、採用活動にとどまらず、長期的なタレントプールの構築や採用ブランディングの強化も含めて行うこと。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の主な課題は、以下の項目と認識しております。

① 採用DXプラットフォームの推進

 既にリリース済みのリファラル採用支援ツール「MyRefer」、採用マーケティングオートメーション(MA)ツール「MyTalent」、採用ブランディング支援ツール「MyBrand」に加え、従業員マーケティングモジュールなど新たなサービスを順次導入することで、「Myシリーズ」のサービスラインをさらに拡充してまいります。これにより、当社サービスのプラットフォーム化を一層強化し、既存顧客の深耕および新規顧客の獲得を推進してまいります。

 

② 収益性の追求

 2023年3月期までは③に記載の人材の確保・育成のための人件費や採用費等が積み重なった結果、営業損失が先行して発生し、2024年3月期より利益に転じております。

 2025年3月期以降は、人的支援領域、SaaS領域の双方の観点で事業間シナジーを生み出し、高い収益性を追求することで利益確保・増益に注力いたします。成長事業に対しては積極的に開発投資を実施しながらも、全社的な開発コストの適正化を図ってまいります。

 

③ 優秀な人材の確保・育成

 当社事業を成長させていくため、優秀な人材の確保・育成は不可欠であると認識しております。また、人員拡大とともに組織化を進め、教育制度も拡充し、従業員の成長をサポートしてまいります。

 

④ 情報管理体制の継続的な強化

 当社の運営する事業においては、顧客情報や個人情報を取り扱っており、これらの情報管理体制を強化することが重要であると考えております。そのため、個人情報に関する社内規程の厳格な運用、定期的な社内教育の実施やセキュリティシステムの構築を行っております。また、一般財団法人日本情報経済社会推進協会が運営するプライバシーマーク制度の認証を取得しており、引き続き、情報管理体制の強化、徹底を図ってまいります。

 

⑤ 内部管理体制の強化

 当社が継続的な成長を続けていくことができる強固な組織基盤の確立に向け、コーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の更なる強化を図ってまいります。

 

⑥ 財務上の課題

 当社は金融機関から借入を行ってはおりますが、営業活動による安定的なキャッシュ・フローを源泉として健全な財務基盤を築いているため、現時点において優先的に対処すべき財務上の課題はありません。しかしながら、今後当社の成長の一つの選択肢としてM&Aを実施した場合、一時的に有利子負債が増加する可能性があるため、営業活動による安定したキャッシュ・フローの確保に加え、金融機関との一層の関係強化や資金調達の多様化により、財務体質の更なる強化に努めてまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

(1)当社が目指すサステナビリティ経営

 当社は、「人と組織のポテンシャルを解放する社会の創造」をパーパスに掲げており、人と組織の最適なマッチングを通じて、社会課題に貢献することを目指しております。人や組織が自分たちの固有の強みを見出せる新たな出逢いの機会創出を通じて、個人のキャリア自律や企業の事業成長、その先にある日本社会の発展に貢献できるよう尽力してまいります。

 

(2)ガバナンス

 サステナビリティに係わる重要事項は、代表取締役、常勤取締役、経営管理本部長、社長室長等から構成されるリスク・コンプライアンス委員会(常勤監査役がオブザーバー参加)で議論する体制をとっております。また、人材育成及び社内環境整備を含め、直面する経営課題等のリスクを最小化すべく、サステナビリティ課題の推進に社外取締役や社外監査役の知見を活かしております。代表取締役、常勤取締役、経営管理本部長、社長室長等は、中期経営計画とリンクしたサステナビリティ目標に取組むとともに、進捗状況を定期的に取締役会に報告しております。なお、経営環境の変化に対応すべく、定期的に見直しも行い、経営方針に反映し、中期経営計画の達成に向けて推進しております。

 

(3)人的資本経営に関する取り組み

① 人材獲得方針

 当社は、企業の発展・成長の源泉は人材と文化であると考え、キャリア採用のみでなく新卒採用に注力しております。また、当社自身が採用マーケティングを体現すべく、リファラル採用、アルムナイ採用、タレントプール採用などの採用マーケティング手法を駆使した人材獲得に積極的に取り組んでおります。

 

② 個人のポテンシャルを活かす人材育成方針

 当社は、パーパスである「人と組織のポテンシャルを解放する社会の創造」を実現するため、事業戦略と連動した人材戦略に加え、個人のキャリアビジョンに基づく人材開発の双方に注力しております。個人が主体的かつ自律的にキャリアを形成できるよう、成長の機会を提供するとともに、安心できる環境の整備を進めてまいります。

 

③ 行動指針・バリュー(Leadership Principles)の徹底

 当社は、下記のバリューに基づき、それぞれのバリューに紐づく行動指針を設定しております。また、バリューや行動指針は、採用基準、個人の目標設定に連動しているのみでなく、日々のコミュニケーションや表彰制度としても浸透しております。

User First

顧客価値の創造

リーダーは顧客から信頼を獲得して顧客価値自体を創造することに全力を尽くします。

Bold mistake

果敢な失敗をしよう

リーダーは失敗の先の学びを得るために、恐れずチャレンジと失敗をします。

Be Columbus

コロンブスの卵であろう

リーダーは『初』を生み出します。”世の中初”コロンブスの卵のように。

Ownership

オーナーシップを持とう

リーダーは自分の業務のみにフォーカスせず、全社にオーナーシップを持ちます。

Gale

疾さで勝とう

リーダーは誰よりも疾く、スマートであり続けます。

Professionalism

プロフェッショナルであれ

リーダーはいついかなるときも自らのミッションに誰よりもコミットします。

Respect everyone

誰にもリスペクトを

リーダーは誰よりも多様性を持ち、年齢、業績、経歴を問わず皆をリスペクトします。

Essential thinking

物事の本質を追求しよう

リーダーは何事にも本質を追求し、クリティカルに物事を考えます。

Teamplay

仲間を信じその力を活かそう

リーダーは仲間とのつながりが価値あるものだと信じています。

Enjoy Working

はたらくを楽しもう

リーダーは全員「はたらくを楽しむ」スタンスを持っています。

 

(3)リスク管理

 リスク・コンプライアンス委員会にて、各委員が主管する部署の問題点を吸い上げ、その内容の協議・検討・評価を通じてサステナビリティに関するリスクを含めた事業上のリスクと認識した場合、取締役会に報告し、取締役会が最終的なモニタリング・監督を行うこととしております。なお、リスク・コンプライアンス委員会において把握した情報は、全て監査役及び内部監査担当と共有がなされています。

 

(4)指標及び目標

 人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、以下のとおりであります。

・2026年4月1日までに全従業員に占める新卒採用者の割合を30%以上にする目標に対して、2024年4月1日時点における実績は15%でした。

・2026年3月31日までに年次有給休暇の取得率を100%にする目標に対して、2024年3月期における実績は67%でした。

 尚、上記以外の項目につきましては、サステナビリティ関連のリスク及び機会に関する当社の実績を長期的に評価し、管理及び監視するために用いられる情報としての指標及び目標を具体的に定めておりませんが、今後の事業を進める中で検討してまいります。

 

 

3【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社といたしましては、これらのリスクを認識し、リスクの予防、回避及び発生時の適切な対応に努める所存であります。なお、文中における将来に関する事項については、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生する可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。なお、当社はリスク管理の基本方針及び管理体制を「リスク管理規程」において定め、リスク管理の基盤としての内部統制システムと代表取締役を委員長とするリスク・コンプライアンス委員会において、事業を取り巻く様々なリスクに対して適切な管理を行い、リスク顕在化の予防を図っております。

 

(1)市場動向について(顕在可能性:中/影響度:中/発生時期:特定時期なし)

 当社が提供するクラウドを利用したSaaS型サービスについては、現在、企業が業務の自動化や効率化を進めており、それらを後押しするシステム投資へのマインドが上向いていることから、企業規模を問わず高い需要が継続しております。このような環境の中、当社では、「Myシリーズ」のサービスラインを増やすことで特定のサービスに依存することなく、また、外部環境の変動に強い大手企業を主たる顧客とし、顧客の属する業界も金融からメーカーなど幅広くすることでリスクを軽減しております。

 しかしながら、今後経済情勢や景気動向等が変化し、顧客企業の投資マインドが減退するような場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)競合について(顕在可能性:中/影響度:中/発生時期:特定時期なし)

 当社は、大量の情報を簡易な操作で分析・可視化できるSaaS型サービスを複数の領域で展開しております。当社では、顧客ニーズに合わせたサービスを展開するほか、これまでの経験・実績及び社内ノウハウ等を強みとして製品力を強化することで差別化を図り優位性を高めております。

 しかしながら、当社が事業を展開する人材関連(人材関連サービス、採用マーケティング等)市場において、事業展開する領域によっては、資金力、ブランド力を有する競合事業者が存在するほか、新規に参入者が出現する可能性があります。これらの企業との競争が激化した場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)技術革新への対応について(顕在可能性:中/影響度:中/発生時期:特定時期なし)

 当社がサービスを提供するインターネット業界においては、新技術の開発及びそれに基づく新サービスの導入が頻繁に行われ、変化の激しい業界となっております。当社では、新しいトレンドには柔軟に対応していく必要があるため、最新の技術動向や環境変化を把握できる体制を構築するほか、優秀な人材の獲得及び社員教育等に努めております。

 しかしながら、何らかの理由で技術革新等への対応が遅れた場合、当社が提供するサービスの競争力が低下する可能性があります。また予定していない開発費等の投資が発生した場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)システムトラブルについて(顕在可能性:低/影響度:大/発生時期:特定時期なし)

 当社のサービスはインターネット経由で提供されており、サービス基盤は社内外のネットワークやシステムに依存しております。このため当社では、安定的なサービス提供のため、情報セキュリティの強化を行うなどのシステム管理体制を強化しております。

 しかしながら、自然災害や事故等により、電力供給の停止等の予測不可能な様々な要因により、ネットワークやシステムが停止した場合には、サービスを提供することが不可能となる場合があります。またアクセスの一時的な増加による負荷増大で当社システムが停止する場合や大規模なプログラム障害でサービス提供に支障が出る場合があります。さらに、外部からの不正な手段によるコンピュータ内への侵入等の犯罪や当社担当者の過誤等によって、当社のシステムに重大な影響が出る場合があります。

 これらの場合、当社のサービスへの信用度が著しく低下し、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)新規事業への投資について(顕在可能性:中/影響度:中/発生時期:特定時期なし)

 当社では、事業規模の拡大と収益源の多様化を実現するため、新規事業を開発するための取り組みを積極的に進めていく方針であります。

 新規事業が安定して収益を生み出すまでには、一定期間、研究開発等への投資を要することが想定され、全社の利益率を低下させる可能性があるため、新規事業への投資については市場動向を充分に観察・分析し、事業計画等を慎重に検討した上で実行判断をするほか、既存事業の収益とのバランスを勘案しながら、許容できるリスクについて判断しております。

 しかしながら、将来の事業環境の変化等により、新規事業が当初の計画どおりに推移せず、投資に対して十分な回収を行うことができなかった場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)内部管理体制について(顕在可能性:中/影響度:大/発生時期:特定時期なし)

 当社では、継続的な成長のために適切なコーポレート・ガバナンスを整備し、内部管理体制の充実を図ることが重要であると認識しております。このため業容拡大や従業員の増加に合わせ、内部管理体制の整備を進めており、今後も一層の充実を図る方針となっております。

 しかしながら、当社の事業成長に比べて内部管理体制の構築、整備が遅れるなど、適切な内部管理体制の整備がなされない場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)人材の確保について(顕在可能性:中/影響度:中/発生時期:特定時期なし)

 当社では、今後更なる業容拡大に対応するため、優秀な人材を確保し、継続して育成・定着させることが重要な課題であると考えております。このため採用活動を強化するほか、入社後の研修等の充実を図るなど、各種施策を推進しております。

 しかしながら、当社が求める人材を十分に確保できず、また社内における人材育成が計画通りに進まない場合、適正な人員配置が困難となり、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(8)特定人物への依存について(顕在可能性:低/影響度:中/発生時期:特定時期なし)

 当社の代表取締役である鈴木貴史は、当社の主要株主であるとともに、当社事業に関する豊富な経験と知識を有しており、当社の経営方針や事業戦略の決定などの事業活動全般において重要な役割を果たしております。

 当社では、業容拡大とともに権限委譲を進め、過度に依存しない経営体制の整備や人材の育成など、リスクの軽減に努めております。

 しかしながら、何らかの理由により同氏による当社業務の遂行が困難となった場合、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(9)法的規制について(顕在可能性:低/影響度:大/発生時期:特定時期なし)

 当社は、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」、「電子署名及び認証業務に関する法律」、「個人情報の保護に関する法律」、「不正競争防止法」、「下請法」、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」、「電気通信事業法」、「職業安定法」等の法的規制を受けております。これらのうち、当社が事業を展開するに当たり大きく影響を受ける法律は、「個人情報の保護に関する法律」、「職業安定法」であります。当社は、「個人情報の保護に関する法律」をはじめとする主要法令等の遵守を徹底する体制の整備及び社内教育を実施し、関連諸法令等の遵守を図っております。

 当社プロダクト「Myシリーズ」を提供すること自体は顧客へのシステムの提供であり、有料職業紹介事業の許認可を要するものではありませんが、「Myシリーズ」に付随するサービス等については有料職業紹介事業許可に基づき行っているものがあります。この点、「Myシリーズ」に付随するサービス等から生じる売上高の全体に占める割合は現状僅少であり、本サービス等を実施する場合は職業安定法をはじめとする関連諸法令等を適切に遵守しております。

 また、「Myシリーズ」を利用される顧客に対しては、利用の仕方やリファラル制度設計上、職業安定法等の規制に抵触しないよう留意する必要があるため、当社から適切に注意喚起等を行っております。

 しかしながら、このような対策にもかかわらず、新たな法令の制定や既存法令における規制強化等がなされ、当社の事業が制約を受ける場合、もしくは万が一法令等遵守体制が機能しなかった場合、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 なお、当社では、職業安定法に基づく有料職業紹介事業の許可を得て、サービスを提供しておりますが、現時点で当該許可の継続に問題となるような事象は発生しておりません。

 

(10)情報管理体制について(顕在可能性:中/影響度:大/発生時期:特定時期なし)

 当社は、提供するサービスに関連して顧客企業の機密情報や個人情報を取り扱っております。当社では、個人情報の取り扱いの重要性を十分に認識しており、「個人情報の保護に関する法律」や「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」の要求事項の遵守に努めております。これらの情報資産を保護するため、プライバシーマークを取得しているほか、個人情報保護方針、情報セキュリティに関する方針を定め、この方針に従って各種規程、マニュアルを制定し、法令の遵守を徹底する体制の整備及び社内教育を実施し、情報資産を適切に管理、保護しております。

 しかしながら、このような対策にもかかわらず重要な情報資産が外部に漏洩した場合には、当社の社会的信用の失墜、損害賠償請求の発生等により、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

(注) プライバシーマーク制度とは、一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)が行う日本工業規格「JIS Q 15001個人情報保護マネジメントシステム-要求事項」に適合して、個人情報について適切な保護措置を講ずる体制を整備する事業者等として認定する制度のことです。認定された事業者には「プライバシーマーク(Pマーク)」の使用が認められます。

 

(11)知的財産権について(顕在可能性:低/影響度:大/発生時期:特定時期なし)

 当社は、当社が開発した知的財産については適切に登録等を行い当社財産の保全を図っております。また当社が他社の保有する知的財産を侵害しないよう、サービスの開発段階において採用する技術等について、当社内で調査し、必要に応じて弁理士等を通じて調査を行うこととしております。

 しかしながら、万が一、当社が第三者の特許権や著作権等の知的財産を侵害した場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(12)訴訟等について(顕在可能性:低/影響度:小/発生時期:特定時期なし)

 当社は、法令及び契約等の順守のため「コンプライアンス・マニュアル」を定めてコンプライアンス体制の充実に努めており社内教育を実施しております。本書提出日現在において訴訟を提起されている事実はありません。

 しかしながら、将来何らかの事由により訴訟を提起される可能性があります。その訴訟の内容及び結果によっては、当社の事業及び業績、並びに企業としての社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)自然災害について(顕在可能性:低/影響度:大/発生時期:特定時期なし)

 当社の事業活動に必要なサービス基盤については、自然災害等が発生した場合に備え、データセンターやクラウドを利用しております。

 これらサービスの利用にあたっても、自然災害や事故等に備え、定期的なバックアップ、稼働状況の監視等によりトラブルの事前防止又は回避に努めております。しかしながら、火災、地震等の災害によりサービス基盤が被害を受け、情報資産の消失又はサービスの提供が維持できない状態に至った場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)新株予約権の行使による株式価値の希薄化について(顕在可能性:低/影響度:小/発生時期:中期的)

 当社では、役員及び従業員に対するモチベーション向上等を目的として新株予約権を付与しており、本書提出日現在における発行済株式総数に対する潜在株式数の割合は3.7%となっております。また今後も優秀な人材確保のため新株予約権を発行する可能性があります。

 これらの新株予約権が行使された場合、発行済株式総数が増加し1株当たりの株式価値を希薄化させる可能性があります。

 

(15)調達資金の使途について(顕在可能性:低/影響度:小/発生時期:中期的)

 当社が予定している公募増資による調達資金については、システム開発人材、顧客への付加価値提案を行う営業人材、システムのインフラストラクチャーを管理・運用・保守する人材、そして持続可能な企業基盤を支えるコーポレートスタッフの採用、強化のための人材採用費及びMyシリーズプロダクト拡充のためのシステム開発関連費に充当する予定であります。

 しかしながら、当社が属する情報通信業界は事業環境の変化が激しく、その変化に柔軟に対応するため、上記計画以外の使途に充当する可能性もあります。その場合は速やかに資金使途の変更について開示を行う予定であります。また、計画通りの資金使途によっても計画通りの効果が得られない可能性があり、このような場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(16)大株主がファンドであること等について(顕在可能性:低/影響度:小/発生時期:短期的)

 本書提出日現在において、AT-Ⅱ投資事業有限責任組合が当社発行済株式の20.4%を、グローバル・ブレイン7号投資事業有限責任組合が当社発行済株式の6.1%を、HAKUHODO DY FUTURE DESIGN FUND投資事業有限責任組合が当社発行済株式の2.0%を所有しております。

 当該ファンドが上場後も相当数の当社株式を保有することとなった場合には、その保有、処分方針によって、当社株式の流動性及び株価形成等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(17)配当政策について(顕在可能性:低/影響度:小/発生時期:特定時期なし)

 当社は、株主に対する利益還元を経営の重要課題と位置付けております。現在、当社は成長段階にあり、収益基盤の強化や新規投資への充当を通じて事業拡大を図ることが、株主に対する最大の利益還元につながると考えております。このため、会社設立以来、配当は実施しておりません。将来的には、その時点における経営成績、財政状態およびキャッシュ・フローの状況を勘案し、安定した配当を継続的に実施できる体制を整えた上で、利益還元策を検討していく方針ではありますが、現時点において配当実施の可能性及びその時期等については未定であります。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態の状況

第6期事業年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)

(資産)

 当事業年度末における流動資産は533,265千円となり、前事業年度末に比べ137,352千円増加いたしました。これは主に現金及び預金が119,677千円、売掛金が8,805千円増加したことによるものであります。

 固定資産は97,251千円となり、前事業年度末に比べ23,957千円減少いたしました。これは主に減価償却累計額が21,346千円増加し、ソフトウエアが9,304千円減少したことによるものであります。

 この結果、総資産は630,517千円となり、前事業年度末に比べ113,395千円増加しました。

(負債)

 当事業年度末における流動負債は498,673千円となり前事業年度末に比べ98,148千円増加しました。これは主に前受金が79,965千円、未払金が24,554千円増加したことによるものであります。

 固定負債は71,212千円となり前事業年度末に比べ11,714千円減少いたしました。これは主に長期借入金が10,824千円減少したことによるものであります。

 この結果、負債合計は569,885千円となり前事業年度末に比べ86,434千円増加しました。

(純資産)

 当事業年度末における純資産合計は60,632千円となり、前事業年度末に比べ26,960千円増加いたしました。これは利益剰余金が同額増加したことによるものであります。この結果、自己資本比率は9.62%(前事業年度末は6.51%)となりました。

 

第7期中間会計期間(自 2024年4月1日 至 2024年9月30日)

(資産)

 当中間会計期間末の資産合計は930,935千円となり、前事業年度末に比べ300,418千円増加となりました。これは主に、現金及び預金が306,447千円、前払費用が12,994千円増加した一方で、有形固定資産が8,584千円、無形固定資産が67千円減少したこと等によるものであります。

(負債)

 当中間会計期間末の負債合計は731,832千円となり、前事業年度末に比べ161,947千円増加となりました。これは主に、前受金が190,978千円増加した一方で、1年内返済予定の長期借入金が206千円、未払金が9,452千円減少したこと等によるものであります。

(純資産)

 当中間会計期間末の純資産合計は199,102千円となり、前事業年度末に比べ138,470千円増加となりました。これは主に、中間純利益138,470千円を計上したことによるものであります。

 

第7期第3四半期累計期間(自 2024年4月1日 至 2024年12月31日)

(資産)

 当第3四半期会計期間末の資産合計は957,135千円となり、前事業年度末に比べ326,618千円増加となりました。これは主に、現金及び預金が344,891千円、前払費用が10,065千円増加した一方で、有形固定資産が13,752千円減少したこと等によるものであります。

(負債)

 当第3四半期会計期間末の負債合計は687,330千円となり、前事業年度末に比べ117,445千円増加となりました。これは主に、前受金が154,924千円、賞与引当金が32,282千円増加した一方で、未払金が56,571千円、長期借入金が22,416千円減少したこと等によるものであります。

(純資産)

 当第3四半期会計期間末の純資産合計は269,805千円となり、前事業年度末に比べ209,173千円増加となりました。これは主に、四半期純利益209,172千円を計上したことによるものであります。

 

 

② 経営成績の状況

第6期事業年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)

 当事業年度における日本経済は、労働人口の減少や世界的な経済情勢の影響を受けつつも、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴う経済活動の正常化が進展し、一部で回復基調が見られる状況でした。一方、少子高齢化による人材不足や採用環境の変化が顕在化する中、企業はより効率的かつ効果的な採用手法の模索を迫られています。

 このような経済環境下で、当社は「未来のインフラを創出し、HRの歴史を塗り替える」というビジョンのもと、採用活動の概念を変革し、戦略的なタレント獲得を支援する採用DXプラットフォーム「Myシリーズ」の提供を進めてまいりました。

 当事業年度においては、中長期における持続的な成長の実現に向け、積極的な人材採用や育成・配置転換による組織体制の強化、サービス認知度向上のためのマーケティング施策の実行、カスタマーサクセスを通じた既存顧客の採用成果最大化に向けたサポートを強化いたしました。また、2024年1月には、ノーコードで採用ブランディングを支援する新サービス「MyBrand」をリリースし、採用サイトからの流入増加やマッチング精度向上を支援するとともに、「Myシリーズ」全体のプラットフォーム機能を強化いたしました。

 以上の結果、当事業年度における当社の経営成績は、売上高1,062,787千円(前事業年度比46.2%増)、営業利益27,214千円(前事業年度は94,526千円の損失)、経常利益26,635千円(前事業年度は95,464千円の損失)、当期純利益26,960千円(前事業年度は93,744千円の損失)となりました。

 なお、当社は「採用マーケティング事業」の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を行っておりません。

 

第7期中間会計期間(自 2024年4月1日 至 2024年9月30日)

 当中間会計期間におけるわが国経済は、賃上げへの動きやインバウンド需要の拡大等により、緩やかな景気回復の動きがみられました。しかしながら、物価上昇や円安の長期化など、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。

 採用マーケティング業界においては、2024年4月の有効求人倍率が1.26倍(出所:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和6年4月分)」)となり、人材需要は継続して堅調に推移しております。それに加えて、新型コロナウイルス感染症の影響で増えたオンラインでの採用活動の普及が企業の採用DXへの投資を後押ししております。

 このような経済状況のもとで、当社は、2018年の設立時より展開しているリファラル採用ツール「MyRefer」、2022年2月にスタートした採用MAツール「MyTalent」、2024年1月にリリースした採用ブランディング支援ツール「MyBrand」を含む「Myシリーズ」を主力事業とし、安定成長を継続して実現させております。

 いずれのサービスも継続収益が大部分を占めるSaaS型サービスであり、それぞれのサービスによる収益が上乗せされる形で成長を継続しております。

 また、自社の採用計画達成のために、人事採用部門のプロフェッショナルチームからの支援を受け、戦略、戦術の変革を支援して欲しいというお客様の要望に応えるため、2024年5月には採用コンサルティング&RPOサービス「RXO(アールエックスオー)」(注1)の本格提供を開始いたしました。

 

(注1) RXOとは、TalentXの独自コンセプトであり、Recruitment Transformation Outsourcingを指します。企業が目指す採用計画の達成に向け、部分的な採用オペレーションの代行(RPO: Recruitment Process Outsourcing)にとどまらず人事採用部門のパートナーとして戦略、戦術の変革(X)を支援しています。

 

 以上の取り組みの結果、当中間会計期間における売上高は679,242千円となり、前年の高成長を継続しております。また将来の大きな市場獲得を見据えて人員採用やマーケティング投資などの積極的な成長投資を継続した結果、営業利益は138,793千円、経常利益は138,742千円、中間純利益は138,470千円となっております。

 

第7期第3四半期累計期間(自 2024年4月1日 至 2024年12月31日)

 当第3四半期累計期間におけるわが国経済は、賃上げへの動きやインバウンド需要の拡大等により、緩やかな景気回復の動きがみられました。しかしながら、物価上昇や円安の長期化など、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。

 採用マーケティング業界においては、2024年4月の有効求人倍率が1.26倍(出所:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和6年4月分)」)となり、人材需要は継続して堅調に推移しております。それに加えて、新型コロナウイルス感染症の影響で増えたオンラインでの採用活動の普及が企業の採用DXへの投資を後押ししております。

 このような経済状況のもとで、当社は、2018年の設立時より展開しているリファラル採用ツール「MyRefer」、2022年2月にスタートした採用MAツール「MyTalent」、2024年1月にリリースした採用ブランディング支援ツール「MyBrand」を含む「Myシリーズ」を主力事業とし、安定成長を継続して実現させております。

 いずれのサービスも継続収益が大部分を占めるSaaS型サービスであり、それぞれのサービスによる収益が上乗せされる形で成長を継続しております。

 

 以上の取り組みの結果、当第3四半期累計期間における売上高は1,043,235千円となり、前年の高成長を継続しております。また将来の大きな市場獲得を見据えて人員採用やマーケティング投資などの積極的な成長投資を継続した結果、営業利益は211,541千円、経常利益は209,577千円、四半期純利益は209,172千円となっております。

 

 

③ キャッシュ・フローの状況

第6期事業年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は465,192千円と前事業年度末と比べ119,677千円の増加となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は148,108千円(前事業年度は62,596千円)となりました。これは主に、税引前当期純利益26,635千円、減価償却費31,854千円、未払金の増加22,691千円、前受金の増加79,965千円による資金の増加があったためであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は7,853千円(前事業年度は10,080千円)となりました。これは、主に有形固定資産の取得による支出5,972千円があったためであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は20,578千円(前事業年度は27,984千円)となりました。これは、長期借入金の返済による支出20,578千円があったためであります。

 

第7期中間会計期間(自 2024年4月1日 至 2024年9月30日)

 当中間会計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、771,640千円となりました。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは315,986千円の収入となりました。

 これは主に、税引前中間純利益138,742千円、前受金の受取による増加額190,978千円があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは3,921千円の支出となりました。

 これは主に、有形固定資産の取得による支出3,701千円があったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは5,618千円の支出となりました。

 これは、長期借入金の返済による支出5,618千円があったことによるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社で行う事業は、生産に該当する事項がありませんので、記載を省略しております。

b.受注実績

 当社で行う事業は、受注から役務提供の開始までの期間が短いため、記載を省略しております。

c.販売実績

 前事業年度、第7期中間会計期間及び第7期第3四半期累計期間の販売実績は、次のとおりであります、なお、当社は「採用マーケティング事業」の単一セグメントのため、セグメント別の記載は省略しております。

事業分野別の名称

第6期事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

第7期中間会計期間

(自 2024年4月1日

至 2024年9月30日)

第7期第3四半期累計期間

(自 2024年4月1日

至 2024年12月31日)

金額(千円)

前年同期比

(%)

金額(千円)

金額(千円)

採用マーケティング事業

1,062,787

146.2

679,242

1,043,235

合計

1,062,787

146.2

679,242

1,043,235

 (注)1.金額は販売価格によっております。

2.最近2事業年度及び第7期第3四半期累計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は総販売実績の100分の10未満であるため記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

① 重要な会計方針及び見積り

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この財務諸表の作成に当たり、決算日における財政状態及び会計期間における経営成績に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、この見積りと異なる場合があります。当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

第6期事業年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)

(売上高)

 当事業年度の売上高は1,062,787千円(前年同期比46.2%増)となりました。これは主に、リファラル採用支援ツール「MyRefer」に加え、採用MAツール「MyTalent」の販売が順調に推移したこと、顧客企業のタレント・アクイジションの支援を行ったこと、「Myシリーズ」の共通基盤化を行い、顧客価値を高めるとともにカスタマーサクセスの強化、積極的なクロスセル機会が創出できたことによるものであります。

(売上原価、売上総利益)

 当事業年度の売上原価は、200,074千円(前年同期比3.3%減)となりました。これは主に開発に係る業務委託を内製化したため経費に含まれる業務委託費が39,788千円減少した一方で労務費が41,708千円増加したことによります。この結果、売上総利益は862,713千円(前年同期比65.8%増)となりました。

(販売管理費及び営業利益)

 当事業年度の販売費及び一般管理費は、835,499千円(前年同期比35.9%増)となりました。これは主に給料手当の増加によるものであります。この結果、営業利益は27,214千円(前年同期は94,526千円の損失)となりました。

(営業外損益及び経常利益)

 当事業年度において、営業外収益が1,409千円、営業外費用が1,988千円発生しております。この結果、経常利益は26,635千円(前年同期は95,464千円の損失)となりました。

(特別損益、法人税等及び当期純利益)

 当事業年度における、特別利益及び特別損失の発生はありませんでした。法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額を合算した法人税等は△325千円となりました。この結果、当期純利益は26,960千円(前年同期は93,744千円の損失)となりました。

 

第7期中間会計期間(自 2024年4月1日 至 2024年9月30日)

(売上高)

 当中間会計期間の売上高は679,242千円となりました。これは主に、リファラル採用支援ツール「MyRefer」、採用MAツール「MyTalent」、採用ブランディング支援ツール「MyBrand」のクロスセル・アップセル機会が創出できたことによるものであります。

(売上原価、売上総利益)

 当中間会計期間の売上原価は、116,904千円となりました。これは主にシステム運用に掛かる労務費及び業務委託費が増加したことによります。この結果、売上総利益は562,338千円となりました。

(販売管理費及び営業利益)

 当中間会計期間の販売費及び一般管理費は、423,544千円となりました。これは主に給料手当の増加によるものであります。この結果、営業利益は138,793千円となりました。

(営業外損益及び経常利益)

 当中間会計期間において、営業外収益が547千円、営業外費用が598千円発生しております。この結果、経常利益は138,742千円となりました。

(特別損益、法人税等及び当期純利益)

 当中間会計期間における、特別利益及び特別損失の発生はありませんでした。法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額を合算した法人税等は272千円となりました。この結果、中間純利益は138,470千円となりました。

 

第7期第3四半期累計期間(自 2024年4月1日 至 2024年12月31日)

 (売上高)

 当第3四半期累計期間の売上高は1,043,235千円となりました。これは主に、リファラル採用支援ツール「MyRefer」、採用MAツール「MyTalent」、採用ブランディング支援ツール「MyBrand」のクロスセル・アップセル機会が創出できたことによるものであります。

(売上原価、売上総利益)

 当第3四半期累計期間の売上原価は、178,227千円となりました。これは主にシステム運用に掛かる労務費及び業務委託費が増加したことによります。この結果、売上総利益は865,007千円となりました。

(販売管理費及び営業利益)

 当第3四半期累計期間の販売費及び一般管理費は、653,466千円となりました。これは主に賞与の支給に伴う増加によるものであります。この結果、営業利益は211,541千円となりました。

(営業外損益及び経常利益)

 当第3四半期累計期間において、営業外収益が775千円、営業外費用が2,739千円発生しております。この結果、経常利益は209,577千円となりました。

(特別損益、法人税等及び四半期純利益)

 当第3四半期累計期間における、特別利益及び特別損失の発生はありませんでした。法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額を合算した法人税等は404千円となりました。この結果、四半期純利益は209,172千円となりました。

 

③ 財政状態の状況の分析・検討内容

 財政状態につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

④ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社は、事業上必要な資金を手許資金で賄う方針でありますが、事業収益から得られる資金だけでなく、過去における増資資金及び株式公開における調達資金で賄う予定であります。資金の流動性については、資産効率を考慮しながら、現金及び現金同等物において確保を図っております。資金需要としては、企業価値を増加させるために、主に人材採用、継続した研究開発や必要な設備投資等を予定しております。

 キャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

⑤ 経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は経営成績を把握することを目的として、売上高、MyシリーズMRRを含むサブスクリプション売上高比率、売上高総利益率、営業利益率を重要な客観的な指標と捉えております。

 また、2025年3月第3四半期における当社売上高の94.7%がサブスクリプション売上高であるため、経営上の目標の達成状況を判断するための指標として、ARR(Annual Recurring Revenue)、課金利用社数、ARPA(Myシリーズ1アカウント当たりの月額サブスクリプション売上高)を重要な経営指標と捉えております。これらの指標につきましては今後も継続的に向上させるよう努めてまいります。

 

(年度ベース)

 

2023年3月期

2024年3月期

2025年3月第3四半期

売上高(百万円)

727

1,062

1,043

売上高総利益率

71.5%

81.2%

82.9%

サブスクリプション売上高比率

95.1%

95.4%

94.7%

ARR(百万円)

795

1,205

1,387

課金利用社数(社)

281

330

353

ARPA(円)

209,163

280,368

309,073

営業利益(百万円)

△94

27

211

営業利益率

△13.0%

2.6%

20.3%

 

 

2023年3月期

1Q

2Q

3Q

4Q

サブスクリプション売上高比率

98.2%

98.3%

96.3%

89.6%

 

 

2024年3月期

1Q

2Q

3Q

4Q

サブスクリプション売上高比率

97.8%

94.4%

96.1%

93.9%

 

 

2025年3月期

1Q

2Q

3Q

サブスクリプション売上高比率

95.4%

95.4%

93.3%

(注1)ARR(Annual Recurring Revenue): 年間経常収益。各期末時点におけるMRR(Monthly Recurring Revenue、対象月の月末時点における管理会計上のサブスクリプション売上高)を12倍して算出。

(注2)課金利用社数:Myシリーズを課金利用していただいている社数。複数アカウントを利用している企業も存在する。

(注3)ARPA:Myシリーズをご利用いただいている1社当たりの月額サブスクリプション売上高。2025年3月第3四半期のARPAは前年比116%。

(注4)サブスクリプション売上高比率:当該期間におけるサブスクリプション売上高累計額の売上高合計に占める比率。例えば、2024年3月期のサブスクリプション売上高比率95.4%は、2023年4月~2024年3月の累計額に基づいて算出され、また2024年3月期第4四半期のサブスクリプション売上高比率93.9%は、2024年1月~2024年3月の累計額に基づいて算出。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

 

6【研究開発活動】

第6期事業年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)

 当社は、さらなるサービス拡充のために、MyBrandのプロダクト開発を行いました。

 当事業年度における研究開発費の総額は31,231千円であります。

 なお、当社は採用マーケティング事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

第7期中間会計期間(自 2024年4月1日 至 2024年9月30日)

 中間会計期間における研究開発費の総額は3,695千円であります。

   なお、当中間会計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

第7期第3四半期累計期間(自 2024年4月1日 至 2024年12月31日)

 当社は、AI機能の拡充等のために、「Myシリーズ」のプロダクト開発を行いました。

 当第3四半期累計期間における研究開発費の総額は3,792千円であります。

 なお、当社は採用マーケティング事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。