第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)経営方針

 現在、あらゆるモノがインターネットにつながるIoT(Internet of Things)の活用が世界的に加速していると認識しております。IoTデバイスの普及により、あらゆるモノがインターネットに接続され、データをリアルタイムで収集・分析することが可能となり、多岐にわたる分野でデジタルトランスフォーメーション(DX)が進展していくことで、リアルタイムでのデータ通信や、大量のデータを活用したデータ分析を行うための通信インフラの重要性は益々高まっていくと推察されます。一方で、IoTサービスを運営するためには端末と通信手段の確保、データの収集と利活用の仕組みを構築するだけではなく、ユーザーへの連絡手段の確保や料金請求、提供する端末の個別設定や配送と回収など、様々なビジネス機能も用意する必要があります。これらのビジネス機能を用意することはIoTサービスに関する知見や、技術力を必要とするため、IoTサービス導入の課題となっていると考えております。

 また、MVNO市場においては、非通信事業者による参入がみられており、独自プランの設計、配送、キッティング(注)など、事業の立ち上げから運用まで幅広いサポートやコンサルティングが必要とされるケースが増加していると認識しております。

当社は、イノベーション創出を目指す顧客企業の多様なニーズに応える高品質で信頼性の高いサービスを提供することで、「世界を変える、そのイノベーションのそばに。」のVISION実現を目指します。

 

(注)通信端末にSIMカードなどを挿入した状態で出荷することで、利用者がデバイス到着後にすぐに使用可能な状態にすること。

 

(2)経営戦略等

 当社では、モバイルIoT支援事業という単一セグメントのもと、IoTサービス事業者及びDXを推進する企業向けにIoT/DXプラットフォーム『MEEQ』を提供する「IoT/DXプラットフォームサービス」、及びMVNE事業者として、多くのMVNO事業者にネットワーク及び業務システム、業務支援等を提供する「MVNEサービス」を展開しております。

 「IoT/DXプラットフォームサービス」に関しては、現在の主力商品である月額143円(税込)から利用可能なIoT向け通信「MEEQ SIM」だけでなく、海外約180の国・地域で利用できる「MEEQグローバルSIM」、システム開発なくIoTデータを収集・処理する「MEEQデータプラットフォーム」、収集したデータをさまざまに活用できる「MEEQ AI」等の周辺領域の展開を進めております。

 

0102010_001.png

 

 「MVNEサービス」に関しては、経済圏を保有する各種企業へのアプローチを強化していくと共に、幅広いプランの作成や事業支援分野の拡大を進めております。

 当社は、「IoT/DXプラットフォームサービス」及び「MVNEサービス」の拡大に向けて、大口顧客の獲得による契約回線数の拡大、帯域の有効活用の推進による実質売上総利益率(注)の高水準維持、ビジネスサポートプラットフォームによるIoTユーザーのエントリーハードル引下げを基本的な戦略としております。

(注) 実質売上総利益率は、売上総利益を、売上高からネットワーク回線費を差し引いて算出された数値で除した数値であります。ネットワーク回線費の単価下落の影響を捨象して当社の利益率を図る指標として、適切と考えております。

0102010_002.png

 

    ①大口顧客の獲得による契約回線数の拡大

リカーリングビジネスの根幹を担う契約回線数の拡大は最優先事項と位置づけております。「IoT/DXプラットフォームサービス」においては、プラットフォームを用いたプル型営業や企業アライアンス活用を通じ、効率的な回線獲得に取り組んでまいります。「MVNEサービス」では、顧客基盤を持ち自社事業とモバイルサービスの連携を望む非通信事業者の取込みに取り組んでまいります。

0102010_003.png0102010_004.png

 

 

    ②帯域の有効活用の推進による実質売上総利益率の高水準維持

当社は、契約回線数拡大を進める中でも、高水準の実質売上総利益率を維持してまいりました。高水準の実質売上総利益率は、「IoT/DXプラットフォームサービス」「MVNEサービス」の両サービスを同時展開することによる帯域の有効活用により実現しており、当社ならではの強みと考えております。今後もさらに帯域有効活用を推進し、高水準の実質売上総利益率の確保を目指してまいります。

0102010_005.png

 

    ③IoTビジネスへのエントリーハードル引下げ

「MVNEサービス」で培ったオペレーション構築力やキャリアとの交渉力を活かして、「IoT/DXプラットフォームサービス」の顧客が共通的に抱える課題のソリューションとなるビジネスサポートを開発し、プラットフォーム上で提供してまいります。サービス開発にあたっては、様々な業種の企業とのアライアンス契約を足掛かりに、業界特有の垂直的なソリューションの開発、提供にも取り組んでまいります。

0102010_006.png

 

0102010_007.png

④アライアンスを通じたIoT周辺領域の拡大

 多様な産業領域の企業とアライアンスを組むことで、業界に特化した知見の獲得や専用的なサービスの開発と提供が可能になります。各パートナー企業との取組みは同産業内に展開し、将来的には産業を横断してより広範な企業に提供することを目指しております。

0102010_008.png

 

(3)経営環境

 IT専門調査会社であるIDC Japan株式会社が、2024年10月に発表した国内IoT(Internet of Things)市場における産業分野別/テクノロジー別の市場予測によると、国内IoT市場におけるユーザー支出額について、2023年の実績は6兆9,189億円であり、その後、2023年~2028年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)8.0%で成長し、2028年には10兆1,653億円に達するとされ、引き続き、高い成長率を示すと予測されています。

 

0102010_009.png

 

 当社のモバイルIoT支援事業がターゲットとするIoT市場やMVNO市場については、引き続き、拡大傾向にあり、今後も当社のモバイル通信へのニーズが高まることが見込まれます。また、IoT市場においては、モバイル通信以外の領域も拡大しており、当社が強化を進めているIoT周辺領域サービスへのニーズも高まることが見込まれます。

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、企業価値の継続的な向上を図る客観的な指標として、契約回線数や実質売上総利益率を重視しております。契約回線数は、売上を拡大させるための基礎となる指標であり、また、実質売上総利益率は当社の効率的な事業運営の指標となると考えております。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 世界的なインフレの進行や急激な円安、国際的な対立や紛争の影響によるエネルギーの供給不足や原材料の高騰など、不透明な状況が継続しております。そのような中、インターネットはあらゆる産業及び局面において、改めて重要なインフラであることが再認識されており、5Gのサービスの普及やWeb3、AIといった技術の普及など、大きな構造の変化も進んでおります。

 

(インターネット接続サービスにおける市場環境への対応)

 スマートフォンやタブレット端末などの高機能モバイル通信機器の普及によるモバイル通信の著しい利便性の向上により、インターネットへの接続がこれまでの固定回線によるものからモバイルデータ通信へと加速度的にシフトしております。ブロードバンドの固定回線は一定の普及により増加率は鈍化している一方で、モバイル通信事業者によるサービスの多様化や、事業者間の競争は激化しております。

 当社では、このような環境の変化を機敏に捉え、ユーザーのニーズを見据えた新たなサービスを開発し、いち早く提供を行うなど、必要と考えられる施策を推進しておりますが、今後も5G、6Gといったモバイル通信網の技術革新により、インターネット接続サービスの市場環境は影響を受ける可能性があるため、これらの変化を見据えた事業開発を行うとともに、市場環境の変化にスピーディに対応するためにこれまでの実績や経験に裏付けされた安定したサービスの開発及び適切な戦略投資が重要であると認識しております。

 

(IoT/AI市場への対応)

 インターネットの普及により、通信分野では機器と機器がデータをやりとりするIoTが急激に拡大しています。また、生成AIの普及・拡大に見られるように、AI関連技術は急速に発達しており、通信とAI関連技術が連携することにより、日々新たなビジネス手法が生まれています。

 当社では、これらの新たな市場において重要な役割を担うべく、国内外を問わず多くのパートナー企業との連携を充実させるように努めております。

 

(接続料動向への対応)

 「令和3年度以降適用されるデータ接続料について」(総務省、2021年4月13日)や「モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けたアクション・プラン」(総務省、2020年10月)に見られるような「データ接続料の適正化に向けた取組」により、各通信キャリアからのモバイル通信調達に係る調達単価が下落しております。一方で、同時に、当社の顧客に対するモバイル通信提供に係る平均販売単価も下落しております。

 当社では、「IoT/DXプラットフォームサービス」、及び「MVNEサービス」のモバイル通信提供以外の各サービスをさらに拡充すること等によって、モバイル通信提供に係る販売単価下落への対応を図っております。

 

(自社サービスの開発強化)

 IoT領域における幅広いニーズに迅速に対応していくため、IoT周辺領域サービスの強化を進めております。すでに海外約180の国・地域で利用できる「MEEQグローバルSIM」、システム開発なくIoTデータを収集・処理する「MEEQデータプラットフォーム」、収集したデータをさまざまに活用できる「MEEQ AI」を展開しており、引き続きニーズに合わせたサービス強化を進めてまいります。

 

(財務上の課題)

 現状においては安定的に利益を計上しており、事業継続に支障を来たすような財務上の課題は認識しておりません。資金需要が生じた場合は自己資金を充当する方針でおりますが、金融機関からの借入やエクイティファイナンスも選択肢として対応してまいります。また、収益基盤の維持・拡大を図るためには、手許資金の流動性確保や金融機関との良好な取引関係が重要であると考えております。費用対効果の検討による各種コストの見直しを継続的に行うことで、さらなる財務基盤の強化を図ってまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社は、“世界を変える、そのイノベーションのそばに。”をVISIONに掲げ、持続可能な社会の実現に向けて、事業を通じた環境・社会課題の解決と社会の発展に貢献することで、持続的成長と企業価値向上の実現を目指しております。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

(1)ガバナンス

 当社は、中長期的な企業の価値向上を目指した経営を推進する基盤として、コーポレート・ガバナンス体制の構築とさらなる高度化に取り組んでおります。また、企業倫理・コンプライアンス・腐敗防止の徹底、プライバシー保護、情報セキュリティ等においてもリスク・コンプライアンス委員会を設置・運用し、全社的に継続的な活動のリスク及び機会の改善、強化に取り組んでまいります。

 

(2)戦略

 当社は、持続的な成長や事業価値の向上を実現していく上で、人材は最も重要な経営資源であると考えております。毎年積極的な採用を行い、多様性に富んだ優秀な人材を採用することで、事業の成長に取り組める人材の確保と継続的な雇用の創出に努めております。

 従業員の働き方については、ライフステージの変化、多様化する価値観に合わせて、生産性高く働ける仕組みを整備しており、すべての人材が活躍できる環境を整えております。また働き方に合わせて、全社総会などの社内行事をハイブリッドで実施し、柔軟な働き方の提供と帰属意識醸成の両立を実現しております。

 

(3)リスク管理

 当社は、経営戦略と連動して、重要なリスク及び機会への対応力を高めるために必要な措置を講じております。当社では事業運営に関し、顧客の重要な情報を保有しております。リスクの中でも、特に情報セキュリティリスクを重視しており、定期的にリスクの分析・評価及びモニタリングを行うことで、リスクの低減を図っております。また、戦略的なリスクマネジメントを推進することで、企業価値を高めることに寄与しているものと考えております。

 

(4)指標及び目標

 当社はサステナビリティ関連のリスク及び機会に対し、上記のようなガバナンス、戦略、リスク管理をとっておりますが、現時点では長期的に評価・管理する指標及び目標の設定は行っておりません。今後、長期的な評価・管理について検討を進める中で、必要がある場合には設定を行います。

 

3【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

(1)事業環境に関するリスク

① 回線・帯域・設備の調達及びコストについて

[発生可能性:小、影響度:大、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 インターネット上では帯域を多く利用するリッチコンテンツ(注)が急激に増加しており、利用者一人あたりのデータ利用量は急激に増えております。また、リモートワーク・Web会議等の利用が定着したことで、家庭での通信に対する需要が増えたことにより、インターネット業界全体で、帯域の不足が生じる可能性があると考えております。当社では、回線・帯域調達の効率化やデータの最適化を含めた高効率のネットワーク運用を行うなどの努力を行い、また、長年培ってきた技術力を最大限に活かし、これらの環境に対応すべく努めております。

 しかしながら、巨額の設備投資が必要となるような技術革新等が進んだ場合には、当社の事業運営及び拡大が制約され、調達の遅れやコスト増加により、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

(注) リッチコンテンツとは、音声や音楽、動画、アニメーションなど、動的な要素を含むコンテンツの総称であります。テキストや静止画に比べて表現力が高く、多くの情報を盛り込めることから、リッチ(=贅沢)コンテンツと呼ばれています。

 

② 特定の仕入先への依存について

[発生可能性:小、影響度:大、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 当社は、モバイルIoT支援事業を運営するにあたり、複数の携帯電話事業者からモバイル通信網を調達しています。また、ネットワークに使用するルータ等の機器及びサービス提供や事業運営に利用するソフトウエアのいくつかの製品を購入先である第三者に依存しています。特に、モバイル通信の仕入のうち、株式会社NTTドコモからの仕入が約70%(2025年3月期実績)となっております。当社は、これら調達先と良好な関係を維持するとともに、事業拡大や効率的なネットワーク運営等を踏まえた調達先の拡大等、通信回線の安定調達を推進していく方針であります。

 しかしながら、何らかの要因により通信回線、機器及びソフトウエアの調達に支障が生じた場合は当社の事業運営に影響を与える可能性があるほか、将来において回線調達コストの上昇が生じた場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

③ 競合について

[発生可能性:中、影響度:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 当社の事業は、通信インフラ及び技術力を利用してサービスを提供することを特徴としており、事業開始時に相応の設備投資を必要とするため、競合は存在するものの、比較的参入障壁が高い事業に属していると認識しております。

 しかしながら、今後登場する可能性がある他社の競合サービスに対して技術的、価格的に優位性を保持しうる保証はありません。

 当社の事業であるモバイルIoT支援事業においては、商品及びサービスの差別化を図るべく諸々の施策を展開しておりますが、競争の激化やその対策のためのコスト負担等が大幅に増えた場合には、収益性や販売力が低下し、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

④ 法的規制について

[発生可能性:小、影響度:大、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 当社の主要な事業活動の前提となる事項について、当社は、顧客に必要な通信回線を提供するため、総務省に対し電気通信事業法に基づく届出電気通信事業者(旧一般第二種電気通信事業者)の届出(届出番号 A-31-17043)を行い、他人の通信の媒介を行っております。これにより当社には、通信の秘密の確保等の義務が課せられております。当該届出には有効期間の定めはありませんが、通信の秘密の確保やその他業務運営が適切ではないと判断された場合等に、総務大臣より業務方法の改善やその他の措置が実施されることとなります。現在、電気通信事業者の届出の継続に支障をきたす要因は発生していませんが、届出が取り消された場合、当社の経営成績及び財政状況に影響を与える可能性があります。

 また、現在のところ、電気通信事業に係る規制の強化や大幅な変更等が行われるという認識はありませんが、社会情勢の変化等により規制の強化や大幅な変更等が行われた場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

⑤ 技術革新について

[発生可能性:小、影響度:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 当社は、通信インフラ等に関連する専門の知識を持った従業員を採用し、通信インフラ技術への対応に努めております。

 しかしながら、これらの技術は日々変化しており、何らかの理由で当社において対応が困難であるほどの技術の変化や、巨額な設備投資を必要とする技術革新が起こった場合、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑥ 特定の取引先に対する売上比率について

[発生可能性:小、影響度:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 2025年3月期における当社の売上高に占める楽天モバイル株式会社及びソフトバンク株式会社(特定顧客)の割合は合計15.2%でした。特定顧客のキャリア化に伴う新規取引の減少と、株式会社カブ&ピースが売上高の10.9%を占めるなど、新規顧客の獲得が進んだことにより、特定顧客への売上依存度が大きく低減いたしました。一方で、現状では特定の顧客企業への依存が一定程度継続しているため、売上依存度のさらなる低減と事業基盤の強化を目指し、今後も新規顧客の獲得に注力してまいります。

 しかしながら、当面は特定の顧客企業の割合は高い状態が継続するものと考えられ、特定の顧客企業における事業サービス動向に影響を受けるほか、事業戦略や取引方針等に変更が生じた場合は、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 なお、ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社に対する売上比率については、(4)①「ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社に対する売上比率について」をご参照ください。

 

(2)システムに関するリスク

① システム障害について

[発生可能性:中、影響度:大、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 当社の利用するネットワーク回線及びデータセンターは、迂回経路を確保した冗長構成、大規模地震に耐えられる耐震構造、消火設備、停電時に備えたバックアップ電源等、24時間365日安定した運用ができるよう最大限の業務継続対策が講じられております。

 しかしながら、サイバーアタック、システム又はハードウェアの不具合、電力会社の電力不足や大規模停電、想定したレベルをはるかに超える地震、台風、洪水等の自然災害、戦争、テロ、事故等、予測不可能な事態によってシステム障害が発生した場合には、当社の信用が棄損し、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

② ネットワーク回線、データセンターの賃貸借契約について

[発生可能性:小、影響度:大、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 当社は、ネットワーク回線及びデータセンターの設備の一部を自社で保有することなく、他社のネットワーク回線及び施設内に、自社の仕様に合わせた機器を設置し、顧客にサービスを提供する形態により事業展開しております。当社としては、ネットワーク回線及びデータセンターの設備所有者との間でサービス提供契約及び賃貸借契約を締結し、契約期間満了後も賃貸借契約の継続を予定しております。

 しかしながら、その可能性は低いと判断しておりますが、所有者が何らかの理由で、契約の継続を全部もしくは一部拒絶した場合又は契約内容の変更等を求めてきた場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

③ クラウドサービス上におけるサービス提供について

[発生可能性:小、影響度:大、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 当社は、外部のクラウドサービス上にシステムを構築した上で各種サービスを提供しており、事業運営においてはクラウドサービスの安定稼働が重要な要素となります。当社は、クラウドサービスの安定稼働にかかる常時監視、障害発生又は予兆検知時のアラート通知等の対応を実施しております。また、通信サービス自体は外部クラウドサービスに依存せずに提供しており、クラウドサービスに障害が生じた場合でも、通信サービスの提供が途絶えることはありません。

 しかしながら、システムエラー、人為的な破壊行為、自然災害その他の想定外の事象発生によりクラウドサーバーの停止、コンピュータ・ウイルス、クラッカーの侵入又はその他不具合等によりシステム障害が生じた場合、又は外部クラウドサービスの継続利用に支障が生じた場合には、サービス提供に支障が生じることにより顧客からの損害賠償やその対応にかかる追加費用負担等が発生する可能性があるほか、当社のサービスやブランドに対する信頼性毀損等により、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

(3)事業運営に関するリスク

① 資金調達について

[発生可能性:中、影響度:大、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 当社では、ネットワーク並びにサーバー設備、ソフトウエア、システム等の開発及び調達等に投資し、当社のサービスの更なる差別化を推進して事業拡大を図る計画であります。自己資金を厚く保有することでリスク軽減を図っているものの、計画を実行する上で必要な投資資金の確保が困難な場合、事業機会を逸し、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

② 人材の採用と育成について

[発生可能性:中、影響度:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 今後の事業拡大を図る中で、優秀な人材の確保及び育成は不可欠であります。現在も採用による人材の獲得に加え、入社後の社内における研修、各種勉強会の開催、福利厚生の充実等、社員の育成に対応した各種施策を推進しております。

 しかしながら、新規の採用や社内における人材の育成が計画どおりに進まず、適正な人員配置が困難になった場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

③ 人材の流出について

[発生可能性:中、影響度:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 持続的な成長や事業価値の向上を実現していく上で、人材は最も重要な経営資源であると考えております。従って、特に技術者の流出はサービス提供の生産性維持のリスクであります。日々のコミュニケーション強化の一層の充実に加えて、競合他社との比較で遜色のない処遇を設計しておりますが、人材が流出した場合には、サービス提供の生産性の低下により、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

④ 小規模組織であることについて

[発生可能性:中、影響度:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 当社は小規模な組織であり、内部管理や業務執行についてもそれに応じた体制となっております。当社では、今後の事業拡大及び業務内容の多様化に対応するため、人員の増強及び内部管理体制や業務執行体制の一層の充実を図っていく方針でありますが、これらの施策が適時適切に進行しなかった場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑤ 内部管理体制について

[発生可能性:小、影響度:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 当社は、企業価値の持続的な向上を図るためにはコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であるとの認識のもと、業務の適正及び財務報告の信頼性の確保、さらに健全な倫理観に基づく法令遵守の徹底が必要であると認識しております。そのためにも、当社では内部管理体制の充実に努めております。

 しかしながら、今後の事業の急速な拡大等により、十分な内部管理体制の構築が追いつかない状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑥ コンプライアンス体制について

[発生可能性:小、影響度:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 当社は、今後企業価値を高めていくためにはコンプライアンス体制が有効に機能することが重要であると考えております。そのため、コンプライアンスに関する社内規程を策定し、全常勤役員及び全従業員を対象として社内研修を実施し、周知徹底を図っております。

 しかしながら、これらの取組みにもかかわらずコンプライアンス上のリスクを完全に解消することは困難であり、今後の当社の事業運営に関して法令等に抵触する事態が発生した場合、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑦ 第三者との係争について

[発生可能性:小、影響度:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 当社は、法令遵守を基本としたコンプライアンス活動の推進により、役員、従業員の法令違反等の低減努力を実施しております。

 しかしながら、当社及び役員、従業員の法令違反等の有無に関わらず、取引先、従業員その他第三者との予期せぬトラブル、訴訟等が発生する可能性があります。これらのトラブル、訴訟が発生した場合は、臨時的な費用の発生やブランドイメージの悪化等により、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑧ 情報セキュリティについて

[発生可能性:小、影響度:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 当社では、顧客から提供されるデータの管理においては、社内教育の実践、各種データのアクセス権限による制約、書面情報の施錠管理、オフィスの入退室管理等、対策を講じて実践することで社内での機密性確保並びに漏洩防止を図っておりますが、万が一これら機密情報の漏洩が生じた場合、当社への信頼が揺らぎ、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑨ 知的財産権について

[発生可能性:小、影響度:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 当社では第三者の知的財産権を侵害する事態を、調査等を通じ可能な限り回避するべく努力しております。

 しかしながら、特許権のすべてを検証し、さらに将来的にどのような特許権が成立するかを正確に把握することは困難であります。このため、当社の事業に現在利用されている技術と抵触関係をなす特許権などの知的財産権を第三者が既に取得している可能性や将来的に当社の事業における必須技術と抵触関係をなす特許権などの知的財産権が第三者に取得される可能性を完全に否定することはできません。また、そのような可能性が現実化した場合には、当該知的財産権に関する侵害訴訟の結果として当社に損害賠償義務が課せられ、また、当社の事業の全部あるいは一部が差し止められ、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑩ 信用に関するリスクについて

[発生可能性:中、影響度:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 当社では、取引先との契約において「取引管理規程」を定め、取引等の可否の判断を行い、顧客ごとに与信限度額を設定して与信管理を実施しておりますが、取引先が経営状況の急激な変化等により資金繰りの悪化や倒産に至り、万一高額な貸倒損失が発生した場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(4)ソニーグループとの関係性に関するリスク

 ソニーグループ株式会社は、当事業年度末日における当社の発行済株式総数の36.4%(間接保有分を含む)を保有しております。

① ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社に対する売上比率について

[発生可能性:小、影響度:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社に対する売上高は、全体の32.7%(2025年3月期実績)となっております。同社以外の販売先の開拓に努めるとともに、同社に対して引き続き高品質なサービスの提供に努めてまいりますが、MVNO市場の競争激化やニーズの変化等により、同社にとってより最適なMVNE事業者が現れた場合には、販売の機会を逸失する事態が発生し、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 なお、その他の関係会社である同社との取引については、一般株主との間に利益相反リスクが存在しますが、リスク顕在化防止策として、独立社外取締役で構成される関連当事者取引委員会を設置しております。関連当事者取引委員会において関連会社等との取引の合理性と取引条件の妥当性を審議し、取締役会に答申することにより、公平性・透明性・客観性を強化し、一般株主の利益に十分配慮した対応を実施しております。

 

② ソニーグループにおける当社の位置づけについて

[発生可能性:小、影響度:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 当社は、主にソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社との間で当社サービスであるMVNEサービスの提供取引等を行っていますが、ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社がその他の関係会社であることによる事業上の制約はなく、当社の経営方針、事業展開及び個々の取引については当社独自の意思決定によっており、一定の独立性が確保されていると認識しております。

 しかしながら、当社の経営方針についての考え方や利害関係がソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社等との間で常に一致するとの保証はなく、ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社による当社の議決権行使及び保有株式の処分の状況等により、当社の事業運営及び当社普通株式の需給バランスに影響を与える可能性があります。

 また、当社はソニーグループ株式会社を中心とした企業集団に属しております。ソニーグループ株式会社の完全子会社であるソニー株式会社の完全子会社(ソニーグループ株式会社の完全孫会社)として当社株式を直接保有するその他の関係会社であるソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社(当事業年度末における当社の発行済株式総数の25.2%を保有)は「エンタテインメント・テクノロジー&サービス」セグメント(当事業年度末時点)に区分され、当社はその中においてMVNE及びIoTプラットフォーム事業を展開する企業として位置付けられております。

 ソニーグループ内においては、MVNE及びIoTプラットフォーム事業を展開する企業は他には存在しておりません。このことから、当社事業に係るソニーグループ内における競合は生じておらず、また現時点では今後発生する予定はないものと認識しておりますが、将来的にソニーグループの経営方針に変更が生じた場合等には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

③ ソニーグループとの人的関係について

[発生可能性:小、影響度:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 本書提出日現在、当社取締役5名のうち、その他の関係会社であるソニーグループ株式会社の業務執行者1名を選任しています。兼任している役員は以下のとおりであります。

当社における役職

氏名

兼務先における役職

取締役

渡辺 潤

ソニーグループ株式会社

事業開発プラットフォーム先端インフラ事業探索部門 部門長

 なお、現在、当社においてソニーグループ各社よりの出向などの受入は行っておりません。また、取締役小林泰平は、ソニーグループ株式会社の子会社であるSony Block Solutions Singapore Pte. Ltd.のDirectorを兼務しております。

 

(5)その他のリスク

① 自然災害・事故等について

[発生可能性:中、影響度:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 当社では、有事に備えた危機管理体制の整備に努め対策を講じておりますが、台風、地震、津波等の自然災害及び新型インフルエンザ等の感染症の流行が想定を大きく上回る規模で発生した場合には、当社又は当社の取引先の事業活動に影響を及ぼし、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 当社では、新型コロナウイルス感染症の流行以降、リモートワークを導入する等、柔軟に事業を継続できる体制の整備を図っております。

 

② 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

[発生可能性:大、影響度:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 当社では、役員及び従業員に対するインセンティブを目的とし、新株予約権を付与しており、当事業年度末現在における発行済株式総数に対する潜在株式数の割合は17.7%となっております。これらの新株予約権が行使された場合には、当社の1株当たりの株式価値が希薄化し、当社の株価に影響を与える可能性があります。

 なお、新株予約権の内容は、「第一部 企業情報 第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (2)新株予約権等の状況」に記載のとおりであります。

 

③ 配当政策について

[発生可能性:中、影響度:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 当社は、株主に対する利益還元を経営の重要課題の一つとして位置付けておりますが、財務体質の強化に加えて事業拡大のための内部留保の充実等を図り、収益基盤の多様化や収益力強化のための投資に充当することが株主に対する最大の利益還元につながるものと考えております。そのため当社は創業以来、配当を実施しておりません。

 内部留保資金については、財務体質の強化と人員の拡充・育成をはじめとした収益基盤の多様化や収益力強化のための設備投資に活用する方針であります。

 将来的には、収益力の強化や事業基盤の整備を実施しつつ、内部留保の充実状況及び企業を取り巻く事業環境を勘案した上で、株主に対して安定的かつ継続的な利益還元を実施する方針でありますが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。

 

④ 調達資金の使途について

[発生可能性:小、影響度:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 株式上場時における公募増資による調達資金の使途については、事業拡大のための人件費及び採用費、ネットワーク増強費、及びIoT/DXプラットフォームサービス及びMVNEサービス拡充のための開発費に充当する予定であります。

 しかしながら、当初の計画に沿って資金を使用した場合においても、想定どおりの投資効果を得られない可能性があります。また、市場環境の変化が激しく、計画の変更を迫られ調達資金を上記以外の目的で使用する可能性があり、その場合は速やかに資金使途の変更について開示を行う予定であります。

 

⑤ 当社株式の流動性について

[発生可能性:小、影響度:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし]

 当社の株式会社東京証券取引所の定める流通株式比率は当事業年度末日において37.2%となっております。今後は、既存株主への一部売出しの要請、新株予約権の行使による流通株式数の増加分を勘案し、これらの組み合わせにより、流動性の向上を図っていく方針ではありますが、何らかの事情により上場時よりも流動性が低下する場合には、当社株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当社株式の需給関係にも悪影響を与える可能性があります。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。なお、当社の事業はモバイルIoT支援事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

① 財政状態の状況

(資産)

 当事業年度末における流動資産は5,931,616千円となり、前事業年度末に比べ、2,375,222千円増加いたしました。これは主に現金及び預金が1,771,836千円、SIMの調達による前払費用が368,326千円増加したことによるものであります。固定資産は、843,302千円となり、前事業年度末に比べ、123,905千円増加いたしました。これは主にソフトウエア開発に伴い無形固定資産が153,955千円増加したことによるものであります。

 この結果、総資産は6,774,918千円となり、前事業年度末に比べ、2,499,127千円増加いたしました。

 

(負債)

 当事業年度末における流動負債は1,652,006千円となり、前事業年度末に比べ、597,185千円増加いたしました。これは主に新規大型顧客等からの初期費用受領に伴い契約負債が235,694千円増加したことによるものであります。固定負債は79,692千円となり、前事業年度末に比べ、21,455千円減少いたしました。これは主に返済によりリース債務が21,513千円減少したことによるものであります。

 この結果、負債は1,731,698千円となり、前事業年度末に比べ、575,730千円増加いたしました。

 

(純資産)

 当事業年度末における純資産は5,043,220千円となり、前事業年度末に比べ、1,923,396千円増加いたしました。これは主に当期純利益の計上により利益剰余金が633,523千円増加、東京証券取引所グロース市場への上場に伴う新株発行により資本金及び資本剰余金がそれぞれ613,824千円増加したことによるものであります。

 

② 経営成績の状況

 当事業年度の我が国経済におきましては、景気の緩やかな回復傾向が見られた一方で、不安定な国際情勢等による資源価格の高騰、物価上昇や米国第2次トランプ政権の掲げる関税政策等、先行きが不透明な状況が依然として続いております。

 このような状況の下、IoT/DXプラットフォームサービスについては、コロナ禍が収束したことによる家庭用Wi-Fiルータの需要が平常時に戻った影響が徐々に限定的になりながらも続いた一方で、IoT市場の拡大が続く中で、引き続きプラットフォームを用いたプル型営業やアライアンスを通じ、効率的に契約回線の獲得を進めました。MVNEサービスについては、特定顧客のキャリア化に伴う特定顧客の契約回線数減少の影響が徐々に限定的になりながらも続いた一方で、引き続き顧客基盤を持ち自社事業とモバイルサービスの連携を望む非通信事業者の取込みに注力し、当事業年度においては新規大型顧客を獲得いたしました。

 以上の結果、当事業年度の経営成績は、売上高5,974,401千円(前事業年度比111.1%)、営業利益929,644千円(前事業年度比118.4%)、経常利益910,048千円(前事業年度比116.0%)、当期純利益633,523千円(前事業年度比116.7%)となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、営業収入の増加、株式の発行等により、前事業年度末と比較して1,771,836千円増加し、当事業年度末には4,032,062千円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において営業活動の結果獲得した資金は897,856千円(前事業年度は523,431千円の獲得)となりました。その主な要因は、税引前当期純利益の計上910,048千円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において投資活動の結果支出した資金は317,847千円(前事業年度は248,039千円の支出)となりました。その主な要因は、無形固定資産の取得による支出219,233千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において財務活動の結果獲得した資金は1,191,827千円(前事業年度は22,794千円の支出)となりました。その主な要因は、株式の発行による収入1,227,648千円によるものであります。

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社で行う事業は、提供するサービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

b.受注実績

 当社で行う事業は、提供するサービスの性質上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

c.販売実績

 当事業年度の販売実績を示すと以下のとおりであります。なお、当社はモバイルIoT支援事業の単一セグメントであるため、セグメント別の販売実績の記載は省略しております。

サービスの名称

当事業年度

(自 2024年4月1日

 至 2025年3月31日)

金額(千円)

前期比(%)

IoT/DXプラットフォームサービス

1,916,554

108.7

MVNEサービス

4,057,846

112.3

合計

5,974,401

111.1

 (注) 最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

当事業年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

ソニーネットワークコミュニケーションズ

株式会社

1,878,842

35.0

1,950,410

32.7

株式会社カブ&ピース

648,741

10.9

ソフトバンク株式会社

778,780

14.5

587,407

9.8

楽天モバイル株式会社

566,145

10.5

318,745

5.3

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

 その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。

 当社の財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。

 

② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(売上高・営業利益)

 当事業年度における売上高は、IoT/DXプラットフォームサービスについてはコロナ禍が収束したことによる家庭用Wi-Fiルータの需要が平常時に戻った影響を受けつつも、効率的に回線数を獲得いたしました。MVNEサービスについては特定顧客のキャリア化に伴う影響が限定的になりながらも続きましたが、新規大型顧客の獲得により、回線獲得が順調に進捗いたしました。一方で、事業の拡大により、売上原価・販売費及び一般管理費は増加しました。

 その結果、売上高は5,974,401千円(前年同期比11.1%増)、営業利益は929,644千円(同18.4%増)となりました。

 

(経常利益)

 当事業年度における経常利益は910,048千円(前年同期比16.0%増)となりました。

 

(当期純利益)

 当事業年度における当期純利益は633,523千円(前年同期比16.7%増)となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。運転資金は自己資金のほか、金融機関からの借入、新株の発行等により、最適な方法による資金調達にて対応する予定であります。なお、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は、4,032,062千円となっております。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因

 当社の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

⑤ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、企業価値の継続的な向上を図る客観的な指標として、契約回線数や実質売上総利益率を重視しております。

 契約回線数は、売上を拡大させるための基礎となる指標となると考えております。当事業年度末における契約回線数は86万回線を超え、前事業年度末に比べ約22万回線増加いたしました。特定顧客がMNO化したことによる利用回線数減少の影響があった一方で、IoT/DXプラットフォームサービスについてはモビリティ、スマートシティ、エネルギー・インフラ、農林水産、小売、ヘルスケア等幅広い領域でご利用が広がり、MVNEサービスについては主に大型顧客の新規獲得が奏功し、契約回線数の増加につながっております。

 また、実質売上総利益率は、当社の効率的な事業運営の指標となると考えております。上り回線の使用割合が高いIoT/DXプラットフォームサービスと下り回線の使用割合が高いMVNEサービスの両サービスを有することを活かした帯域の有効活用等が奏功し、当事業年度の実質売上総利益率は52.1%と良好な水準となっていると、当社としては認識しております。

 

 

5【重要な契約等】

契約会社名

相手先名

契約の名称

契約内容

契約期間

ミーク株式会社

(契約当時名義:ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社)

株式会社NTTドコモ

第3種卸Xiサービスの提供に関する契約書

第3種卸Xi契約の提供条件、各種事務処理及び運用方法、その他第3種卸Xiサービスの提供に当たって必要となる事項に関する契約

合意による解除又は2013年3月22日から第3種卸Xiサービスの廃止まで。

ミーク株式会社

(契約当時名義:ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社)

株式会社NTTドコモ

第3種卸Xiサービス(卸Xiユビキタス)の提供に関する契約書

卸Xiユビキタスプランに係るものの提供条件、各種事務処理、運用方法、及びその他卸Xiユビキタスの提供に当たって必要となる事項に関する契約

合意による解除又は2015年3月3日から卸Xiユビキタスの廃止まで。

ミーク株式会社

(契約当時名義:ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社)

株式会社NTTドコモ

第2種卸FOMAサービスの提供に関する契約書

第2種卸FOMA契約の提供条件、各種事務処理、運用方法、及びその他第2種卸FOMAサービスの提供に当たって必要となる事項に関する契約

合意による解除又は2016年10月1日から第2種卸FOMAサービスの廃止まで。

ミーク株式会社

(契約当時名義:ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社)

株式会社NTTドコモ

第2種卸Xiサービスの提供に関する契約書

第2種卸Xi契約の提供条件、各種事務処理、運用方法、及びその他第2種卸Xiサービスの提供に当たって必要となる事項に関する契約

合意による解除又は2016年10月1日から第2種卸Xiサービスの廃止まで。

ミーク株式会社

株式会社NTTドコモ

第2種卸5Gサービスの提供に関する契約書

第2種卸5G契約の提供条件、各種事務処理、運用方法、及びその他第2種卸5Gサービスの提供に当たって必要となる事項に関する契約

合意による解除又は2020年5月28日から第2種卸5Gサービスの廃止まで。

ミーク株式会社

株式会社NTTドコモ

第3種卸5Gサービス(卸タイプ5G)の提供に関する契約書

第3種卸タイプ5Gの提供条件、各種事務処理、運用方法、及びその他第3種卸タイプ5Gの提供に当たって必要となる事項に関する契約

合意による解除又は2020年5月28日から第3種卸タイプ5Gのサービスの廃止まで。

ミーク株式会社

株式会社NTTドコモ

相互接続協定書

電気通信事業法に基づく電気通信設備の相互接続に関する協定

2021年10月4日から。終了期については接続約款による。

ミーク株式会社

(契約当時名義:ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社)

KDDI株式会社

卸電気通信サービス契約書

「MVNO事業に関する基本合意書」及び「MVNO事業に関する基本契約書」に基づきKDDI社がソニーネットワークコミュニケーションズ社に対して電気通信サービスの卸提供を行う際の条件詳細を定めることを目的とした契約

2019年1月15日から。終了期はMVNO事業に関する基本契約書の終了まで。

ミーク株式会社

KDDI株式会社及び沖縄セルラー電話株式会社

相互接続協定書

電気通信事業法に基づく電気通信設備の相互接続に関する協定

2022年4月15日から。終了期については接続約款による。

ミーク株式会社

(契約当時名義:ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社)

ソフトバンク株式会社

基本契約書(卸)

ソフトバンク社がソニーネットワークコミュニケーションズ社に提供するサービスやSIMカード等に関する基本的事項についての契約

2017年6月1日から2018年5月31日まで。但し一方当事者からの変更又は終了の意思表示が無い場合は1年間の自動更新とし、以降も同様。

ミーク株式会社

ソフトバンク株式会社

相互接続協定書

電気通信事業法に基づく電気通信設備の相互接続に関する相互協定

2022年4月20日から。終了期については接続約款による。

 (注) 上記契約の契約会社名及び相手先名は、すべて2025年3月31日現在の商号によります。

また、本書提出日現在、上記契約は有効に更新されています。

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。