本書提出日現在における経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。また、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
当社グループは、屋外広告を専門に取り扱う広告会社として、1991年に創業いたしました。「屋外広告のリーディングカンパニーとして世界を変えるメディアを創造する」という経営理念を、また、その実現のためのビジョンとして『未来を見据えて発想し、理想を現実にする』『常にクライアント目線に立ち"最小の予算で最大の効果を発揮する"提案をする』『変化を歓迎しよう。リスクや失敗を恐れずチャレンジし、成功への糧とする』『高い倫理観を持ち、透明な企業活動を築く』『ダイバーシティの考えに基づき、社員お互いが尊重し目標を達成する』の5つを掲げ、好立地かつ大型な広告媒体開発や、特定エリアでの同時多面展開が可能な広告面のセット商品の開発に努めることで、事業を拡大してまいりました。
当期における我が国の経済は、一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復している状況にあります。先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待されています。ただし、物価上昇の継続が消費者マインドの下振れ等を通じて個人消費に及ぼす影響や、通商政策等アメリカの政策動向による影響等が、我が国の景気を下押しするリスクとなっております。また、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある状況です。
日本国内の広告業界においては、総務省が2025年2月に発表した「サービス産業動向調査」によると、2024年の広告業全体の売上高は前年比で101.3%と、前年をわずかに上回る結果となりました。
また、株式会社電通の「2024年日本の広告費」によると、当社が属する屋外広告市場は2024年に2,889億円となっています。ラグジュアリーブランド、飲料、コンテンツ、人材系を中心に多くの業種で屋外広告が活用され、また、インバウンド需要の高まりにともない、関連業種での広告出稿が目立ちました。その結果、屋外広告市場は、前年に続き拡大しております。なかでも屋外ビジョンは、渋谷、新宿、表参道等都心部で需要が高まり、販売価格の値上げ等もあり成長しております。なお、株式会社帝国データバンクの調査によると、2023年の日本の屋外広告業の市場規模は1,234億円で、前年比106.6%となっております。このような背景の下で、当社が取り扱う日本の屋外広告は、人流の回復にともなう需要の回復が見えてまいりました。
海外の屋外広告市場においては、QYResearchの調査によると、当社が進出を検討しているシンガポール、マレーシア、インドネシア及びタイの2024年の屋外広告市場規模は、それぞれ162百万USドル(前年比98.7%)、160百万USドル(同108.1%)、384百万USドル(同107.3%)、そして396百万USドル(同104.9%)となっております。
日本及びASEANにおいて、屋外広告の需要は今後も緩やかな拡大傾向にあると認識しており、更なる売上拡大を目指して以下の6つの戦略を推進してまいります。
当社では新設の屋外広告媒体について、基本的に短期間で投資回収が見込めるものをターゲットとしています。屋外広告の強みは、認知拡大、ブランディング及び第一想起獲得における高い広告効果にあると言われています。これらの広告効果を最大化すべく、好立地かつ大型(概ね80~100㎡以上)の広告媒体開発や、特定エリアでの同時多面展開が可能な広告面のセット商品の開発に注力しております。広告主の事業拡大・推進に貢献するべく、年間3~5媒体程度の繁華街の大型デジタル媒体開発を目標に、広告効果の高い新規媒体の開発を進めてまいります。
当社は運営する広告媒体稼働率向上のため、営業人員の増強、広告主の多様なニーズに応える放映プランの設計、各種マーケティング施策(展示会出展、ウェビナーの開催、メールマガジンの配信等)、販売難易度が高いロードサイド媒体の専門営業担当者の育成といった施策に取り組んでおります。これからも媒体価値の最大化を図り、媒体稼働率の向上に努めてまいります。
当社は、屋外広告用のクリエイティブ制作や“HIT-movi”(屋外広告に連動させる形でのスマホ位置情報広告配信サービス)に代表されるクロスメディアサービスといった、屋外広告周辺サービスの提供に積極的に取り組んでいます。今後もクリエイティブ領域では、3Dメガネ等を使用せずに肉眼で映像が立体的に見える技術を用いた“肉眼3D”クリエイティブ制作の積極提案を行い、クロスメディア領域では、屋外広告と親和性の高い交通広告媒体の取扱い強化を行う等、屋外広告周辺サービスの充実に努めてまいります。
当社グループは将来的な海外展開、中でもアジア諸国への展開を計画しております。日本の人口は減少傾向にあり、将来的には人口減少に比例する形で、当社の運営する国内広告媒体の価値も緩やかに減少していく可能性があるためです。当社グループが持続的な成長を実現していくためには、屋外広告媒体の開発先を日本国内に限定せず、海外の有望媒体を発掘するというアプローチが必要だと考えています。海外においては日本で培った媒体開発の実践、国内においては海外の先進事例の応用や外国企業の国内広告掲出案件獲得等、双方向のメリットを活かし事業展開していく所存です。
なお、当社グループは過去に2度、海外での事業展開を図ったことがあります。1度目は2003年のアメリカ合衆国進出であり、ニューヨーク市でアナログ媒体開発及び運営を行いましたが、国内事業の拡大を優先し、2005年に撤退をいたしました。2度目は、ASEANでのトイレサイネージ事業への挑戦です。商業施設のトイレに広告用サイネージを展開するトイレサイネージ事業を営む会社として、2019年にHIT SINGAPORE PTE. LTD.(以下、HIT SINGAPORE)、2020年にHIT BANGKOK CO.,LTD.(以下、HIT BANGKOK)を、シンガポールとタイにそれぞれ設立いたしましたが、主に新型コロナウイルス禍による人流の停滞により事業が軌道に乗らず、2022年にトイレサイネージ事業の撤退及びHIT BANGKOKの清算、並びに、近い将来にASEANにて当社の既存事業である大型屋外広告事業へ挑戦することを前提に、ASEANを中心とした広告市場調査を行う会社へHIT SINGAPOREを転換するという判断をいたしました。事業を撤退した際にHIT SINGAPOREを清算しなかった理由は、事業撤退を決定したものの、上述のとおり長期的に当社グループを大きく飛躍させるために海外進出は不可欠であると判断していることがあります。また、将来的に海外現地で媒体獲得交渉を行うことになった場合、当社グループの規模であれば、法人を残すことで一定の信用力を有して交渉ができるというメリットが享受できる点、事業再開時の準備期間を短縮できる点や、現地人材を確保しやすくなる点等が存続判断の理由となっています。
現在は、海外展開へ向けて、当社の代表取締役会長である松丸敦之が連結子会社であるHIT SINGAPOREの社長を兼ね、広告市場調査や現地パートナーの開拓のため、1年のうち半分以上の現地滞在をしております。松丸が屋外広告媒体設置の可能性を探るのに最も適した経験と業務知識を備えていること、及び、アジア諸国での広告関係者との太いパイプを有する人材が他にはいないことがその理由です。主に、当社グループが直近の進出を検討しているシンガポール、マレーシア、インドネシア及びタイ等、ASEAN現地の広告媒体社や広告代理店との接触、実際の進出時に備えた各国のJETRO等の社外協力者との面談、及び媒体設置場所候補の調査等を行っております。当面、松丸の現地滞在は継続いたしますが、2025年6月期より、当社のシニアマネージャーをHIT SINGAPOREの取締役として追加で選任し、ASEAN現地に常駐させることで、HIT SINGAPOREの体制強化と事業促進を実現してまいります。また、ASEANでデジタル媒体の保有・新設を行うための媒体開発資金として、当社よりHIT SINGAPOREに対する300百万円の投融資を、2028年6月期までに行う予定です。
当社では、従前よりITの導入及び運用を進めてまいりましたが、電子メールを用いた受注業務や、複数の業務システムに対する同一又は類似した情報の入力業務等、効率化の余地のある既存業務が業務フローの中に残っております。また、デジタル媒体の放映管理業務には、オペレーターのマンパワーに頼る部分を多く残しておりますが、今後デジタル媒体数を増加させていくうえで、放映管理業務の属人化排除や標準化の取組みはさらに重要になってくるものと認識しております。当社は今後なお一層、既存業務の自動化や、デジタル管理の活用等を推進することにより、社員の非生産的業務をDX化し、生産的業務時間の拡充を図ってまいります。また、DXに積極的に取り込むことにより業務効率を向上させ、事業拡大に繋げていきたいと考えております。
更なる企業成長のために、様々な企業との業務提携やM&Aを検討してまいります。サステナビリティへの配慮やその事業機会にも目を配り、新たな成長へ向けて新規ビジネスの開発を進めてまいります。
当社グループの事業は、効果的な屋外広告サービスを広告主に提供するものであり、適切な立地の選定及び投資の実行が重要となります。引き続き、広告主の需要を満たす立地選定を進めてまいります。
当社の屋外広告媒体はビルの屋上や壁面に設置されていることから、設置時やメンテナンス時等における事故が起きないよう努めております。広告主に安心して広告掲出をして頂けるよう、安全作業の徹底と社員の指導・育成を推進し、より品質の高いサービスを提供してまいります。
当社の広告媒体は、設置場所の性質により繁華街媒体とロードサイド媒体に大別されますが、商品力や価格競争力の維持向上に努めながら、それぞれの媒体特性に合致する広告主への効率的な営業を行い、一層の売上増加を図ってまいります。
当社グループは、上場会社として求められるコンプライアンス、内部管理体制を整備強化しております。それと同時に、経営・営業・管理部門に相乗効果をもたらすシステムの構築に、一層注力してまいります。
当社グループの事業の拡大のために、優秀な人材の確保・育成が重要な課題であると認識しております。積極的な採用に加え、社員研修の充実を図り、教育の質を高めていくことで、優秀な人材の確保と育成を推進してまいります。
なお、財務上の課題については、「3 事業等のリスク (22) 財務上のリスクについて」をご参照ください。
当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標(KPI)は、自社デジタル媒体数、デジタル媒体満稿額及びデジタル媒体稼働率であります。
(注) 上記指標については提出日現在において予測できる事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。
当該KPIを採用した理由ですが、下表に記載のとおり、当社グループの売上高の約4分の3は自社運営のデジタル媒体によりもたらされておりますので、自社デジタル媒体数及びデジタル媒体満稿額は当社グループの事業のポテンシャルを表すために最適な指標であり、デジタル媒体稼働率は媒体運用や営業が効率的に行われているかどうかをみるために最適な指標であると判断し、KPIとして採用しています。アナログ媒体は年間契約が多く、変動性が低いため、業績状況の確認のためには重要視しておりません。当該KPIは、投資家が当社グループの経営方針・経営戦略等を理解する上で重要な指標であり、また当該KPIにより、経営方針・経営戦略等の進捗状況や、実現可能性の評価等を行うことが可能となると認識しております。
(注) 売上比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはなりません。
当社グループの自社デジタル媒体の定義、及びデジタル媒体満稿額とデジタル媒体稼働率の算出方法は、以下のとおりです。
当社グループのデジタル媒体の料金体系は、基本的にレギュラープランとプレミアムプランよりなります。レギュラープランはそのデジタル媒体の標準的な料金プランであり、プレミアムプランは広告枠の大口購入を条件として、放映1回当たりの価格(放映単価)の面でレギュラープランよりも優遇されるプランです。広告主にとってコストパフォーマンスが良く、当社にとってはビジネスが安定するというメリットがあるため、営業戦略上プレミアムプランを積極提案しております。営業戦略と一体的に媒体稼働率を評価するため、プレミアムプランを基準としたデジタル媒体満稿額とデジタル媒体稼働率の算出方法を採用しています。特定媒体の受注が、放映1回当たりの価格(放映単価)がプレミアムプランよりも高いプラン(レギュラープラン等)に偏った場合、媒体稼働率が100%を超える可能性があります。
なお、デジタル媒体の新設や稼働の停止・終了等、又は販売価格の改定があった場合にデジタル媒体満稿額は変動いたします。期中に媒体の新設や稼働の停止・終了等があった場合については、当該媒体が通年稼働したものと仮定してデジタル媒体満稿額を算出しております。また、期中に販売価格の改定を行った場合、当該期のデジタル媒体満稿額は変更せず、改定の次期から新しい販売価格を基準としたデジタル媒体満稿額を適用いたします。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は以下のとおりであります。なお、以下各項目は、本書提出日現在において判断したものであります。
サステナビリティに関するガバナンスはコーポレート・ガバナンスの一部として、主に取締役会及びリスク・コンプライアンス委員会で決定しております。取締役会は原則として毎月1回開催し、必要に応じて臨時の取締役会を開催しております。取締役会では法令、定款及び社内規程等に定められた事項について審議を行い、取締役による業務執行の監督を行っております。また、リスク・コンプライアンス委員会において、当社グループの事業活動に影響を与えるリスクについて、サステナビリティ関連を含め網羅的に検討し評価することでリスクの低減に努めており、代表取締役社長をリスク管理の管理責任者とする体制としております。
当社グループでは、ESG(環境・社会・ガバナンス)を重視した経営や経済価値と社会価値の双方を創出するサステナビリティ経営に責任をもって取り組むことが重要であるという考えのもと、サステナビリティ推進を重視した経営を実践することを基本的な考えとしております。
屋外広告媒体はその設置場所との関係性が強いため、当社グループは、媒体設置エリアへ貢献することが不可欠であると考えております。そのような考えのもと、当社は法務省の主唱する「社会を明るくする運動」や、地元警察・消防の各種啓蒙活動に関する協力放映を積極的に行ってまいりました。
また、地域活性化につながる、"肉眼3D"の自社広告素材を作成・放映しております。話題になるような自社広告の放映を通じて、より多くの人々が当該地域へ来訪し地域経済が活気づく、その一助となればと考えております。
当社グループでは、経営理念に基づくビジョンの一つとして、「ダイバーシティの考えに基づき、社員お互いが尊重し目標を達成する」を掲げており、女性、外国人、中途採用者の積極的な採用を行っております。一方、女性管理職比率を高めることが今後の課題であると認識しております。組織の多様性を更に高めていくべく、多様な人材が活躍できる環境の整備を進めてまいります。
当社では、既存のアナログ媒体をデジタル媒体へと積極的に更新しております。これにより、従来アナログ媒体で発生していたターポリン幕等の事業系廃棄物を削減しております。今後も更新を進め、事業系廃棄物の削減に努めます。
他方、広告媒体の稼働による温暖化ガス排出量について、現時点では具体的な数値を把握できておりません。広告事業の性質上、製造業と異なり温暖化ガスを大量に排出していないと考えてはいるものの、今後合理的に把握するべく、検討を進めてまいります。
当社では、従業員一人ひとりが働きがいを持って能力を十分に発揮できる仕組みづくりと、安心して働き続けることができる働きやすい職場環境の整備を推進しております。具体例としては、全役職員に対する、職務発明や新規ビジネスへの報奨制度の整備・運用や、社内外内部通報窓口の設置等の取組みが挙げられます。引き続き、従業員一人ひとりにとっての働きがいと働きやすさの両面を意識しながら、仕組みづくりや職場環境の整備に努めてまいります。
当社は、リスク・コンプライアンス規程に基づきリスク・コンプライアンス委員会を設置し、同委員会にてESGの観点を含む網羅的なリスクの状況について定期的にモニタリング、評価・分析を行っております。個別具体的なリスクの内容につきましては、「
当社グループでは、地域貢献や地球環境への配慮といったサステナビリティに関する取り組みを行っておりますが、事業の安定的な運営において、人材は最も重要な経営資源であると認識しており、高度な専門的知識・技能・経験を有する多様性に富んだ人材確保・維持を目的として人材育成及び社内環境整備に取り組んでおります。
人材の育成に関する方針として、当社の持続的な成長や企業価値向上のために、社員の能力開発・研鑽を目的として、新入社員研修やeラーニング等の社内研修の充実化、資格取得支援制度の導入等、社員教育体制を整備する取り組みを行っております。また、新卒社員の採用を継続的かつ積極的に実施しており、母集団形成から入社までのフォローに至るまで、優秀な人材確保のために全社一丸となって取り組んでおります。
上記で記載した取り組みに関する指標と年間目標及び実績は以下のとおりです。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当社の営業活動は、可能な限り広告主へ直接接触を行うことを重視していることから、常に一定数の営業社員の確保が必要となるため、毎年10名前後の新卒採用と若干名の中途採用活動に注力しております。また、広告媒体の開発及び設置・保守管理部門については専門分野に対応した人材の採用が必須となるため、採用した社員への教育・研修体制の充実・強化を図り、早期戦力化と人材の定着に努めております。
しかしながら、必要な数の人材の確保及び育成が計画どおりに進まない場合には、競争力の低下や事業拡大の制約要因が生じる可能性があり、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社は、複数のITシステムを使用して業務処理・管理を行っておりますが、社内規程にて運用上のルール及びBCPマニュアルを定め、データバックアップを行い、社内ネットワークへのマルウェア侵入や不正アクセス等のサイバー攻撃、災害等に起因するネットワークの不通、外部委託先の故意又は過失によるシステムトラブル等への対策を講じております。
しかしながら、当社グループの想定を超えた事象の発生によって、情報システムに何らかの障害が生じた場合、当社の業務に重大な支障をきたす可能性があり、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの広告事業は、日本国内外の景気変動の影響を受けやすい傾向があります。当社は、渋谷や池袋、大阪・道頓堀といった繁華街の屋外広告媒体と、首都高速道路や大阪・新御堂筋といったロードサイドの屋外広告媒体という、性質の異なる媒体設置場所に投資することで、景気変動や国際情勢の影響を低減し、多様な業種・企業からの広告掲出を獲得してきました。
しかしながら、国内外全体の景気悪化や物価上昇、大幅な為替変動、広告予算の削減等の影響により、当社の屋外広告媒体への出稿が減少した場合や仕入額が高騰した場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社のデジタル媒体で使用しているLEDパネル等は中国製のものを中心に使用しております。そのため、中国製LEDパネル等の供給が停止した場合、一時的にデジタル媒体の設置やメンテナンスに影響が出る可能性はありますが、台湾製、韓国製又はアメリカ製等のLEDパネル等を活用することによって、その影響は限定的なものになるものと考えております。また、日本国外からの広告出稿も多いことから、国際情勢等の動向を注視し、情報収集をタイムリーに行うことで適切な対応策を早めに講じる取組みを実施しております。
しかしながら、テロや紛争、政治・経済情勢の変動等の影響により、日本国外からの広告出稿の停止や減少、LEDパネルの仕入高騰や供給の不安定化といった事案が発生する可能性があり、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、事業活動を営む上で、「屋外広告物法」及び各自治体の屋外広告物条例、「景観法」及び各自治体の景観条例、「建築基準法」、「都市計画法」、「道路法」、「道路交通法」、「建設業法」、「下請代金支払遅延等防止法」、「個人情報の保護に関する法律」、「労働基準法」等、様々な法規制の適用を受けています。
なかでも、当社グループの主要な事業となる国内での屋外広告業は、各自治体の屋外広告物条例によって直接的に、屋外広告物の規制(広告物の設置場所、広告物の大きさ・高さ等の規格、広告物の表示及び掲出物件の設置に関する首長の許可等)と、屋外広告業を営むために必要な登録に関する規制を受けています。当社では、事業活動を行ううえで、必要な自治体にて屋外広告業の登録を行っており、その有効期間は5年間です。現時点において、屋外広告業の登録が取消しとなる事由は発生しておりません。
また、これらの法的規制等に適切に対応すべく、リスク・コンプライアンス委員会にて改正法や新法が事業に与える影響を評価しており、事業に何らかの影響を及ぼす法改正が発生する場合は、具体的な影響範囲の特定や対応策の検討・実施を行って、コンプライアンスの遵守に努めております。
しかしながら、何らかの理由により、これらの法令等の改廃若しくは新たな法的規制が今後制定された場合、又は屋外広告業登録が取消され若しくはその更新が認められない場合等には、当社グループの業績又は財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、現時点の当社の屋外広告業登録等の状況は以下のとおりです。
当社グループは、提供するサービスに関連して取引先等の個人情報を取り扱っております。これらの個人情報については個人情報保護方針を定めることに加え、一般財団法人日本情報経済社会推進協会が認定するプライバシーマークを取得し、適切に管理、保護しております。
しかしながら、外部からの不正アクセス等による不測の事態によって、個人情報が社外に漏洩する可能性は排除できず、そのようなことが生じた場合には当社グループに対する社会的信用の低下や損害賠償請求等により、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、運営する事業に関する知的財産権の取得に努め、当社グループが保有する商標、コンテンツ等についての保護を図るとともに、知的財産権の侵害につながるような広告放映を行わないよう、掲出素材の法務・コンプライアンス審査を実施しております。しかしながら、当社グループの知的財産権が第三者から保護されない場合や、第三者から知的財産権の侵害を主張された場合において、当社グループの主張に対する防御又は紛争の解決のために費用や損失が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、本書提出日現在において、事業運営及び業績に影響を及ぼす訴訟や係争は発生しておりません。法的問題の発生を最小限に抑えるために、リスク・コンプライアンス委員会の活動や役職員への教育を通じて、リスクマネジメントに注力しております。また、クレーム管理規程を定め、クレームに対する組織的な管理体制を構築しております。
しかしながら、顧客、取引先、従業員、株主等を含む第三者の権利・利益を侵害したとして損害賠償請求等の訴訟を提起される可能性や、行政機関による調査等の対象となる可能性、又は今後の業界環境の変化や新規事業への進出、既存事業の拡大等により意図せぬ訴訟を提起される可能性があり、それらが発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社の屋外広告媒体は屋外に設置されていることもあり、媒体の損壊や設備故障、停電や節電によるデジタルサイネージや照明の消灯等、自然災害の直接的あるいは間接的な影響により、サービス提供が不可能となる可能性があります。直近10年でこれらに該当する事象は発生しておらず、万が一の事態への備えとしてBCPマニュアルを定め、早期に正常な広告掲出が再開できるように図っておりますが、今後発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、感染症等の影響により、当社媒体の設置されているエリアの人流が著しく減少した場合、当社媒体への広告掲出が減少し、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
屋外広告事業は、屋外広告媒体として価値のある設置箇所が限定的、不動産オーナーへ支払う媒体料が高額となること、不動産オーナーとの強固な関係構築が必要であること、法令対応を含めたノウハウ獲得が容易でない等の理由から参入障壁が高く、当社と同様の好立地かつ大型な屋外広告媒体を複数展開する競合企業は少ない状況にあります。しかしながら将来的に、優れた競合企業の登場、競合企業によるサービス改善や付加価値が高いビジネスモデルの出現等により、当社グループの優位性が低下する可能性も否定できず、そういったケースが発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、株式会社電通の子会社である株式会社OOHメディア・ソリューションと多くの取引があります。同社に対する2024年6月期の売上高は1,116,573千円、売上高に占める割合は27.1%となっております。現状、当社は同社と安定的な取引関係にあり、複数の役職員が定期的に交流・情報交換を行い、連携して重要顧客向けに販売戦略を練る等、親密な関係の維持・強化に努めております。
しかしながら、何らかの要因により取引関係に問題が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社は取引先に対し、与信調査の実施、与信限度額の設定等、与信管理に努めております。また、初回取引時やアナログ媒体の販売時等に前金取引交渉を徹底し、回収リスクを低減する取組みも行っており、これまでに債権を回収できなかった事例はありません。
しかしながら、取引先の経営破綻又は信用状況の悪化により当社グループが保有する債権が回収不能になるリスクは否定できず、そういった事象が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社は、デジタル媒体・アナログ媒体を問わず、関連設備の稼働状況や、掲出素材内容、制作内容に不備や瑕疵、欠陥等がないことの確認作業を行っており、人為的及び機械的なトラブルの発生可能性を可能な限り低減できるよう努めております。また、広告素材の審査を当社内にて実施しているほか、媒体運営時の周辺住民からのクレームについて、クレーム管理規程により適切に対応する旨定めております。他にも、万が一のトラブルへの備えとしてBCPマニュアルを定め、早期に正常な広告掲出が再開できるように図っております。
しかしながら、設備の故障や掲出素材内容、制作物等の何らかの瑕疵や欠陥、又は設置媒体へのクレーム等に起因して広告主等に損害が生じた場合や正常な広告掲出ができなかった場合、その損害やサービスの不足分の規模により、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
広告市場においてインターネット広告の成長は著しく、広告主は従前より多様な広告手段を選択できる環境となっています。当社グループは、屋外広告の良さを追求しつつ、インターネット広告との効果的な同時広告展開を可能とするサービスを提供しております。
しかしながら、今後当社グループの想定を超えて広告主によるインターネット広告の偏重が進行した場合や、日本の人口減少にともない人流に多大な変化が生じる等、屋外広告を取り巻く環境が大きく変化した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
屋外広告媒体は、設置されたエリアの環境変化による影響を大きく受ける広告媒体です。広告媒体の前にビルが建ち看板面が見えなくなった、地区開発により通行者の人流が大きく変化した等の理由により、広告媒体の価値が低下する可能性があり、また、周辺住民からのクレーム等により、法規制に適合した広告媒体であっても運営ができない事案が発生する可能性があります。当社では、媒体設置エリアの周辺開発情報を積極的に収集することで、媒体価値の維持やリスク察知を図るとともに、クレーム管理規程により周辺住民からのクレームを適切に管理する社内体制を構築しております。
しかしながら、主力である屋外広告媒体の価値低下や、クレームへ適切に対応できなかった場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社の屋外広告事業の主力はデジタル媒体であり、その中でも売上高上位3媒体(シブハチヒットビジョン(※1)、OMOSANシンクロ(※2)、ツタヤエビスバシヒットビジョン(※3))で全体の売上高の50%超を占めております。そのため、当社では主力となりうるデジタル媒体の新設に注力しており、毎年新設媒体をリリースすることで売上の拡大と収益源の分散を図っております。
しかしながら、何らかの要因により当初の計画どおりに新設媒体をリリースできなかった場合や、設置した媒体の稼働状況が当社の想定を大幅に下回った場合、また、何らかの理由で主力デジタル媒体の稼働状況が悪化等した場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
※1 渋谷スクランブル交差点前に設置された、単面かつ広告用では日本最大級の超大型デジタル媒体。渋谷エリアの様々な場所から視認できる視認範囲の広さが特徴。
※2 表参道交差点に面した合計6面を備えた、日本のファッションの中心地である表参道エリアで最大のサイズを誇る大型デジタル媒体。L字型を生かした“肉眼3D”放映が可能。
※3 大阪・道頓堀エリアに位置し、上下2面を使った放映が可能。歩行者とサイネージ面との距離が近く視認性が高い点や、視認エリアの滞留性が高い点が特徴。
当社グループは、「好立地」「大型」を重視し、高額の設備投資を要する屋外広告媒体の設置を行っており、また、毎年新設媒体をリリースすることで売上の拡大を図っております。
しかしながら、設置先候補や不動産オーナーとの交渉、行政との折衝等により当初の計画どおりに媒体開発が進捗しなかった場合や、設置した媒体の稼働状況が当社の想定を大幅に下回った場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社は、複数のビルに設置した媒体を組み合わせたセット商品を、デジタル媒体・アナログ媒体ともに複数展開しております。これら商品は複数の不動産オーナーとの賃貸借契約から成り立っておりますが、当社では予備面の設置や不動産オーナーとの関係性の維持、媒体設置ビル周辺の定期的な環境チェック等を通じて、セット商品の商品性を維持しております。
しかしながら、不動産オーナーとの関係性悪化や媒体周辺環境の変化等によりセット商品の商品性を維持できなくなった場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社の事業は、不動産オーナーよりビルの壁面や屋上を賃借し、賃借料を支払うとともに広告媒体を設置しております。役職員が定期的に不動産オーナーとの交流を行うことで親密な関係の維持・強化に努めており、いずれの不動産オーナーとも良好な関係性を構築できておりますので、主要媒体に係る契約解除の可能性は限定的だと考えております。
しかしながら、今後何らかの事象によって不動産オーナーと当社の関係が悪化し、主要媒体の賃貸借契約が解消された場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社の公募増資による調達資金の使途は、国内の大型デジタル媒体設備投資への充当を計画しております。デジタル媒体の新設やリプレイスの計画立案に際しては、その媒体価値や投資の必要性について詳細に検討しておりますが、事業環境の変化にともない、現在計画している資金使途を変更する場合や、計画どおり資金を使用したとしても、期待どおりの成果をあげられない場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社の保有する屋外広告媒体は、すべての施工・メンテナンスを外部委託しております。当社においては、仕入取引担当者が取引先の品質保証の体系や品質検査結果の情報を入手し、必要があれば当社の業務計画や媒体新設・管理工程等に支障をきたさないよう指導監督しています。また、媒体の新設施工や改修工事等において、状況に応じて途中工程での立会検査を実施しており、安全性を確認しております。
しかしながら、当社が保有する屋外媒体の落下、倒壊等により人的被害が発生した場合は、その事故の規模により当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの資金調達の状況は、有利子負債が2025年3月末では1,676,542千円となっており、総資産に占める有利子負債の比率は27.5%となっております。また、自己資本比率は50.7%であります。当社は複数の金融機関と友好的な関係を継続しておりますが、今後の事業展開や経済情勢、経営環境の変化等によって、機動的に資金調達を行うこともあり、有利子負債の金利負担が増加した場合や調達金利が上昇した場合、新たに計画した資金調達が不調に終わった場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社では、広告媒体ごとに固定資産を認識しており、営業活動から生じる損益、回収可能価額を著しく低下させる事象、経営環境の著しい悪化の有無等により、減損の兆候の有無を把握しております。減損の兆候がある広告媒体が十分な将来キャッシュ・フローを創出できないと判断される場合には減損損失を計上することも予測され、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社は、株主に対する利益還元を経営の重要な政策の一つと考えており、企業価値を最大化するための中長期的な取組みや事業拡大に必要な内部留保とのバランスを勘案し、継続的かつ安定的な株主還元を実施していくことを基本方針としております。
当社は毎年配当を計画しておりますが、将来的には一層の事業拡大を目指すことが株主に対する利益還元につながるとの考えから内部留保の充実を図る等、配当政策の方針転換を行う場合があります。
当社グループは、将来減算一時差異に対して、将来の収益力に基づく課税所得等を見積り、回収可能性があると判断した範囲内で繰延税金資産を計上しております。しかしながら、実際の課税所得が見積りと異なることで繰延税金資産の全部又は一部の回収可能性がないと判断され、繰延税金資産を減額することになった場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
本書提出日現在における当社の発行済株式総数は5,560,000株、新株予約権による潜在株式数は710,400株(発行済株式総数に対する割合12.8%)であり、これら当該新株予約権の行使が行われた場合には、当社の1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。
また、本書提出日現在において、売出人である深井英樹、安田仁裕、勝山宏哉、高橋徹及び大岩義典の保有する新株予約権による潜在株式数は合計656,800株(発行済株式総数に対する割合11.8%)に相当しますが、当該5名は、本売出しによって得た資金の一部を各々が保有する新株予約権の行使代金に充当することで、安定株主比率の向上を目的とした新株予約権の行使を行い、取得した株式を継続保有する方針であります。
実際に当該行使が行われた場合には当社の1株当たりの株式価値の希薄化が進む可能性があります。
なお、当社では、今後も優秀な人材確保のために、同様なインセンティブプランを継続して実施していく方針を有しており、今後付与される新株予約権の行使が行われた場合には、当社の1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。
創業者兼代表取締役会長である松丸は当社事業に関する専門的な知識、技術、経験を有しており、経営方針や事業戦略の決定及びその遂行において、屋外広告に関する専門的な知識や経験を活かした意見を述べる等の重要な役割を果たしております。当社グループでは、取締役会やその他会議体においてその他の役職員への情報共有や権限移譲を進める等の組織体制の強化を図りながら、特定人物に過度に依存しない経営体制の整備を進めております。
しかしながら、何らかの理由により松丸が経営、業務執行を継続することが困難になった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社はシンガポールに連結子会社であるHIT SINGAPOREを設置し、ASEAN諸国における事業展開を計画しており、2027年6月期には屋外広告事業での売上計上を目指しております。また、ASEANでデジタル媒体の保有・新設を行うための媒体開発資金として、当社よりHIT SINGAPOREに対し、2026年6月期の100百万を皮切りに総額300百万円の投融資を、2028年6月期までに行う予定です。ASEANにおける広告市場調査を詳細に実施し、進出先における協力者の選定を慎重に行う等、事業展開に際しての準備には万全を期してまいりますが、進出先における政治的・社会的・経済的混乱や予測不可能な法令変更等を含むなんらかの要因により、当社子会社の海外事業戦略の変更を余儀なくされた場合、将来的な当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社代表取締役会長である松丸敦之は、当社子会社であるHIT SINGAPOREの社長を兼任し、広告市場調査や現地パートナーの開拓のため、1年のうち半分以上、現地滞在する体制をとっております。このような体制を採用した理由として、以下の3点が挙げられます。
① ASEAN進出を通じた事業拡大
長期的に当社が大きく飛躍するために、ASEANでの屋外広告事業の展開は不可欠であると判断しております。そのため、シンガポールに法人を置くことで、今後ASEANにて媒体獲得交渉を行う場合や協業先の現地資本企業を探す場合に一定の信用力を有して交渉ができるというメリットを享受できると考えております。また、現地での本格的な事業展開時の準備期間を短縮できる点や現地人材確保等の点においても有利に働くことが期待されます。
② 屋外広告媒体に造詣の深い人員の配置
松丸を現地に滞在させている理由としては、当人の長年にわたる業界経験に基づき、マクロでの屋外広告市場調査能力、ミクロでの屋外媒体の市場調査能力、現地パートナーとの交渉力等において最適な人材であり、加えて媒体開発までのリードタイム、収益を生み出せる屋外媒体の発掘力、費用対効果等に関してもメリットを生み出せると総合的に評価したためであります。
③ 海外進出を果たす上で現地情報の精緻な把握が必須
屋外広告は、電波や印刷物を介して広範囲に伝達されるマスメディアの広告や、世界中どこにいても同質的に伝達されるインターネット広告とは異なり、広告媒体がどこにあるのか、そこはどんな場所なのか、ということが重要視される広告媒体であり、人流が多く視認性に優れた好立地での媒体確保ができるか否かが、屋外広告事業の成否を分けるポイントです。そのため、長期滞在を通じて、進出候補先の現地の情勢を常に把握しておくことが望まれます。広告コンテンツに関しても、どのようなメッセージやクリエイティブが好まれるのか(あるいは嫌われるのか)について、法令等の規制や文化的側面も含めて深く理解する必要があります。
以上の理由に加えて、松丸は情報収集能力や分析力に長けていることから、現地に長期滞在することは重要かつ効率的だと考えております。今後HIT SINGAPOREでは、従来よりも具体的な媒体開発に直結した活動が行われていく予定で、その存在意義はさらに高まるものと考えております。なお、ASEANの事業が後継者育成も含めて軌道に乗った際には、松丸を中心とした海外体制を解消する予定です。また、当社グループでは子会社の撤退基準(累積損失3億円以上かつ3年連続で営業赤字)を設けており、この基準を満たした場合、黒字化の目途が立つかどうかを含めた総合的な判断を行い、取締役会で撤退の決議を行うこととなっております。HIT SINGAPOREについては、新規デジタル媒体の稼働の始期となる2027年6月期を基準とする予定です。
当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
第34期連結会計年度(自 2023年7月1日 至 2024年6月30日)
当連結会計年度末における流動資産は3,803,987千円となり、前連結会計年度末に比べ703,141千円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が867,933千円増加したことによるものであります。固定資産は2,501,693千円となり、前連結会計年度末に比べ683,615千円増加いたしました。これは主に、看板設備の新設・改修にともなう建物及び構築物が708,354千円増加したことによるものであります。この結果、総資産は、6,305,681千円となり、前連結会計年度末に比べ1,386,756千円増加いたしました。
当連結会計年度末における流動負債は1,782,131千円となり、前連結会計年度末に比べ281,479千円増加いたしました。これは主に、広告掲出に係る役務が増加し契約負債が182,804千円増加したことによるものであります。固定負債は1,936,711千円となり、前連結会計年度末に比べ234,851千円増加いたしました。これは主に、長期借入金が328,590千円増加したことによるものであります。この結果、負債合計は、3,718,843千円となり、前連結会計年度末に比べ516,330千円増加いたしました。
当連結会計年度末における純資産合計は2,586,837千円となり、前連結会計年度末に比べ870,426千円増加いたしました。これは主に、当期純利益が増加したことにより利益剰余金が863,342千円増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は40.9%(前連結会計年度末は34.8%)となりました。
第35期中間連結会計期間(自 2024年7月1日 至 2024年12月31日)
a 資産
当中間連結会計期間末における流動資産は3,704,819千円となり、前連結会計年度末に比べ99,168千円減少いたしました。これは主に、現金及び預金が268,070千円減少の他、売上高の増加にともない売掛金が200,724千円増加したことによるものであります。固定資産は2,453,985千円となり、前連結会計年度末に比べ47,707千円減少いたしました。これは主に、減価償却等により建物及び構築物が44,773千円減少したことによるものであります。この結果、総資産は6,158,804千円となり、前連結会計年度末に比べ146,876千円減少いたしました。
当中間連結会計期間末における流動負債は1,544,794千円となり、前連結会計年度末に比べ237,337千円減少いたしました。これは主に、広告掲出に係る役務が減少し契約負債が197,164千円減少したことによるものであります。固定負債は1,645,327千円となり、前連結会計年度末に比べ291,384千円減少いたしました。これは主に、長期借入金が242,721千円減少したことによるものであります。この結果、負債合計は3,190,121千円となり、前連結会計年度末に比べ528,721千円減少いたしました。
当中間連結会計期間末における純資産合計は2,968,682千円となり、前連結会計年度末に比べ381,845千円増加いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する中間純利益により利益剰余金が383,177千円増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は48.1%(前連結会計年度末は40.9%)となりました。
第35期第3四半期連結累計期間(自 2024年7月1日 至 2025年3月31日)
a 資産
当第3四半期連結会計期間末における流動資産は3,702,888千円となり、前連結会計年度末に比べ101,099千円減少いたしました。これは主に現金及び預金が減少したことによるものであります。固定資産は2,404,483千円となり、前連結会計年度末に比べ97,210千円減少いたしました。これは主に有形固定資産が減少したことによるものであります。この結果、総資産は6,107,371千円となり、前連結会計年度末に比べ198,309千円減少いたしました。
b 負債
当第3四半期連結会計期間末における流動負債は1,514,157千円となり、前連結会計年度末に比べ267,973千円減少いたしました。これは主に未払法人税等の減少によるものであります。固定負債は1,492,542千円となり、前連結会計年度末に比べ444,168千円減少いたしました。これは主に長期借入金が減少したことによるものであります。この結果、負債合計は3,006,700千円となり、前連結会計年度末に比べ712,142千円減少いたしました。
c 純資産
当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は3,100,671千円となり、前連結会計年度末に比べ513,833千円増加いたしました。これは主に、利益剰余金が増加したことによるものであります。
第34期連結会計年度(自 2023年7月1日 至 2024年6月30日)
当連結会計年度における我が国の経済は、足踏みもみられますが、緩やかな回復が続いている状況にあります。今後についても、33年ぶりとなる高水準の賃上げや好調な企業収益、また、定額減税を始めとする各種政策効果に支えられ、円安等にともなう輸入物価の上昇の影響等には注意する必要があるものの、民間需要主導の緩やかな回復が続くと見込まれています。
広告業界においては、経済産業省が2024年7月に発表した「特定サービス産業動態統計調査」によると、2023年度の広告業全体の売上高は前年度比で99.1%と、前年度をわずかに下回る結果となりました。一方で、当社グループが取扱う屋外広告及び交通広告は、前年度比110%を超える売上高となっており、インターネット広告の前年比売上高104.5%を超える結果となりました。また、株式会社電通の「2023年日本の広告費」によると、2023年の屋外広告費市場は前年比101.5%の2,865億円となっており、都市部を中心に出稿量が堅調に推移し、特に渋谷、新宿、表参道等都心エリアで屋外ビジョンの需要が大きく伸長しました。
このような事業環境の下、当社は前期に続き、渋谷にて自社媒体と他社周辺ビジョンとの連動放映を行うシンクロ放映サービスを多く受注いたしました。また、池袋ヒットビジョンを11月に稼働開始し、販売を強化してまいりました。加えて中国系企業への営業強化や、屋外広告に特化したクリエイティブの企画・制作、自社媒体を軸とした他の広告メディアとの連動企画といった新規事業を展開すべく、前期に引き続き人員の補充や体制の整備、販売の強化を行いました。
当連結会計年度における業績は、売上高4,122,330千円(前連結会計年度3,435,519千円)、売上総利益2,613,718千円(同2,187,056千円)、営業利益1,397,145千円(同1,137,216千円)、経常利益1,403,783千円(同1,135,442千円)となっております。また今年度は、固定資産除却損、減損損失等の計上により特別損失26,679千円の計上をし、税金等調整前当期純利益は1,381,107千円(同1,086,688千円)、当期純利益は935,622千円(同755,461千円)となっております。
なお、当社グループの事業は、広告事業の単一セグメントであり、セグメント情報を記載しておりません。
第35期中間連結会計期間(自 2024年7月1日 至 2024年12月31日)
当中間連結会計期間における我が国の経済は、一部に足踏みが残るものの緩やかに回復している状況にあります。先行きについても、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待されております。一方で、欧米における高い金利水準の継続や中国における不動産市場の停滞の継続にともなう影響等、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっていることや、物価上昇、アメリカの今後の政策動向、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があります。
広告業界においては、経済産業省が2025年2月に発表した「特定サービス産業動態統計調査」によると、広告業界全体の売上高は2024年7月から12月までの6ヶ月間、前年同月を上回るか同等の水準で推移しており、当社が取扱う屋外広告の売上高についても、毎月前年同月を上回って推移しております。
このような事業環境の下、当社グループは当中間連結会計期間を通じて繁華街デジタル媒体の稼働が堅調に推移した一方、2023年にあった年末の大型案件と同等の案件が2024年末には獲得できなかったこと等により、当中間連結会計期間における業績は、売上高2,235,713千円、売上総利益1,415,729千円、営業利益735,783千円、経常利益729,720千円、税金等調整前中間純利益は729,720千円、親会社株主に帰属する中間純利益は480,477千円となっております。
なお、当社グループの事業は、広告事業の単一セグメントであり、セグメント情報を記載しておりません。
第35期第3四半期連結累計期間(自 2024年7月1日 至 2025年3月31日)
当第3四半期連結累計期間における我が国の経済は、一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復している状況にあります。先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待されています。ただし、物価上昇の継続が消費者マインドの下振れ等を通じて個人消費に及ぼす影響や、通商政策等アメリカの政策動向による影響等が、我が国の景気を下押しするリスクとなっております。また、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある状況です。
広告業界においては、総務省が2025年4月に発表した「サービス産業動態統計調査」によると、2025年2月までの当第3四半期連結累計期間の広告業全体の売上高は前年比で105.0%と、前年を上回る結果となりました。
このような事業環境の下、当社グループは当第3四半期連結累計期間を通じて繁華街デジタル媒体の稼働が堅調に推移した一方、年末の大型案件の減少等により、当第3四半期連結累計期間における業績は、売上高3,160,869千円、売上総利益1,931,901千円、営業利益909,384千円、経常利益900,677千円、親会社株主に帰属する四半期純利益は616,022千円となっております。
なお、当社グループの事業は、広告事業の単一セグメントであり、セグメント情報を記載しておりません。
第34期連結会計年度(自 2023年7月1日 至 2024年6月30日)
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益、長期借入金の借入による収入等により、前連結会計年度末に比べ795,928千円増加し、2,852,057千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動の結果得られた資金は1,513,674千円(前年同期は978,038千円の資金増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益1,381,107千円によるものであります。
投資活動の結果使用した資金は999,226千円(前年同期は245,497千円の資金減少)となりました。これは主に、看板設備の新設・改修にともなう有形固定資産の取得による支出914,046千円によるものであります。
財務活動の結果得られた資金は274,141千円(前年同期は182,966千円の資金減少)となりました。これは主に、設備投資のため調達した長期借入金の借入による収入900,000千円によるものであります。
第35期中間連結会計期間(自 2024年7月1日 至 2024年12月31日)
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、2,269,983千円となりました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動の結果得られた資金は282,504千円となりました。これは主に税金等調整前中間純利益の計上729,720千円、売上高の増加にともなう売上債権の増加200,724千円及び法人税等の支払282,922千円によるものであります。
投資活動の結果使用した資金は413,291千円となりました。これは主に定期預金の預入による支出314,003千円及び看板設備の新設・改修にともなう有形固定資産の取得による支出99,583千円によるものであります。
財務活動の結果使用した資金は449,852千円となりました。これは主に長期借入金の返済による支出274,179千円及び配当金の支払による支出97,300千円によるものであります。
当社グループが提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
当社グループが提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
第34期連結会計年度、第35期中間連結会計期間及び第35期第3四半期連結累計期間における販売実績を事業別に示すと、次のとおりであります。なお、当社グループは、広告事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」及び「② 経営成績の状況」に記載のとおりであります。
当社グループ経営成績に重要な影響を与える要因は、「第2 事業の状況 3.事業等のリスク」に記載のとおりであります。
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりであります。
キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループにおける主な資金需要は、看板設備の新設・改修への投資であります。これらの資金需要につきましては、自己資金を基本としつつ、必要に応じて、金融機関等からの借り入れによる資金調達にて対応する方針であります。なお、当連結会計年度における、金融機関等からの借入金は900,000千円となっております。
流動性について、当連結会計年度末において2,852,057千円の現金及び現金同等物を保有し、当社グループの事業運営上十分な流動性を確保していると考えております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度末における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4 会計方針に関する事項」に記載しております。
会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
繰延税金資産の回収可能性は、将来減算一時差異が将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかで判断しております。当該判断は、将来の利益計画に基づく課税所得の十分性、将来加算一時差異の十分性等を満たしている場合に、将来減算一時差異が将来の税金負担額を軽減する効果を有するものとしております。
これらの判断は、将来の利益計画に基づく課税所得、一時差異等の解消見込年度等の見積りに依存するため、将来の不確実な経済条件の変動等によりこの見積りの前提とした条件や仮定に見直しが必要となった場合、繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。
固定資産の減損は、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合に減損損失を認識することとし、帳簿価額を回収可能価額まで減額させた当該減少額を減損損失として測定しております。
減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定を行うにあたっては、過年度の実績や事業計画等に基づく資産又は資産グループから得られる将来キャッシュ・フロー、割引率、回収可能価額等の見積りに依存するため、将来の不確実な経済条件の変動等によりこの見積りの前提とした条件や仮定に見直しが必要となった場合、減損損失が発生する可能性があります。
経営者の問題認識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
賃貸借契約
(注) 対価として賃料を支払っております。
該当事項はありません。